第一話 第五部 お互いに分かり合うとは
衣世「わっ!!」
みちる「きゃああああっ!」
衣世「犬みたいな反応するなお前。可愛くていじめたくなるね!」
みちる「ちょっと、そういうのやめなよ!!」
衣世「うわ、ビクビクしながら答えてる! …でも気に食わない。でかいんだよ、羨ましいんだよ。」
みちる「それならあなたのバッティングセンスも羨ましいわよ。」
なんだか喧嘩しているようでお互いのすごい所は分かり合っているようだ。私もそう思えるけど…この人だけは思えない。
巴美羽「なによその目は。」
由紀「何もないわよ。」
巴美羽「もし本当に勝ちたいと思うなら両親のために頑張らないといけないって思えないの? 私ならそうするね。」
由紀「…たまには良い事言うのね。でもあなたに言われても何か納得できないわね。」
巴美羽「私は同じような境遇にあったからこそ言えるのよ。」
由紀「えっ。」
巴美羽「親のために野球をやってきたならずっと親のために最高の野球をみせないとね。…話すの面倒になったからあっちいくわ。」
面倒になったって…本当に自由人で飽きっぽい人だな。でも正論の部分はある…私にできることは…まだあるのかな…。
監督「集合!!」
皆「はい!!」
代表監督が私たちを呼んで集めた。いよいよ全国大会に向けた練習が始まっていく。私は本当についていけるのかな。今までの自信が崩れ落ちているのがわかっている私にこれほど怖いものはなかった。