ベッタンぺッタンな愛の結晶
プラナのお父さんが、お母さんに一目惚れしてベタベタになった、一部の人にはあんまり有り難くない感じのほぼハッピーしかない経緯。
リエンハートとその妻マシュナの結婚は、当時、国内はおろか近隣諸国でたいそう話題になった。
その理由は、彼が有名であったと言うのも無くはないが、夫婦間の身分格差が大きかった事が大半を占めていたと言って間違いない。
妻、マシュナ=レべーシンは小人種族と言う小柄の亜人で、世界の人口のおおよそ10パーセント程度の少数派だ。特徴は、名の通り普通の人間よりも背丈などが小さいことで、成人になっても人間の14、5歳くらいの大きさにしかならず、男女差もあまりない。だが、小振りな体であるのをデメリットと感じさせないほど身体能力や知性が高い者が多く、共和国の主力騎士団「アウルファイン」で、隊長を務める者もいる優秀な人種なのである。そんな中の1人であるマシュナは共和国北部の漁村セダ・アマーラで神官を勤めていたのだが、取り分けて有能と言うわけでもない、裕福でもないごく普通の女性だった。ただ、心は清純であり、他者を思いやる優しい人物で、皆からは大変慕われていた。リエンハートとのただ一度の出会いで、彼の心を射止めたのはその優しさと、取り分けて美人ではないのに、大変魅力的に見える甘い果実のような容姿にあったのだろう。
基本的に種族間の結婚は一部宗教を除いて禁忌ではないものの、暗黙の了解で世界的にほとんど例を見ないのだが、この2人はそれを簡単に打破した。神官と貴族いう立場もものともしない愛がそこにはあったのだ。そして、この行動は一部の若者を中心とした人々に支持され、これ以降種族を挟んだ結婚は少し数を増やしたのだった。
そんな、先進的な彼らの愛の結晶としてプラナは生まれた。人間と小人のハーフと言う珍しい貴族として。