織村隆一郎と新居-4
「とりあえず食材を買ってきて正解でしたね……………。でも、入手経路はガチャではありませんよね?何をしたんですか?会長は盗みとかはしていないと思いますけど………………。」
「………………………これは、ある人から送ってきて貰ったという事にしておいてくれ。話を聞くと引かれる可能性もあるからな……。」
正直に黒華鉄から送られてきたとでも言えば発狂する可能性がある為、俺はその事は誤魔化すことにした。群雲ならまだしも、御子柴に話すとどうなるかは分からないからな………………。
「………………会長、ある人というのは黒華鉄 剣城で間違いないですね?まぁ、咎める事はしません。むしろ、黒華鉄家の方を見下さずに接することが出来るので、これまでの人生真っ当に生きていたという事になります。会長を信じて生きていた私にとって、その事はとても嬉しく思いますよ。」
「…………………………まぁ、会長ならその位の伝手くらい持っていると思いましたよ。でも黒華鉄さんといつ接点を持ったのかは知りませんけど。」
………………………そういえば御子柴の会社はアクセサリーなどを製作する会社であり、黒華鉄家とは長い付き合いだったな…………。まぁ、御子柴は黒華鉄家に息子がいたという話は聞いていたが、美華になった後に出て来た息子が元々黒華鉄家の人間であるわけでは無い為、黒華鉄 剣城という人間がいたという事でやっと辻褄があったと言うのだった。
「黒華鉄家は初代こそ成金浪費思考でしたが、二代目から質素な暮らしを普通にしていました。しかし、黒華鉄家の者と接する時には、わざわざ高級品で身を包まずとも、上品で優秀であり終わりのある産業で。つまり、彼等の質素な暮らしを笑う者は二流以下の三流というわけですよ。」
「御子柴…………。まぁ、黒華鉄はそれなりに良い奴だという事は分かっているんだがそこまで心酔する程では無いだろうと思うのだが………………。」
「別に心酔などしていませんよ。ただ、黒華鉄家の跡取りの美華 結城と比べて話していますからこんな事を言っているんですよ。結局取引は続けるけれども深い付き合いはしないという事にしましたしね。」
まぁ、黒華鉄の事を奴隷だと思うくらい立場と財産の威を借りすぎている美華と、その考えを肯定して奴隷になれとチャット内で発言した美華の取り巻きを見ていれば御子柴の言いたいことも分かるが…………………。
「でもまぁ、彼女が美華家の奴隷になる前に逃げ出せていて良かったですよ。もしそうなっていたら彼女は間違いなく壊れていましたからね。」
…………………………………………御子柴は黒華鉄の事をなぜ彼女と言ったのか、俺と群雲は理解できなかった。いや、黒華鉄は男だろ?実際生徒会で見た編入生の資料にも男と書いてあったし…………と思いながら俺は御子柴に問い詰めるのだった。