おのれ悪役令嬢、貴様は少し省みろ!
好きだった乙女ゲーム。
主人公は例の如く良い娘ちゃんではあるけど空気読めない訳ではなかった。攻略キャラに合わせて必要になる能力がゲームとは思えないくらい細かい、SLGですらしないだろ?と言いたくなる細かさぶり。学問各種に容姿や礼儀や料理等のお嫁さん技能各種、RPGでおなじみ各種ステータス、果ては義理や忠誠まで。ステータス画面開くだけでどこの会議資料だと突っ込みたくなる細かさ、開発何考えて作ったよ。
っで。
乙女ゲームの皮を被った戦略ゲーム、ストーリーを楽しみたいだけならパッチが出ることを祈った方が良い、乙女ゲームなら3点、戦略ゲームなら10点。これが有名雑誌レヴューに書かれたこと。
そして見た目買いだかレヴュー無視したか知らないけどゲームの難易度に阿鼻叫喚祭。ゲームのシステムなれるためのチュートリアルキャラですよーとメーカーが強弁した幼馴染ですらクリアできるかボケェと開発ブログ炎上、いやまぁ仕方ないと思えた難易度だったけどさ。
攻略中に挿まれるミニゲームだけでも超絶難易度。これだけで値段分の価値はあると評価されるのは良いことか悪いことか、マネーゲームが組み込まれてる乙女ゲーって実際どうなんだろう?大航海時代突入して貿易王に私はなる!だったし、いや面白くてストーリー進んだときに攻略キャラみて「そういえば狙ってたの君だったね、忘れてた」と素でこぼすくらい楽しんださ。
あと隣国の王子との絡みが国盗り物語とかどうよ?自国の王子と結婚するのにゲーム内時間で12年とかね、いや12年で大陸平定なら異常か。調略とか築城が楽しかったなー。
まぁストーリーは純愛で硬派だったよ、一部以外。
ジャンルとして当然実装されてて不思議じゃないのにハーレムルートが存在しない、いや存在はしたんだけど夢が無かった。ライバルキャラを謀略で陥れ没落させ、邪魔になる両親相手に偽電を用い雇った賊に襲わせて抹殺し、国の重鎮は篭絡か洗脳で意のままに操り、経済を金は命より重い!と清濁合わせた乗っ取り買収で掌握、国王を暗殺して混乱に乗じて権力を手中に収め簒奪し、侵略略奪暴虐の限りを尽くしてやっとこハーレム完成。うん普通に考えてここまでやらないとハーレム維持なんて無理さ。だってハーレムルート以外の全ての要素を使いこなしてやっとたどり着ける通称「覇道ルート」だし、ぶっちゃけそうしないと色々詰むし。
そしてここからが圧巻。エンディングだかエピローグだかしらないけどひたすら一本道なお話を、そう悪逆非道な覇王の物語を見続ける、ひとつのストーリーだけでディスク1枚使ってんのかよと思うくらい長い!攻略キャラ達が「それでも私の愛した人なのだ、だから私は…」とか「汚名は俺が被ろう、愛ゆえにな!」とか「手が、血で汚れてしまったよ、あぁ神よ愛に狂った罪深き云々」とか、嘆いて狂って懺悔して苦悩たっぷり夢散って散々なお話、お前達疲れてるんだよ休めと言いたくなるお話。開発は乙女ゲームに恨みでもあるの?
攻略キャラが苦しんだもっともな原因として。主人公は若さと美しさを維持するために「民とは畑で採れるものなり」な勢いで増産し魔法を使って使い潰し保つ、既に色々と突っ込みどころ満載だったけどこれがレーティング対象の真の意味かと戦慄したのは良いおもい、いや悪い思い出だったね。スチルがぐろいぐろい、乙女ゲームでホラー大賞を受賞したのは伊達じゃない、青髭危機一髪なお話が覇王な独裁者ルートでずっと続く苦痛!狂気の沙汰ほど面白いとか言ってられない開発は狂気に呑まれたのだ…。
最後は死期を悟った主人公が統一国家を圧制と苦悩で満たし、救いは死んだ後のみと煽動して全人類で内乱ヒャッハー笹もってこいな世紀末。皆笑顔で切って切られて刺して刺されてナムアミダブツ、生産はお釈迦で文明崩壊、主人公玉座の間で敦盛ってからProsit!そんで「よき生涯であった、余に後悔の一欠も無し。以て須らく国が余の供となり滅ぶべし」とかどうしてこうなった、これじゃないと思ったよ。だがそれがいい、いや毒されてるよ私、そうじゃない。
こんな世界観に私が生まれ変われと?え、マジで?
