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勇者と愚かな教師達-4

最初の教師が喰われた後は熊による殺戮ショーが始まっていた。後ろから聞こえてくる叫び声に反応したのか、余裕ぶっていた教頭ですら剣を構えて熊と対峙していた。…………………その時には私が出した無数の凶器すら記憶から消されていたらしい。


…………………まぁ、あれだけの熊や狼、大蛇が現れるとパニックになるのも分かる。それに、いつ飛んでくるか分からない凶器に警戒を向け続けているよりも、現在進行形で起こっている熊や狼による被害を抑えようとした反応は当たり前だしね……………。


だが、熊の殺戮ショーは安っぽいホラー映画よりも悲惨だったような気がする。前述したように、熊の唾液は骨を溶かすという特性がある。この特性が教師達に、より悲惨な最期を遂げさせたのが熊達の殺戮ショーをよりいっそう引き立てたのだろう。


その為、女性教師の一人が熊に抱きしめられてから内蔵を一気に潰されて事切れた後、熊の唾液を顔にぽたぽたと落とされて彼女の顔はデロンデロンになりながら溶けていったのだ。………………頭蓋骨という物は露出せず、白い液体となって目玉や髪と一緒にドロドロと流れるのは恐怖を通り越して滑稽と思えた。


まぁ、唾液により溶かされるのはほんの数人であり、殆どは最初の教師みたく体の一部を喰われるというのが普通だった。しかしこの熊達は狙っているかのように中途半端な囓りつきをしている。例えるなら丁度筋肉やら内臓やらが露出する様に喰っているという所だ。


ある男性教師は右腕をバックリと喰われて叫び声をあげ、その後左側の肉を狼達に貪られて絶命した。またある女性教師はへその下側を爪でえぐられた後、えぐられた場所から見える、気持ち悪そうな肉の部分から一気に丸呑みされていた。


この2名の最初に喰われたりした体の一部は、それぞれの肉体の中で一番自慢できる場所だったらしい。しかし、その一部分を喰われ、絶望した二人の顔に熊の唾液の雫が落ちて、骨と皮膚が溶けた白い涙を流していた。


他の奴等は似たりよったりだったが教頭だけは違った。教頭は確かに熊に喰われた。頭を喰われ、肩を喰われ、腹を喰われ…………………心臓を完膚なきまでに潰された教頭は、その場で絶命した。しかし、なぜか教頭は一回だけ立ち上がった。


蝋人形のような溶けて固まった様な顔を見せながら、熊の方へ剣を持って進んでいった。…………………しかし、教頭の体は既にデロデロとし、骨が機能していない体だった為に躓き転んで、熊に踏みつぶされて絶命した。


…………………………そして、教頭の死んだ後、『殺戮魔法』によって出された大量の凶器により、これまで教師相手に無双していた熊や狼、大蛇達は一瞬で物言わぬ死体になり、殺戮ショーはこれで終了したのだった。

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