織村隆一郎とアーティフィリア-3
「………………心なしか、足が急に速くなった気がするな…………。なぜかは分からんが。まぁ、地図も貰った事だし、冒険者ギルドに行っておくか………………。紹介状もあるからそれなりにスムーズに登録できるだろうし。」
修行が終わった直後にアルさんから冒険者ギルドに行けと言われた俺は、2分ほど走って目的地である冒険者ギルドに到着した。ただ、ここでおかしな事に気付く。………………足、速くなりすぎじゃ無いか?
「もしかしたらアルさんの便利になるからと唆されて両脚につけた擬似魔力血路の影響か………………?だが、身体強化出来る魔法は持っていなかったが……………『精錬』の様に『火魔法』の別の使い方の枠内なのか?」
まぁ、本来なら20分かけて走って行く所を軽く走って2分で済ませることが出来たのは時間が短縮できたという事にして喜ぶこととしよう。そう思いながら俺はギルドの扉を開くのだった。
すると、丁度依頼を受けに来る人も達成を報告する人もいないのか、受付の方はガラガラだった。かろうじて子供がおつかいの様な感じで素材をお爺さんな受付に渡していてる少しだけほほえましい光景があるだけで、イケメン受付も、おっさん受付にも、美少女受付の所には誰も並んでいなかった。
しかし、俺に気付くと美少女受付的なポジションの女性が俺を手招きしていた。俺の存在に気付いてもおっさんは何も反応しなかったが、イケメンの方は特別手当がぁぁぁぁ~。という表情をしているのだった。
「あっ、新規登録者の方ですか?登録を行いますのでこちらの席にお座りください。後、紹介状などがあれば、それをこちらにお渡しください。内容を確認したうえで登録を行いたいと思います。」
「そうですか。ならこの紹介状を渡しておきます。」
「…………………噂は聞いていましたが、アルトマンさんからの招待状という事は、貴方はアルトマンさんに訓練されたアルトマンさんの弟子みたいな物になるわけですね…………。」
「そうなるな。しかし、この紹介状で何が変わるんだ?」
すると、受付はアルさんからの紹介所を読み込んだ後、下に置いてある羊皮紙になにやら書き込んでいる。まぁ、紹介状なのだから『どこかの専属になる』か『ギルド内で少しだけ受ける依頼を提供して貰える』という様な許可を得る為なのかと思った。
「えー、あなたはアルトマンさんから紹介されたので、『精錬』を使える人がいませんので助かります…………………。なので、あなたを生産10級から生産初段まで上げさせて貰います。」
「……………………まぁ、そこまで上がる位の修行だったからかもな……………特に後半は。」
そして、この受付嬢はそのままこのギルドの説明を始めた。…………………まぁ、聞いておかないと後々困ると思い、俺はその話をじっくり聞くのだった。