織村隆一郎と初戦闘-4
『ウルフ』の討伐部位を集め終えた後、草原から森の方へと向かう。今度は倒すだけで良い『サイレントレント』の討伐なので気が楽だ。……………………ただ、『サイレントレント』を見つけるまでにどの位の時間がかかるか……………という事が気になってしまうのだった。
「……………………………この辺り一面を焼け野原にしようとは思えないからな………………。とりあえず門番の言っていた様な特徴のある木を探すか………………。」
まぁ、これだけ木があれば、擬態しているモンスターなど大量にいるだろうからすぐに『サイレントレント』も見つかるだろうと思いながら森の奥へと進んでいくのだった。……………森に入り始めた頃は、本当にそう思っていたんだ………………。
「……………………ゼェ…………ハァ………………」
森に入ってから一時間が経過したが、未だに『サイレントレント』には出会えぬまま、別のモンスターとの戦闘となるばかりだった。トレント系のモンスターを見つけたと思えば『アップルトレント』だったり『トレントファング』といった様な亜種的なモンスターばかりであり、依頼が完遂できそうな雰囲気は無かった。
「………………………もう限界だ。少し休むか………………。」
そう言いながら俺はそこら辺にあった木に寄りかかった。なんせこの森の中で何体のモンスターを倒したかを覚えていない程なのだ。…………………ただ、この行動が命取りになりかける事を俺は考えていなかった。
『ギジャァァァァァァァァァァァァ。』
「な、なんだ?この嫌な音…………………って、この木はトレントだったのかよ!!クソッ!!ねばねばして気持ち悪い………………とりあえずこれ喰らっとけ『ファイアアロー』!!」
その後、そのトレント系のモンスターはあっさりと倒れた。まぁ、分かりきった事だったが一応『鑑定』してみると、『サイレントレント』と表示される。………………………どうやら『サイレントレント』は疲れ切った冒険者が寄りかかってきた所を食すという様なモンスターだったらしい。
「…………………………体べとべとだな……………。近くに川や湖とかがあれば服を洗えるんだがな……………………乾かすのは『火魔法』で調節すればどうにかなるが………………そんな都合の良い川は無いか……………。」
簡単に倒せたのは良いが、『サイレントレント』は唾液という非情に厄介な物を残して行った………………。幸いにも背中にしか着いていないので最後の依頼もクリアするために続行する事を決めたのだけどね………………。