表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜に二人で  作者: 呉万層
3/12

はじめての自由

 高熱を発した健が、眠り続ける間、雨は三日に亘って降り続いた

 雨が上がると、奈央の遺体は、滑り落ちた斜面からかなり離れた場所で、土砂塗れの姿で発見された。

「お前は、なにをしていたんだ!」

 奈央の遺体の前で、東京から帰って来た父親は、健に会うなり、鉄拳をくれた。

「何で、ちゃんと見ていなかったの!」

 母親は平手だったが、心情的には、父親の拳よりも、痛みは強かった。

 両親は、妹を失った兄を心配せずに、しばらくの間、健を罵倒と暴力の的にした。

「お前のような無責任な奴とは、一緒に暮らせん。これからは、離れに住め。本当なら、放り出してやるところだが、世間体もあるからな。感謝しろ!」

 散々罵り、暴力を振るった挙句、父親は、健のために、部屋を用意してくれた。初めて個室を得て、健は少し嬉しかった。

 冷たい目をした両親と、痛む体がなければ、もっと嬉しかっただろう。健は、算数のテストで、九十九点をとった時のような気分にまま、念願の個室での生活を受け入れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