名門! カイザーウォーク家
短気なプラナお嬢様の生い立ちに迫る! への1。
プラナことプラナ=カイザーウォークは、共和国南部にあるフラグメントと言う小国で生まれた。
カイザーウォーク家は、この国に古くから居座る上流貴族で、その世界では五本の指に入るほどの名門一族である。莫大な資産や土地、幅広い人脈を持ち、国王に提言するなど政治にも介入する力も持つため、フラグメントの国民の一部は彼ら一族を影の国王と呼ぶ。しかし、それが批判的な意味に繋がりにくいのは、一族の当主がよくできた善良な人物であるからだろう。
リエンハート=カイザーウォーク。それはプラナの父である。先代が国内で起こったテロにより急逝したため、若くして当主となった彼だったが、非常に優れた政治手腕を持ち、一時は分裂しそうになったカイザーウォーク一族をよくまとめただけでなく、フラグメント国の経済をテコ入れし発展させたり、農業の推進により自給率を上げ貧困層をサポートしたりとその功績は実に大きなものだった。それに、彼の決して思い上がる事のない人格も相まって国王はおろか、共和国のトップクラスの人物にまで絶大な信頼を置かれるまでに至る。しかも、知性だけでなく武にも優れ、完璧という言葉が彼にはよく似合うのであった。
そんな、完璧でスキの無い彼だが、ただひとつだけ欠点があった。それは、とても自分の子供に優しすぎた事である。