いえ不満とかどうとかよりも普通に怖いです、もちょっとハッピーでピースフルな世界観のところがいいなーって思うのです、切に思うのですよ。
行けと、そうあれかしと。あいあいさー、いきますよいってやりますよ、やってやりますとも。
乙女チカラの輝きをみさらせ!
………。
拝啓転生の神様、アナタに遺憾の意を示す。
確かに世界観がヒャッハーしかねないけどそれは覇道ルートな話、それ以外はすてっきーさ。だけどね、けれどね、主人公はなかろうもん。いやさ生きやすいけどさ、努力しないといけないのはゲームもリアルもおんなじさ、伸びやすい主人公はありがたいんだ。
だけどライバルも転生者ってのはどうなの?それもさ…。
「あのね、先輩」
「なんだ小娘」
ご覧の有様、この様ですよ。
「かりにも貴族の令嬢、それも公爵令嬢ともなればね」
「回りくどいぞ、はっきり言えはっきり!」
「盗賊を素手で叩き潰すのはどうかと、それ以前に何でお供もつけないの?馬鹿なの!?」
「何を言っているかと思えばそんなくだらないことを…」
「くだらなくないわよ!」
「実にくだらない!供なぞつけては襲ってこないだろうが!!」
「馬鹿だこいつ!?」
え?中身ホントに私とおなじ現代人だよね、なんでこんなヒャッハーしてるの?それともこれが踏み台さんなのか、どうだったかな15年でかなり劣化してるけどこうじなかった気がする。典型的なハーレム厨はこの世界のもとになったゲームはやらない、だってちやほやされないしゲーム自体に打ちのめされるし。だとするとこやつガチか、ガチでこんなか。
「良いかよく聞け小娘。美味しそうな餌がうろついている→盗賊堪らず襲い掛かる→ストレス発散で叩き潰す→近隣の街が平和に→あぶく銭が手に入って今日も元気だご飯が美味い」
「あ り え な い !」
「今目の前で叩き潰すまでは実現しただろう?さぁ貯金箱から金をまきあげるぞ!」
盗賊のアジトを貯金箱にたとえるな!あぶく銭って報奨金かと思ったらそっちかよ!?
やだどうしよう私の運勢最悪すぎ、って盗賊連中よりかはマシか。うん盗賊さん因果応報と諦めて成仏してね、惨い死に方だけどこれも仕方ないから。残りのも…うへぇ、ドナドナより酷ぇや。
「ねぇ、ねぇってば!残った盗賊の人泣いちゃってるよ?どうするのよすっごい鬱陶しいんだけど、大の大人がみっともなく泣くのすっごいウザイ!?」
「所詮は小娘、胸が平原だな」
「なんでや!胸関係ないやろ!!」
「2人脚をへし折り残したのはな…」
「無視かよぅ畜生、おっぱいおばけめ…。で、残したのは?」
「根城を喋るまで殴る、死んだとしてもまだ居る、もっとも大抵は目の前で死ぬまで殴れば残ったのがすぐ喋る、実に効率的!」
「…もぅ既に喋りそうなんだけど、え?喋るからなんとか説得してくれって?これを?私に死ねと言うの!?」
おい盗賊ども、なんだよもっと気概見せなって、悪党なんでしょ?今まで散々悪事働いたんだからまともに死ねるはずないじゃんか、ね?ほらみっともなくさ。ちょこら逃げようとしないでよ、あぁもうわかったわよ素直に喋ったら?楽に死ねるとおもうから、たぶん。
えぇいせからしか、泣くなし。あ~もう、めんどうになってきたなー。
「あのさ、先輩」
「なんだ小娘、情報を引き出せたのか?」
「…一思いに殺してやってくれない?私スカウト技能持ってるし足跡なりなんなりたどってアジト探すから、もぅみてられないからさくっとね?」
「…ふむ」
oh…ほんとにさくっとやりおった、スカウト技能満載な私ですら見えない速度で刈り取ったし。いや待って私で見えないってどこまで鍛えたこのお嬢様、てか素手でこの切れ味絶対ニンジャだろお前、なんだ武器より素手のが強くて鎧着るとやわっこくなるのか?ありえない、いくらスペック高いライバルな悪役令嬢だとしてもこれはおかしい、どうしてこうなった。
