第一話 第十二部 負けたくない
巴美羽「あざしたー。」
湯子「(最高のストレートが…いとも簡単に打たれたの…!?)」
湯子は口をあんぐりと開いて唖然としていた。あんなバッターなんていままでみたことない。だれもが驚いていた。そしてそこで湯子の投げる出番が終わった。湯子はかなり落ち込んだ様子でマウンドから降りていく。
由紀「湯子。」
湯子「まけたよ…でもあの人だけは本当に何故負けたのか分からない。変なスイングなのに何あのスイングスピード、信じられないよ。」
不思議すぎてもう何もいえない。私自身にも悔しさが込みあがってくる。あんな全く努力しないで勝ち上がってきたあの実力、ねたましくてねたましくて…。あんなに親のことでお話してくれたのに…あんな人にいわれていたなんて…バカにされている気がする。
巴美羽「うーん、飽きた。適当に守備でもしておくか。」
巴美羽は口笛を吹きながら守備位置へと戻っていく。なんて自分勝手な発言をする人なんだろうか。そしてむかつく。周りの人たちも気にせず仲良く話しているのもまた腹立つ。どうしてこんな人の行動を許すことができるのだろうか? 全国大会で優勝したから? 自分のセンスがすごいことを見せ付けたいから? そんな理由で済まされれる人間がいて良いのだろうか。
湯子「私はあきらめないよ。由紀にも次は負けたくないし、なによりあの巴美羽って人には絶対負けたくない。」
由紀「私も同じだよ…。お互い頑張ろう。お父さんもお母さんも…きっとそれを願っていると思う。」
私は右手を思いっきり握って悔しさをかみ締めた。両親はきっとみている。私は大丈夫だと。




