葉っぱの館-3
「……………………………あぁ、そういえば用事を済ますの忘れていた。さっさと済まさないとね……………終わるかは分からんけど。」
コントなのかギャグ漫画なのかという様な流れになっていたのですっかり忘れていたのだけど、私がここに来たのは観客としてでは無く隣で騒がれて迷惑している宿泊客なのだ。
「あの~、ちょっと五月蠅いので静かにしてもらえませんかね?そちらの事情は分かりましたが五月蠅い物は五月蠅いので。」
「なんだあんちゃん、俺達はここに誰が泊まるかという大事な話をしているんだ。出て行ってくれねーか?」
「……………………予想以上に面倒だな……………。まぁ、殺すほどでは無いけどさ………………。」
私の事には一切耳を傾けなかったくせに、ボソッと言った一言には沸点に達した様で私に掴みかかろうとして来た鎧のおっさんは、私が鎧の隙間を狙った刀の鞘での打撃により蹲ってしまった。………………いや、弱すぎだろ?と思いつつ私はため息をつくのだった。
「………………………はぁ……………やっぱりテントの方で寝る様にした方が何のトラブルにも巻き込まれなくて良かったかなぁ……………。」
そう呟きながらも、今はまだ布団を持っていないために今夜は泊まろうという気持ちは変わらないのだけども……………『葉っぱの館』、部屋数に対してトラブル多すぎと思ってしまう。
実際この葉っぱの館には中から掛ける鍵が葉っぱ故に存在しないため、あのまともな状態なのが白い鎧の奴しかいないパーティーが泊まっているのにも関わらず『グランドホルス』やら私などが入れるというのが一番の問題なのだろうが……………。
「『葉っぱの館』ではこの部屋が一番良い部屋なんだよ!!少なくとも隣の様な布団と灯りと文机くらいしか無い部屋には泊まりたくねぇ!!」
「それにあそこには二人分の布団しかないからな!!」
「もう一つ向こうは商人向けだからな!!あそこでは酒も飲めねぇし、ツマミもねぇ!!だからその酒とツマミを全て寄越しやがれ!!」
問題のもう一つは部屋によって格差と部屋の配置のおかしさである。普通旅行会社の人間が使うベッドのみの必要最低限の部屋という物の配置は私が今いるVIPルームの様なパーティールームの隣にあっても良い物では無い。………………っと、何かとばっちりを受けそうだと感じたので私はその部屋から出てランタンが残っている部屋へと戻った。
部屋に戻った直後に酒とツマミにそれぞれ夢中になっているあのパーティーの女性二人が『グランドホルス』を部屋から追い出すような魔法を放っていた。………あそこから逃げて正解だったなぁと思いながら未だに終わっていない夫婦喧嘩している部屋の方に向かうのだった。