「先輩…」
「たどれそうか?」
「あーうん、それは問題ないよ、程度の低い盗賊だったしこれくらいはね」
「主人公でその技能はいらないだろう」
「世を忍ぶ仮の姿って格好良くない?ほら石川五右衛門とか風魔小太郎、ありだと思う」
「それは両方とも盗みなり破壊活動が主だろうに」
「ファンタジーだから良いの。じゃなくて、なんで先輩そんなに強いの?いくら元のスペック高くたってそこまで強くはならないと思うんだけど。どうなの?修行しすぎて脳みそまで筋肉で思考は反射のみとか?」
「ふむ、まあ修行はしたな」
「どんな?」
「崖から飛び降りた」
「…なんで?」
あ、聞かなきゃ良かったかも。絶対これ変な修行だ、常人が耐えられないようなの。
「この世に転生して体を鍛えようと思った時にな」
「…」
「前世から考えて時間が足りないと思ったのだ」
「…で?」
「だから増やす為に崖から飛び降りた」
「繋がってねぇよ!!」
え、なんで?時間増やすのと崖から飛び降りることが=ってそれはないでしょうよ、ないったらない。
「私は事故で死んでな。その時に感じたのだよ時間が引き延ばされる感覚を、あの穏やかで優しさに満ち溢れた白い世界、正に聖域である。ならばその引き延ばされた時間の中で鍛えれば常の連中よりも早く、研ぎ澄まされた感覚によって鋭く精確に己が身を練り上げる」
「先輩さ、前世で頭おかしいとかよくいわれなかった?」
「言われたがどうした?」
「…なににたいしてよく言われた?」
「常日頃の言動だがそれがどうかしたか?」
「…」
前世からこんなかよぅ…。
おい転生神なにかんがえてこんなのライバルにしやがった、いやまぁライバルにはなってないさ、なんか親分子分みたくなってるけど。まて修行だけで伸びるのはスキルとか、あとはパッシブの補正値程度、レベルによる上昇値がなくてここまではならない。絶対なにかやってるよねー、レベリングでもなんかやらかしてるにきまってる、聞くか?聞くと引き返せなくなるってスキルが囁いてるけど…聞かないほうがデメリット多いっすかそうっすか。
「レベル上げとかきになるなー、先輩にあこがれてるからすっごいきになるなー」
「長くなるぞ?」
「大丈夫、アジトまでまだありそうだから」
「そうか、なら事の起こりから話すとしよう。修行して5年後、私が10歳のころだ」
おいまて暴れん坊お嬢様、崖飛び降り5歳でやらかしやがったのか。
「陛下の命にて殿下の婚約者に選ばれてな」
「へーそれでー?」
これから繋がるのか?え、繋がるとは思えないけど先輩だし、やらかしたんだろうなぁ。
「結婚するのも面倒でどう断ったものか悩んで、即思いついた」
「なやんだ?」
「私の強さを証明できれば軟弱極まりない輩と結婚する必要がないとな。もちろん証明する方法まで思いついたから即実行、何事もシンプルに事を進めるに限ると学んだものだ」
「それで?」
「敵対している国を正面から打ち破った」
「想像以上にぶっ飛んでた!?」
「最初は前線の砦を正面から殴り込んで殲滅して、巡回してる連中を潰して回って、街に駐留している所に突撃して粉砕。これを繰り返しながら本拠地まで進撃」
「降伏とかなかったの?」
「降り首は好かん」
「こたえになってないよせんぱーい」
「降伏など受け取らなければ敵のままだろう?麦穂を刈るが如く蹴散らした」
「降伏くらいうけとってやれよ!?」
「なれば初めから敵対などするものではない!!」
「そうだけどね!?」
ヤヴェ、強い理由が分かってきたけどこれは酷い、惨い。
「敵本拠地を陥落させようとしたのが戦争を仕掛けてから一月程度だったか?まあそれくらいだな、城に乗り込んだものの相手が愚王の極みでな、命乞いやら財宝や生贄を捧げるから云々と…」
