織村隆一郎とアーティフィリア-5
「こちらがギルドカードとなります。紹介状にて上がった階級について確認してください。」
「…………………大丈夫だ。間違っている所は無い。」
「ならばこれでギルド加入の手続きに関しては終了です。………………では、このまま依頼をこなして貰いたいので依頼について説明しますね。」
そう言いながら受付は依頼書を取り出していた。依頼書のデザインはかなり質素な物で、上から依頼名、達成条件、報酬、依頼者の名前、依頼を受ける条件が書かれているだけだった。
「依頼はギルドの中にある掲示板から持ってくるか、カウンターにいる私かおじさんの方を尋ねてください。あそこの掲示板に貼ってあるのは依頼を受ける条件がランク以外無制限で、スキルなどの特性があまり関係ない依頼ばかりです。例えば『薬草の採取』や、『ウルフの駆除』と言った技能を求めていない物です。」
「なるほどな………………。それで、カウンターの方に行けば条件にあったクエストを選び出して出してくれるという訳か。」
俺がそう言うと受付は肯定の意を表す様に頷いていた。しかし、隣のイケメンが俺に説明している受付の方に文句を言ってくる。イケメンの方には時間が時間なのか誰も来ていない為、暇なのだろうと思いながら話を聞く事にしたのだった。
「おいミルウェンよぉ……………。『精錬』持ちのアルトマンさんの弟子を受け付け父子で独占する気か?受付の給与はこなして貰った依頼の質と量で決まるんだぞ!!俺の技量が低い訳でも無いのに専属にされても困るんだよ!!今はピークじゃないから出来るかもしれんが、お前とタジタシウスのおっちゃんが長蛇の列で俺の所がガラガラの時に待たせる様な事言うな!!」
「………………チッ。まぁそんな考えも確かにありましたけど、暫くは私達の方でやりませんと………。くじ引きで決まったじゃありませんか。給与に関係なく転生者の中でここの受付で働く人の指導をする役がルナントであると。」
どうやら俺のクラスメイトの誰かがここの受付で働くらしい。………………まぁ、ピーク時にはこの3つの受付がてんてこ舞いになるらしいので雇うのには問題ないらしいが………………何人雇うのか、誰を雇うのかという事が気になったのでそれについて質問してみた。
「あー、転生者でここで働きたいと言ったは御子柴 幸太郎と名乗っていました。その為、受付カウンターがいくつか増設されますね。」
……………クラスメイトとして俺が知っている御子柴ならこの様な仕事を好むだろうなぁと思いながら、逸れていた話を戻して、依頼の受け方についての説明を聞くのだった。