第一話 第六部 練習開始
巴美羽「うーん、練習メニューが簡単すぎるね。」
巴美羽の言葉に私たちは目をぎょっとさせた。さすが天才といいたい所だけど監督の目の前でそんなことを言えるなんて。たいした自信がないと出来ないことだ。
監督「まあやってみればわかるさ。それじゃあ練習開始するぞ!」
皆「はい!」
代表のメンバーは走って荷物を置いてグラウンドに移動した。私はそれについていくように走っていく。引っ張っていきたいという気持ちが…沸いてこない。
「それじゃあ練習始めるわよ!」
あれは全国大会でベスト4チームの最上 夕菜さんだ。一番バッターとして全国で名を轟かせてきた人だ。引っ張っていく力は相当あるみたいだ。
夕菜「いっちに! いっちに!」
皆「いっちに!」
私も声を出して走り出す。しかし隣にいる巴美羽はどこかそっぽを向いて声を出していない。本当にこの人は何なんだろうか。ダメな人間でしか思えないし、周りは軽蔑の目をしてもおかしくない。なのに不思議と人を集める。そして会話は気さくに話しかけてくる。本当になにもかも読めない。
衣世「すげぇな。胸いくつあるんだ。」
みちる「れ、練習中にそんなこと聞かないで!」
みちるが怒っている。あの衣世って人も髪染めて体わざと日焼けさせているように見える。でも実力は確かなんだ…。そして誰にも流されず湯子は一生懸命走っている。…私は…楽しく、明るいプレーと練習がモットーじゃなかったのかな…。気合入れないといけないのに…。
夕菜「次はキャッチボールよ! 準備して!」
衣世「みちる、キャッチボールしてよ。」
みちる「わ、わかった。」
みちるが衣世とキャッチボール。あんなに喧嘩していたのにソフトボールのことになればもう同じチームなのか。
湯子「あ、キャッチボールいいですか?」
「いいよ!」
湯子もキャッチボール相手を見つけている。私もグローブを出して相手探さないと…。
ポロッ
あれ? これって…お父さんとお母さんが作ってくれた…お守り…。