「先輩さ魔王みたいにあつかわれてるじゃん。っでどうしたの?」
「見苦しいのでな、首を捥いだ」
「鬼かお前!?」
「だが宰相はまともであったぞ?愚物を支え国を取り繕いなんとしても延命をと足掻いていたからな」
「その宰相は?ってか国は?」
「南方のリンクス領で守護代を任されている、リンクス領が前リンクス国だ」
「あの広大な領を落としたのか…」
そりゃあの領の規模で国だったものを落とせばレベル上がるよねー、上がるけどさー。
ぶっちゃけありえない、あってたまるかよぅ。先輩頭おかしいけど結婚断る理由に何で国を落とすとかなるの、待て結婚断ってって事はイベントフラグぶち折れてるのか。まぁゲームじゃないからそこまで強いフラグじゃないんだけどさ、折れてるんだよね?てーか公爵令嬢なんだからふつーに相手は良い所の方々になるんじゃいのかな、むしろコレに勝てる相手とか居るのか?魔王なら…ムリダナ。ってか断れたの!?
「先輩さ、婚約者って勅命だったんじゃないの?」
「だから断った」
「理由になってねぇよ!?」
「うむ。捥いだ首と降伏の使者の宰相を伴ってな、父上と共に参内したわけだが」
「うへぇマジで断ったんだ」
「陛下が何故か困惑してな、うむ不思議だし謎だ」
「…そりゃするよ」
「降伏は受け入れられたがその場に私が居るのを聞いてきてな。」
「ふつーきくよねー」
「そして私は言ったのだ。単騎にて国を滅ぼして参りました、私が伴侶に望むは私より強いことのみ、脆弱な殿下の婚約者などは願い下げでございます、とな!ふはは父上含めて誰一人として反論しなかったぞ!!これで私は見事独身を勝ち取ったのだ」
無茶苦茶やん、これホントあかんやつやん。
陛下も困ったろうなー、家格や見た目からして婚約者筆頭だもんね、それがこれじゃーねー。
ってか敵国ってことは軍部の連中が相手してたんだよね?それ単騎で落としたって凄くない?文句言えないよね、だって怖いもん。地雷原でタップダンスしろって方がまだましだもん。
殿下がこれで脱落してってことは近衛団長の息子も脱落、宮廷内で勧める馬鹿もいなかろうもん、マジで独身勝ち取ってるよ。
「先輩さ、ほんと結婚どうするの?」
「相手がいないな」
「強ければいいんでしょ?居ないの?ほら魔王とか」
「殴ったら死んだ」
「殴ったのかよ!?え、死んだの?」
「うむ。殴り殺したあと世界の悪意を魔王を使い集めて云々言いながら邪神やら破壊神が復活となってな」
「邪神とか破壊神居たんだ…。なんとなく予想できたけどそいつらは?」
「殴ったら死んだ」
「…oh god」
「まったくもって不甲斐無し!」
「無茶いいなや…」
あかんこれ、神殺しになっとーよ、うへスキルでみたらマジ称号もってやがる。世界に止められる人が居ない、神は死んだ。
そうだ設定になかった邪神が居るのなら勇者を召喚して先輩の相手を…殴られて死にそうだな、可哀想だしやめよう。拉致→撲殺のコンボは流石に酷いしやめよう。
あー、アジト発見。人は…見張りすらいないのか、中に居るのは弱ってるのとそこそこ元気だから盗賊かな、人質とかとらないでほしいね、まとめて叩き潰しそうだし。
「せんぱーい、アジトみっけたよー。ほらあっこの谷間」
「でかした小娘、うむ確認できた跳ぶぞ。さあて貯金箱の中身はいかほどか」
「あいあいおー、おぉう転移魔法って便利だね。いちお攫われた人いるっぽいし穏便にね?」
「賊は?」
「確認できたので2、弱ってるのと一緒だからお楽しみしてそうかなー。うへ扉鍵しまってるし、ツールツール、よしこれなら開くかな」
「なら殲滅だ、後腐れないようにな」
「…言うまい。じゃあ扉開けるから一寸まって」
