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新生活の始まり-6

美華の言うことを私が素直に聞くなんて事は無いため、私はスマホを手のひらに仕舞う。これもまたスマホの機能であり、名前は『ペアエンブレムコントロール』だ。このアプリはスマホを魔法により作られる物に変更して、自分の体の中に収納するというお役立ちツールの一つだ。


このアプリがあれば他人に自分のスマホを盗られる心配も無く、紛失する恐れも無くなるという程の万能アプリである。……………まぁ、紋章を入れた部分が切り取られたり、本体が死ぬとスマホは元に戻ってしまうけどね…………。


私がスマホを仕舞ったのを見て、美華は嫌な顔を見せる。多分誰にでもあの顔には「なぜ俺の言うことが聞けないんだ?」という文字が見えるだろう。…………しかし、私はその問いに答える気は無いため、さっさとその場から去ろうかなぁ………と思ったが、美華はジリジリと近づいてきた。


「………………………しつこいんだよ。いい加減運が悪かったと思って諦めろ。そうすれば楽になるだろーが。」

「はぁ…………………分かってないのは貴様だろう?貴様は妾の、俺は本妻の子だ。妾のお前にはどうやっても逆らうことなど出来ないんだよ!!さぁ、その刀とスマホを寄越せぇぇぇぇぇ!!」

「…………………お前は本当に馬鹿な奴だな………………。」


私はそう言いながら、突っ込んできた美華を避け、足を引っかけた。すると美華は無様に転ぶ。そして起き上がった面はとても御曹司には見えないほどに情けない面になっていた。しかも、そのまま泣き言を言い出したのだ。


「…………………嫌だ…………。お、俺は妾の子なんかに殺されない!!でも、俺は妾の子に助けられも、情けを掛けられる気も無いんだ!!だから貴様は俺にその刀を渡して俺に殺されろよ!!俺は妾の子になんかに頭も下げない!!俺の方が生きるべきなんだ!!俺の方が!!俺の方が!!俺の方がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「…………………いい加減静かにしろやコラァ!!テメー、何様のつもりだ?言っておくが、私はテメーに屈する必要も義務もねぇ。つーか、勘違いしているだろうが、世間的に見ればテメーの方が妾の子だしな。」


そう言いながら私は美華の股間を蹴った。すると、美華はその場で蹲ってしまい、完全に無防備になっていた。しかし、私自身で手を下そうとは思っていない。それは、美華の希望を叶えてやるためだ。私には殺されたくも、助けられたくも、情けをかけられたくもない。なら、答えは簡単だ。


「よ、ようやく分かったのか?俺に暴力を振るって、ようやく俺に、貴様の全てを与える決意がついたんだな。いいぞ…………。最初にその刀だ。これでお前は未来の美華家当主の礎に…………。」

『ガウッルルルゥ…………………。』


何かを勘違いしたか戯言を言い出した美華の後ろから現れた灰色の毛並みの狼が、美華の首を噛み切った。それから事切れた美華は、仲間か親子かは分からないが、二頭の狼が来て美華の体を貪り始めた。


その様子を見ても、私は美華の希望通り、助けに行く事は無かった。ただ、狼達によって貪られていく美華の体を、異母兄弟として情けないなぁ…………という様な目で見ているのだった。そして、美華の体を食い終えた狼三匹は、次の獲物である私に飛びかかって来たが、私は刀を抜き、狼の首を三匹同時に切り落とすのだった。




『種族レベルが2に上がりました。』

『職業・冒険者レベルが2に上がりました。特典としてスキル『解体・1』を入手しました。』

『スキル『抜刀・1』を入手しました。特典としてジョブ『居合い切り師』を入手しました。』

『称号『傍観者』を入手しました。『傍観者』の特典としてスキル『鑑定・1』を入手しました。』

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