第三話 第十部 あっという間に
ギィイイン!
夕菜「っし!」
キィイイン!
由紀「よし…!」
一度火がついた私たちの打線は止まることがなかった。五回まで12得点、あんなにすごい投手を引き摺り下ろし、後続が出ても打ち続けるこの打撃はずっと止まらない。先発全員安打が決まったときから始まったこの爆発的な攻撃、そして…。
シュゴオオオ バシン!
ストライクバッターアウト!
湯子「っし!」
湯子の完全な覚醒。その後は奪三振こそ少なかったものの、安打はたった2本、もちろん点なんて入っていないし、内野ゴロ、外野フライのみで抑えていた。すべては…巴美羽が影響しているのではないのだろうか。サボり魔と呼ばれる彼女だけど…教えるセンスも選手としてのセンスも桁外れのものを持っている。この人は…こんなひどい人だけど…いるべき存在の人なのだろうか。
そして…いよいよコールドが成立するところまであと一人というところまできてしまった。湯子はいたって落ち着いた顔をしている。なんというか…すごい。私も尊敬してしまう。
シュゴオオ バシン!
ストライクツー!
後一球、追い込んでいる。もうここまでくると相手にとっては万事休すだろう。しかし諦めていない。最後に必ず何かありそうだ。
シューー ギィイン!
私の所に打球が飛んできた。大きなフライ。これなら…落下点に入って取れる。ゆっくりと構えて…。
バシン! アウト! ゲームセット!!
由紀「っし。」
湯子「ふぅ…。」
みちる「湯子さん、ナイスピッチングです!」
あっという間に試合が終わってしまった。終わってしまえば12対0、一方的な試合になっていた。打撃陣がすごいのはともかく…この試合からいきなりあんな球を投げ出した湯子…すごすぎる。




