巻き込まれた教師達-1
「………………………あれ?確か高校からの編入生の……黒華鉄さん?なんでこんな所に………………って、これ闘わないといけないんですか!?む、無理です!!私は葛西先生に無理矢理連れてこられたんです!!どうかお慈悲を!!殺さないでください!!」
馬車の中で寝ていた教師の中で最初に起きたのはどうやら戦いたくないのにも関わらず、別の教師に連れてこられた境遇らしかった。…………………ただ、葛西先生というのがどんな教師だったのか分からないけどね………………。
「まぁ、このまま魔王を倒しにいくという事をしなければ何もしませんよ。そうしてくれれば依頼も終了しますから。」
「そ、そうなんですか………………。じゃあ、他の三人も教頭先生に連れていたので問題ないと思いますよ。」
そう言いながら彼女は自己紹介をしてきた。…………………ちなみに、私の事については私が男装しているという情報以外は把握しているらしい。………………まぁ、仮にも教師だから編入生についての情報に目を通したこともあるのだろうと思った。
「………………では、改めまして………。私は三波 友衛と言います。教科の担当は簿記で、生徒会顧問もしていました。まぁ、ここでの生活にはあまり役に立ちそうに無いですけどね…………………。」
「なんというか、生徒会顧問ってそれなりに地位のある人がやるのではと思うのですが…………………。」
すると、三波は明後日の方向を見ながらこう言った。それは利にかなっているというかなんというか………………良く言えば適任、悪く言えばあまり使えないから押しつけられたという感じだった。
「私は庶民側の方から来た教師になるわけなんですが…………、生徒会のメンバーがとても優秀でして………………。その代わりに暴走しないようにという監視役という役と、私が以前顧問をやっていたレトルト研究部が廃部になったのが重なってこうなったわけです。」
ちなみに、レトルト研究部というのはフリーズドライやインスタント食品などを研究し、より美味しく、より手軽に食べられる物を研究するという名前に反して結構真面目な部活だったのだが、部員が入らなくなって2年で潰れたという事らしい。
「そこで寝ている青ジャージの先生が私の着任前に合気道部と兼任していたのですけど、護衛術として合気道が使いやすいという事で人気が出て部員が多くなったので、生徒会顧問の枠に私を押し込んでそちらに専念する事にしたらしいのです。」
そんな感じで三波が話していると、その青ジャージの教師が起き上がったのだった。……………………しかしまだ寝ぼけているというような感じの為、自己紹介ができる状態になるまで暫く待つのだった。