織村隆一郎と初戦闘-3
それからしばらく草原を散策して1匹でいる『ウルフ』を探していく事にした。7匹の『ウルフ』は偶然狩れた様な物だ。なので、群れになっていない個体を探す。すると、すぐに1匹だけの『ウルフ』は見つかった。
「………………………少なくとも、正面から闘うという事は避けないと行けないよな…………………。『ファイアボール』。」
『ウルフ』に気付かれないように『火魔法』の『ファイアボール』を放つと、『ウルフ』はそれに気付かずに、『ウルフ』の体は燃え尽きたのだった。………………………当然、討伐部位の尻尾さえも。
「……………………常備依頼では討伐部位を持って帰らないと行けないんだっけな………………………。つまり、『火魔法』を使って倒すのは避けた方が良いと……………。」
ここはゲームでは無く現実である為、討伐部位が都合良く残ってくれる訳では無いのだろう。……………………まぁ、常備依頼で無い普通の依頼の場合はギルドカードに倒した数が記録されるらしいので何の心配も無いのだけど。
「……………………………とりあえず、燃え残った牙は回収しておくか…………………。偶然燃え残った奴だけど。」
「そうなのですか。なら、その牙をくださいませんか?矢尻にできるので、数は多い方が良いんですよ。」
………………………………まぁ、冒険者は他にもいるんだよなと思いつつ声がした方に向くと、そこにはいかにも狩人の様な出で立ちをした女性がいた。しかし、矢筒の中には少ししか矢が入っていなかった。
「良かったら差し上げますが………………『ウルフ』を探しているのでその情報は無いでしょうか?」
「そうですね………………。この『フェロモンポーション《ウルフ》(小)』をお譲りいたしましょう。このポーションは私の自作なのですが、これを地面に叩きつける事で、『ウルフ』を呼び寄せる事が出来ます。」
「そをな貴重っぽい物を貰っても良いんですか?」
「良いんですよ、あれ以上のポーションは楽々作れますから。それではまたどこかでお会いしましょう。その時にはまた物物交換ができると良いですね~。」
………………………………ご都合主義みたいな感じで『ウルフ』を呼び出すポーションをくれた彼女は去って行った。…………………まぁ、彼女があのポーションを持っていたのは偶然なのだろうと思いながら俺は、『フェロモンポーション《ウルフ》(小)』を少しだけ遠くに投げたのだった。
それから数分後、10匹くらいの『ウルフ』がポーションの割れた地点に集まってきたのだった。……………………これじゃあまた不意打ちのような気分で終わるな………………と思いながら俺は『ウルフ』達を一掃するのだった。