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つめたいごちそう

作者: 片栗子

即興小説トレーニングと宣言ブログに併載してます。


テーマ:光の汁 制限時間:15分

今日もそのキツネは空腹だった。

実りの秋。

森のは木の実やキノコがたくさんなってみんなそれをたらふく食べていたが、このキツネだけは違っていた。

ドジで抜けているしっぽの茶色いキツネは、毎日森を駆けずり回って食べ物を探していた。

でも、おいしそうなものを見つけても、そこはもう仲間や他の動物に食べつくされてカスすらほとんど残っていない。

しっぽの茶色いキツネはいつも他の動物のいない森をうろうろ。

でも、そんなところには何もなくて、昨日もあぶない崖の周りを探していたらうっかり落ちそうになってとても危ない思いをした。

もっと気の利く自分だったらな、とキツネは心のどこかで自分のふがいなさを責めていた。

そんなふうに落ち込んだ時、キツネは決まって行く場所があった。

そこは誰にも知られていない、ひみつのごちそうにありつけるところだった。

でもはやくしないとなくなってしまう。

キツネは朝の、薄暗い森の中を寝床から駆け足でいそいだ。

限られた時間にしかありつけない最高のごちそう。

もう日がのぼる。

その前になんとか目的の場所へ辿り着くことができた。

少し開けた野原に、一本の大きな木がある。

その木に今上ったばかりの太陽の光がさんさんと降り注ぐ。

葉にのった朝露が火をあびて小さな光の粒になっている。

キツネは口を開けた。

そこに落ちてくる朝露を口でうけとめるために。

おいしい木の実が食べられなくても、ドジで危ない思いをしても、この一滴の光の汁が、神様からもらえるご褒美のような気がして、キツネはとても満たされる思いがした。

さわさわと風が吹いて葉が揺れ、小さなキツネの口のなかに水滴が落ちる。

ほんのわずかなつめたいごちそうを味わいながら、キツネはあたたかくまぶしい朝の光を心行くまで眺めていた。

動物主人公は結構いけるかも、と思った。書きやすかった。

あと2、3分あれば完結できたな。

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