第三話 第一部 巴美羽の事情
衣世「あー生き返るわ。」
みちる「なにそのだらしない格好! ちゃ、ちゃんとタオルぐらいしてよ!」
私たちは試合の前日に温泉に浸かっていた。私は練習の疲れをしっかりと取るためにゆっくり浸かっていた。そして隣には何故か巴美羽がいる。なんで?
衣世「それにしてもみちるってすげぇ体だな。胸もあるし。」
みちる「やめてヘンタイ! そんな衣世こそ!」
由紀「や、やめて! そういう話はダメダメダメダメ!!」
なんでこんな話をするのよ。もう、恥ずかしい。
巴美羽「私たちには関係ないよねー。」
由紀「体系が似てるからって変なこと言わないでよ、エッチ。」
巴美羽「こう見えても彼氏作ったことないぜ。」
由紀「か、彼氏もいけないのっ!」
湯子「純粋すぎるわね。」
夕菜「露天風呂はいいわね。私たちは向こうでゆっくりと浸かっているわね。」
巴美羽「うわすっげえ体。」
私はもう耳をふさぎ、あきれながら巴美羽が落ち着くのを待っていた。やっと落ち着いてきた所で上を向き、満月に照らされていた月を見ていた。
巴美羽「親の件は大丈夫か?」
由紀「心配されなくても。…でも少しはあるのよね。」
巴美羽「いいよね、親がいた人って。私なんて一度も会ったことないからさ。」
由紀「えっ?」
突然巴美羽の口からとんでもない言葉が出てきた。ってことは親の顔を見ないまま…。
由紀「それって…。」
巴美羽「由紀とは違うよ。捨てられただけさ。だから親友のおじさんおばさんの家で育ったわけ。高校は一人暮らしをするつもりだけどな。」
巴美羽は上を向いてため息をついていた。巴美羽にもこんなことがあるんだ…。
巴美羽「私の将来の夢はプロ野球選手。そのお金でおじさんおばさんにお金を送るんだ。そして…そのお金で本当の両親に会うことさ。」
巴美羽は手を上に伸ばしながら話していた。そんなことがあったのか…私も…お父さんとお母さんに恩返ししたかった。いや、これからするんだ。私も…プロになって。
巴美羽「あーあ、話すのが面倒になってきた。風呂でるねー。じゃ。」
巴美羽はマイペースに風呂を出て去っていった。わたしはその後ろ姿を見えなくなるまでずっと見ていた。




