葉っぱの館-2
最初に私が向かったのはパーティーの部屋だ。夫婦喧嘩を後回しにしたのは時間経過による沈静化を願っただけであり、正直このまま泥沼化しそうなパーティーの方を優先した方が良いと思ったからだ。
そして、そのパーティー二つの部屋の扉を開けると、そこには私とランタンが泊まった部屋とは違う備品があった…………というか、バスガイドなどの旅行会社の人用の必要最低限の部屋と、家族で泊まれるなぜか布団とベッドがあるという広く備品の多い部屋となっていた。
「この部屋は『グランドホルス』が予約していたんだ!!それなのに勝手に入って来やがって………………。お前等は人間じゃねぇ!!さっさと出て行け!!」
「そうだ!!さっさと出て行け!!ここは『グランドホルス』の為に用意された物だ!!早く荷物をまとめて出て行け!!後、冷蔵庫に入っていたエールやリキュール代も置いてけ!!」
「それとナッツ代もだ!!これみよがしにとことん食いやがって……………食い物の恨みは恐ろしいぞオラァ!!」
『グランドホルス』と名乗ったパーティーは男3人のパーティーで上から順に鎧と斧のおっさん、皮装備に弓矢を背負ったおっさん、スキンヘッドで手にメリケンサックの若い男というパーティーだった。しかし、3人とも職業は『冒険者』とデフォルトから変わってないように見える。
ちなみに、『グランドホルス』の言い分を『鑑定』にて色々調べた結果、デタラメであるという事が分かる。まぁ、『葉っぱの館』自体特定の誰かの為に作られたという事は無く、『グランドホルス』というパーティーの為に作られた物では無い。
それに予約と言っても『グランドホルス』と書かれた何の効力も無ければ管理者との確認もすんでいるという事も無いただの貼り紙を入り口に貼っていただけで、『グランドホルス』が最後に来たという2ヶ月前の間に誰かが剥がしたのだろう。
極めつけとしてはエールやリキュールなどの酒と、ツマミのナッツの料金についてだ。この酒とナッツは両方とも冷蔵庫に入っている。が、冷蔵庫=自動販売機みたくなっておりGを入れなければ取り出せない仕組みになっている。つまり、『グランドホルス』の言い分のままGを渡すのは間違っているのである。
「そんな予約の貼り紙なんてものは無かった!!それに、『葉っぱの館』は予約など取れないと聞いている!!」
「そーりゃそーりゃ!!言ってやれりーひゃ~!!」
「ここは私達が使っていたのです。ポリポリ…………。なので、出て行くのはあなた方なのでは?ポリポリ……………。」
「グゴーーーーーーッ。」
もう一つのパーティーで、いかにもヒーローっぽい白い鎧の男が一人で抗議しているが、残りのメンバーはそれに参加せずに彼に任せているみたいだった。その様子を見て彼は泣きそうになりながら叫んでいた。
「お前等もちゃんと抗議に参加しテクれぇぇぇぇぇぇ!!!!全部俺任せにするなぁぁぁぁぁ!!!」
彼の後ろにいる呂律の回っていない盗賊の様な軽装の女性、一心不乱にナッツを囓っている魔法使いの様な服装の少女、最後に至っては大きないびきを掻きながら寝ている神官服の男を見て、白い鎧の彼はかなり苦労しているんだなぁ…………と思うのだった。