「砕 け 散 れ !」
「待ってっていったのにー…」
自由すぎるし。扉は殴って砕くもんじゃねーよ、ノックはどーした、違う私があけるのまてよぅ。
前世からこうだったんだろうなー、突っ込み役と一緒に転生すりゃあよかったものを。
あぁ来た来た、来ましたよお盗賊が。おぉういっちょまえに人質まで連れてきおった、馬鹿が、この公爵令嬢たる先輩が人質如きで止まるものかよ。どうせまとめて問答無用にオタッシャするにきまってる、この人質はもう駄目だぶっ殺してやる!とかいわんばかりに。
「くっ小娘共がなんのウボァー!?」
「ちょ先輩せめて聞いてあげようよ、これはあんまりだよ!ほらそっちの人質のおねーさん達ガクブルしてるよマジでおっかねぇ行き成り殺りおった。だ、だいじょうぶだよー今なんやかんやでたすけるからねー、巻き込まれたら諦めて昇天してね?」
「だ、誰だ貴様等、そっちのぺたい小娘はまだしも「ぺたいだぁあ?あ゛!?ぶっ殺すぞ!?」ひぃ!?だっだが今に俺の仲間が戻ってきててめーらなんざ」
「すでにそこのと同じようにミンチより酷ぇやになってる、ほんとに酷い有様に…」
「…マジ?」
「マジ」
「Fucking Christ!!」
「気持ちは分かるけどさ、諦めなよ。もぅ楽になりなよ」
「死ぬだろそれぇ!?くっ畜生が殺されて堪るかよ!だいたい貴様はどこのどいつだ、裏で勝手しやがってただで済むとはおもうなよ!!」
「先輩、一応話聞いてあげて。それで人質のおねーさん達は安心できるから。もう盗賊なんてしーらない」
あーもう、もうちょっと待ってね?人質のおねーさん達、このこっわーいお嬢様がイッチーコロリするから、そうそうほんとするから。え?しんじられないって、ほらそこのミンチ見て見て、あれ魔王相手にもしたから、そうそう魔王、あの魔王。最近平和だなーって思ったら殴り殺してたみたいでね、殴ったら死んだって。信じられないよねーでもさっきスキルで見たら『魔王を虐殺したモノ』とか『邪神を粉砕したモノ』とか『破壊神を破壊したモノ』って称号もってたから。正真正銘化け物でございます。
「小娘、話は終わったか?」
「私じゃねぇよ!あっちだよあっち、盗賊の話!!」
「もうやだこいつらあたまおかしい…」
「あ、へたれやがった」
「畜生誰だよお前等、何でこんなことなってんだよどいつもこいつもふざけやがって。幼馴染には裏切られるし結婚したと思ったら詐欺で金巻き上げられたし商売しても嫌がらせやらギルドの罠で追われたし。畜生世の中まちがってやがるこんなの許せねぇよなめやがって。復讐だ、報復しねぇでどうすんだ、ちくしょうやってやんよ。先ずは手前ぇからだ名乗れコラぁあ!!」
「正義!ワイデンライヒ公爵令嬢!!」
「「「………」」」
「先輩、それはなかろーもん」
自由にもほどがある、どこの2号さんだ。
………。
あのあと速攻盗賊は死んだ、あじゃぱーとか久々に聞いたよ。
結構不幸な生い立ちだったけど、うん不幸すぎるけど自分から悪事はたらいたら討伐されてとーぜん、慈悲はない。
今は人質だったおねーさん達と伴って旅を続けてる、なんで私も旅に付き合ってるんだっけ?あぁそうだった私の話は『ある程度』聞くから陛下と公爵閣下から頼まれてたんだった。おねーさん達も出世したねー、街娘から公爵令嬢の側仕えだよ、うんごめんね安全は確保できるから諦めて一緒にがんばろうね。メイド服可愛くって似合ってるよ?うん、似合ってる似合ってる、私みたいにスカウト装備にフード付きコートと違ってすっごい可愛い。どこのアサシンだって格好よねー。慰めないでわかってる、こうでもしないと先輩の相手できないもん。いいなーメイド服かわいいなー、え?いや着たら一生逃げられな、わかってるよ!今でもすでに逃げられないさ!
