新生活の始まり-8
『鑑定』の実験については終了したので次に私は『解体』を試してみることにする。そしてウルフに向けて『解体』を発動した。…………すると、ウルフのしっぽが青く光り出し、胴体と牙、心臓が金色に光った。
………………これ、ガイドみたいな物なんだろうか……………?そう思いながら私は刀を使ってウルフのしっぽを切り取り、次に胴体の皮を剥いだ。そして最後に心臓のあたりを探ってみると……………少々デフォルメされた心臓があった。
…………………とりあえず『鑑定』してみると…………こんな感じになっていた。………………………まぁ、モンスターや人などとは表示が違うのは当たり前だろうと思いながら見てみるのだった。
ウルフのしっぽ
・価値 0G
・ウルフの討伐部位となっているだけで、本体自身に価値は無い。掃除道具などに加工される事があるが、すぐに使えなくなるので重宝されない。
ウルフの犬歯
・価値 800G
・主に矢に加工される。それなりに鋭いので重宝されている。
ウルフの皮
・価値 350G
・主に皮の鎧として利用される。破れやすいが修理しやすいため初心者や子供には人気がある。
ウルフの心臓
・価値 7500G
・主に漢方薬の材料として利用される。効き目は良いがその分苦くなってしまう。心臓のまま食べると軽く意識が飛ぶほどの激痛が襲ってくる。
……………………………私は段々と血の臭いに耐えきれなくなったので、美華にも解体を試した後にしっぽと犬歯だけを持ってこの場から去ろうと思うのだった。一応討伐部位が青色、その他価値のある素材が金色で表示されるらしい事が分かったので試しに美華でもやってみたのだった。
一応、金色の部位はあった。…………………しかし、私はそれを見なかった事にしたくなった。………………いや、三つあったんだが、二つは完全に下ネタなので、女性である私としてはそれをスルーした。軽く『鑑定』したらサキュバスの使い魔の餌になるという情報しか無かったからね…………。なので、私は回収した物だけの結果を書いておく。
故人のスマートフォン
・価値 2000G
・誰かが使っていたスマートフォン。持ち主が死んでしまったためか、ただの鉄の塊になりつつある。誰かに売られた後に誰かが購入すると『中古のスマートフォン』に変化する。
私はポケットの中に回収するべき物を入れてから騒ぎになる前に去るのだった。………………………まぁ、持って行く物を持って行けばぼろ儲けになったかもしれないが、今は鞄や袋は持っていないから仕方なしという事でその場所から逃げた。
その少し後に人間と狼の死体がある!!と騒ぎがあった事が『帝高校チャット』を見て分かった為、その判断は正解だと思うのだった。能力者が一般人を殺したと騒がれたら色々と面倒になるからなぁ………………………。