第三話 第九部 衣世のバッティングと走り
バシーン! ストライクバッターアウト!
湯子「よし…。」
湯子は三番バッターまで三振にとってマウンドを降りていった。一回に二奪三振、すごい投球だ。私はびっくりしたままベンチへと戻っていった。
由紀「すごいね湯子。」
湯子「私自信もびっくりよ。というか巴美羽、どうしてそんな所を見つけたの?」
巴美羽「何日間か練習している所を見ていれば分かるよ。簡単じゃない。それにすぐに直せる所しか言ってないからまだ直せる所はあるよ。」
湯子「え!? 教えて!」
巴美羽「ばーか。自分で考えてみなよ。というかめんどくさい。」
そういって巴美羽は飲み物に手を付けた。なんというか自分勝手な人だなぁ。
衣世「私の出番か。いってくるぜ!」
バシバシ
みちる「痛いよ痛いよ!」
衣世はみちるの頭をペチペチと叩いてバッターボックスへと向かっていった。なんというか、これはいじめではないだろうか。もう…何やっているんだろうか。
衣世「お願いしまーっす。」
衣世はバッターボックスに入った。ゆったりとしたフォームで構えるとバットを少しだけゆらゆらと揺らしていた。本番でもこのフォームは変わらない。打ちそうな雰囲気は全く出さない。だけどひとたび振れば…簡単に持っていく。
シューーーー ブン バシーン!
ストライクワン!
衣世「(もうちょい位置変えてみるか…こうかな。)」
衣世はタイミングか位置を確認するかのように素振りをしていた。なんだかこの打席は簡単に打ってしまいそうな感じがする。直感だろうか。
シューーー
衣世「(こうやって!)」
ギィイイン!
巴美羽「うわお。」
打球はライト線上へと転がっていく打球になっていった。これなら長打が狙えそうだ。
衣世「セカンドまでかな。」
しかし意外にも足が遅い。全力で走っていない…いや、あの走り方。もしかして全力で走れないのだろうか。何かあるはず…。でも結果的に二塁打になっていた。
みちる「ナイスバッティング!」
衣世「どんなもんよ!」
みちる、本当に仲が良いのか悪いのか…。