「なんだそんな理由で私と一緒に居たのか」
「あー、うん。頼まれちゃったしほっとけなかったし」
「ありがたいことだな。流石は小娘、機微と言う物を心得ているな!」
「先輩。ありがたいと思ってるなら小娘じゃなくて名前で呼んでよ」
「む、名前を呼んでとは有名なアレか。これはなんだキマシタワーとかスールでマリア様なあれか?まあ良い、見所はあるし問題なかろう。あったらあったで全て粉砕すれば良い」
「おぅ!?そうじゃねーし!!」
「ありがとうフィリーネ。これからも私と共に居てくれ」
「なんだこれ、なんだこれ!?え、ちょっとおねーさん達きゃーとか言ってないでさ、待てコラ!後はお若い二人にとか言ってんじゃねぇよ!!ちょ混ざっても?とか知らんよ、知りたくないよ!?うそ私のルートってライバルな先輩と友情努力勝利のち百合エンド?し ん じ ら れ な い !」
「フィリーネ、私の名を呼んではくれないのか?」
「ナンテコッタイ。アーデルハイト、って呼び捨てでいいのか?魔王やら邪神やら破壊神を殴り殺す相手を呼び捨てで良いのか?」
「かまわんさ、私の婚約者殿なのだろう?」
「どうしてそうなった!?」
「私より強くなる可能性は誰よりもあるからな。仔細問題無し!!」
「あるだろ?なぁあるだろ?女同士とかあるじゃんかさー!流石に友情みたくまぐわうのは知ってるけど結婚とか無理だろ、それ以前にお前みたいなのに勝てるかボケェ!!」
「問題ない。がたがた抜かすようならば叩き潰すまでよ!フフフ、力こそ正義とは良い時代になったものだな。我が拳に砕けぬ道理無し!!」
「どこの世紀末だっ!!」
あぁ何故私はこんな乙女ゲーの皮を被ったヒャッハーで世紀末な世界に居るのだろう。
後の歴史書とかどうなってんだろう、悲劇のヒロインはありえない、絶対無い。たぶん世直し世壊し公爵令嬢のお供なアサシン王とかそんな書かれ方するに違いない、某自害せよランサーで呪いあれな戦争にアサシンガチャシークレットで出れるくらいの書かれ方しそうだ。
あは、あははははは。
「欝だ…」
そんな私の人生に幸あれ!
先ずは酷い内容ながらここまで読んでいただいた方に感謝を。楽しんでいただけたでしょうか。
乙女ゲームとタグ打ちながらのコレジャナイ感、詐欺と言われても自分で納得しそうな内容です。乙女ゲームってなんぞ?な状態な上、薄い知識を希釈して濾して舐めた程度しか知らないで書いた作品です、色々心配になりますがこんなで良いかなと。
前回も似たような内容でしたが読んでくれた方は多く、PV1000は十分多いと思うのですが。えぇ他の作者様は数倍ではきかない数をたたき出しておりますね、比べるのは間違っていると確信する次第。実際面白い作品多いですからね、納得の理由。
最後に。
ここで言うのもなんですが前作に評価、並びにブックマーク登録されたかたへ感謝を。
見ていてくれるのだと励みになります、リハビリとか禁煙とかなんやらで…。