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勇者と愚かな教師達-1

「おやおや、美華家当主に追い出された子供がこんな所で待ち構えているとは……………。」

「………うるせーな、ヅラ野郎…………って、アンタが教頭だったか。正直言って編入初日で死んだような物だから教師の顔なんて全く覚えていないんだがな……………教頭のみはヅラで分かったが。」


教頭らしき禿げてピカピカな地肌を隠すため、ヅラだと思われ無さそうなヅラをしたおっさんが私を哀れむかのように第一声を放った。しかし、私の返しに並々ならぬ怒りを感じたようで、少しだけ頬が引きつっていた。


「……………………それにしても、あんな画像を異世界でも作れるなんて思いませんでしたよ。あんな物で私達を脅して自分が現世に戻るという事を計画していたならばそれは間違いだ。学園長は愚かにも、その考えに至らなかったようですがね……………。」


いや、それ以前に私は現世に戻りたいと思っていないのだけど……………と思えてくる。そもそも現世に戻ることの出来る方法があるかどうかも疑わしいし、戻れたとしても一生寝たきりレベルの大怪我の状態で蘇生されるだろうし。


「……………………なんかこの教頭面倒くさいな…………。しかも変なカリスマがあるらしいし…………。」

「そうですね…………黒華鉄さん。私はあの世界ならば既に学園長をも超える存在となっていたのですよ。そして、現世に帰る事が出来れば私達はあの世界を裏からも表からも操ることの出来る支配者になれるのです!!」

「………………………あ~、なんとなくだけどアンタ等の性格というか、どんな人間なのかは分かったよ。…………………………凄く悲しい人間だな。人生がじゃなくて考え方が。」


おそらく、彼彼女等は現世で持っていた権力にしがみついているのだ。現世で持っていた何もかもを取り戻そうとする努力は確かにする。言い方がこうであれば確かに格好は付くだろうが、本当の所はこの世界で一からやり直す気が無い………という感じだ。


「まぁ、黒華鉄さん。あなたもそこで跪いてから、人殺しの罪を謝罪して、許しを請うならば……………………おまけで現世に帰らせてあげても良いですよ?」


物凄くにやにやした顔で教頭が私を勧誘する。しかし、私はそれを断ることにした。…………………後、教頭の言い回しにかなり腹がたったので、宣戦布告も同時にやろう……………と、私は腰にある刀に手をかけ、そのまま教頭の右腕を切り取った。


「………………………当然、お断りだよ。現世の立場に固執している奴等の仲間に好き好んでなる奴なんていないと思うけどね。」


そう言いながら私は教頭や他の教師の反応を見る。…………………結果的には誰も戦意喪失しなかった。………………………魔王討伐を諦めてさっさと城の方に帰ってくれれば、幸せだったと思うのにな…………と思いながら、私は『殺戮魔法』での自作アーツを放つのだった。

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