戦意喪失の報酬-5
とりあえず、ヒュドラからの頼まれ事が終わった事とこれから先は海のある方へと進んでいくという事をチャットで伝えてみた。すると、すぐに返信されてくる。………………まぁ、一匹狼的な立場にいる私の動向は気になるのだろうとは思うけどね…………。
『というわけで私達は海のある方へ向かうことにした。……………まぁ、頼まれていた事は終わったからね。気ままに旅をしてみるよ。…………………まぁ、この世界で生きるには金も稼がないといけないけどね。』
『そうか、なら俺達も頑張らないとな……………。後、魚が手に入ったらフレンドギフトで贈って貰えないか?アーティフィリアには海どころか川すら無いんだよ…………。あるのは井戸と魚の住まないため池だけだ。』
『………………まぁ、海にいる時間は少ないかもしれないから保証はしないけど………………。マイルポイントは稼げるから使わせて貰うよ。ただし、望み通りの魚になるかは分からないけど。』
正直ガチャで魚を当てる方が味の保証は出来るのだけど、この世界の魚も肉と同じように絶品な物も存在するだろう。それに、『鑑定』のおかげで美味い魚か不味い魚かも分かるしね。
『………………そういえば、学園長がこのチャットに参加したいと言っているんだが………………大丈夫か?今は城のある町を離れてマルセントという町で冒険者やっているらしいが……………。』
『敵対してないなら問題ないよ。いざとなったら私がチャットから消えれば良いし。ただ、三組の方にはあまり良い報告は聞けないな……………。私達には現状を知る術が無いからね………。』
プライドが高すぎる人間達が集まったせいか、生徒会のカリスマ性が使えず、ガチャ持ちであるという理由だけで使いっ走りにされかける他、初日の時点で死者が出た3組は今頃どれだけドロドロしているのだろうと思えてくる。
まぁ、別のチャットの中で黒木と蔵鮫以外の3の字を見かけるので全滅したという事では無いだろう。………………まぁ、現状知らなくても別に大した事は無い……………。それに、元の世界に戻るという名目で魔王を殺そうとしても、実力不足で殺せないレベルの集まりだろうから討伐しにいかなくても良いのだろうけどね。
『……………………じゃあ、私は海の方へと向かわせて貰うけど、馬車は既にあるから余っている奴は送っておくよ。デカい奴だから織村の方にやっておくよ。冒険者になれば必要そうだしね。』
そして、置物になりかけていた教師達の乗ってきた馬車を織村の所に送った私は、海の方へ向かうための準備を始め、明日の朝出発する事にしてランタンと供に眠るのだった。
次話から剣城視点では無く織村視点の話、クラリス視点の話をやります。………………作中で剣城達が海に辿り着くのが3ヶ月後という予定ですが、その道中で面白い話が書けそうに無いからです。
次話はアーティフィリアに連れて行かれた人達の事を織村視点で進めていきたいと思います。