勇者と愚かな教師達-2
教師達が安っぽい剣や杖を持って次々となだれ込んでくる。その様子はまるでMPKでよく見るモンスターの群れみたいだった。しかし、なんというか………………彼等の走ってくるスピードはかなり遅く見えた。
まぁ、どんな高校であってもまともな剣はさぞかし重たいだろう。杖の方もそれなりに頑丈な物…………質量が多い木材やら鉱石で作られている他、魔法の詠唱に集中しようとして逆に足がもたついているというべきか……………。
「…………………………へっぽこ勇者も数いりゃ勝てるなんて言葉はゲームだけで十分だと思うけどね……………。『殺戮魔法』『獣達の回旋曲』。今から生き残りたい人は頑張って回避してくださいね~。」
私がそう言うと同時に、私に向かってくる教師達を狙った大量の凶器が現れる。しかし彼等は無敵な体を手に入れていると勘違いしているのか、本当にそんな力を手に入れたのか恐れることも無く突っ込んできた。
ただ、彼等の目は私に殺される筈は無いと確信めいた表情をしていた。まぁ、実際に私は彼等を殺すことはしない。実際、私の手で彼等を殺すわけでは無いのだからある意味その表情は正解だったのだけど。
そう思いながら、数分という短い時の間に起こった事を私はニヤニヤと見ていた。私が無双した訳では無い。私は教頭の腕一本以外には何の手出しもしていない。……………簡単に言えば、美華を殺した時と似たような方法で教師達を虐殺したのだ。
「…………………………うっわ、今度は返り血がベットリと付いちゃったよ…………。まぁ、アイテムBOXに入れておけば綺麗にはなるけどね……………。はぁ…………………まぁ、戦意喪失ですむ様な心の持ち主はいなかった訳だけど。」
『獣達の回旋曲』の跡地には、大量の熊が大量の凶器に突き刺されて絶命していた。また、熊の傍には深緑の狼やら紫色の大蛇の死体も転がっている。狼や蛇は熊に踏みつぶされていたり、倒れた熊の下敷きになっている死体が多く凶器が刺さって死んでいるのは全部で数匹ほどだった。
蛇が潰れて死んでいるというのは現実でも見た事がある人はあるかもしれない。内蔵やら肉などがぶちゃっとトマトのように飛び出しているのは流石に少しだけ抵抗があったが、それでも狼の死体よりは気持ち悪くないだろう。……………………まぁ、この様な解説の前に、なぜこの様なモンスターの死体の話しかしないのかを話しておこうか。
教師達はこの死んでいるモンスター達に呆気なく殺された。それはもう、パニックホラーの雑魚敵にやられるただのモブの様になんの見せ場も無く、何のダメージも与えられずに惨殺された。愚かな教師の最期には少し物足りないかもしれないが、少しだけ語ってみようか。
……………………もしかしたら『吟遊詩人』のような職業が手には入るかもしれないしねと思いながら、その惨劇をまるで笑い話を語るかのように語ってみるのだった。
『職業『獣使い』を入手しました。』
『スキル『惨劇記憶』を入手しました。』
『称号『惨劇を産み出しし者』を入手しました。』