特訓
ジリリリリリリ
目覚まし時計がなっている。
朝だ。
俺は目いっぱい手を伸ばして遠くにある時計を止めようとする。
しかしなかなか届かない。
「諦めよう。」
俺は布団から体を出す。
今日は寒いなもう四月だぞ。
俺は気候に文句を言う。もちろん返事などない。
俺はトーストを焼きながら制服へと着替える。
なんたって今日から特別時間割で特訓らしい。
俺はそんなのは望んでない。
平凡どごくごく普通の高校生としての生活をしたかった。
めんどくさい…
俺は足早で学校へと向かった。
俺はまず職員室へと向かった。
先生を呼ぶためだ。
なんと若い先生が来るらしい。
ちょっとテンションが上がってしまう。
まぁ、年頃の高校生ならしょうがないと自分に言い聞かす。
コンコンコン
「失礼します。」
俺は近くに居る先生に聞いた。
「すみません。俺の特訓に付き合ってくれる先生はどなたですか?」
俺は目上の人に話すように綺麗で当たり障りのない言葉で話しかける。
「あぁ、その先生なら彼女だよ。」
俺は後ろを振り返る。
はぁ?
おっと言葉には出てないが心の中で思ってしまった。
俺の目の前には制服をきた女子高生が居るではないか。
しかも俺はそいつを知っている。いや、忘れもしない。
俺にこっちを見るなと失礼な言葉を吐いた奴ではないか。
おいおい…冗談だろ…
俺は呆れた顔で見つめている。
近くに居た先生は続けて言う。
「この子はな実力は先生以上、もう生徒に教える立場でいても不思議ではないんだがなんせ年齢が君達と一緒だから高校生として過ごしてもらってるんだよ。だから安心して。」
いやいやいや。安心も何も俺はこいつを信用できない。
こいつは俺の事を覚えているのか?
色々な考えが俺の頭をよぎる。
「さぁ、龍君いきますよ。」
彼女は俺の手を取り引っ張る。
俺は無抵抗でついていった。
「先生。俺の事覚えてますか?」
俺はたわいもない言葉を言う。
「喋るな。気持ち悪い。」
なるほどね。態度を使い分けてるのか。
はぁ。めんどくさい。
顔には出さないように心の中でとどめておく
「私の名前は琴峯あすか。よろしくね。」
「あ、普段は先生ってつけないでね。ばれるのめんどくさいから。」
流れ作業のように会話をする。めんどくさい。
5分ほど歩いただろうか。
先生は1つの部屋の前で立ち止まる。
「ここに入って。」
俺は扉に手をかけ開けた。
そこには運動場よりも広い空間があった。
これも魔法なのか?
聞いてもこの先生は教えてくれないだろう。
俺は1人で解釈する。
「さぁ。特訓しますか。」
おい。説明もないのか。おい。
「じゃあまず魔法よろしく。」
なにを言ってるんだ?他の先生から説明を受けてないのか?
先生は火の魔法で鋭利な円盤のような形をした武器を形成した。
その武器を先生は投げてきた。
「ちょっ…」
遅かった。俺の右側でボトッと音がした。
「うわあああああああああああああ!!!手が手が!!!」
俺の手が体から切り裂かれ、血があふれ出ている。
なにより火が当たった部分はまだ燃えている。
俺は薄れゆく意識の中心の中で思った。
あいつを殺してやる。
俺の視界は真っ暗になった。
「おーい。大丈夫かー。」
俺はのんきな声で目覚めた。
先生、いや、クソババアがニヤニヤしながらこっちを見ている。
「お前、魔法が使えなかったんだな。悪い悪い。」
笑いながら言ってやがる。
だがしかしあれだけの出血量で何故生きてるんだろう。
俺は不思議に思った。
あれ?右腕がある!?
俺はびっくりした。
「あー、手は回復魔法の一種、再生魔法で治癒しといたからな。」
なんでもありなんだなこの世界は。
俺は驚きながらもどこか冷静でいる。
不思議なもんだ。
「まずは魔法陣だな。」
めんどいと言わんばかりのためいきをつき説明を始める。
「お前魔法陣を何で例えている?」
俺は真剣に考える。
だがなにも出てこない。
「んー。言い方を変えよう。お前は何か物を考えて魔法陣を出そうとしているか?」
なんだそんなことか。
もちろんしていない。
だが、これを言ったら殺される。
俺は本能で感じた。
だまっていると先生は呆れて続けた。
「例えばお前がつけている時計。それをイメージしながら魔法陣を展開してみろ。」
俺は時計を手に持ち集中する。
俺はそっと目を閉じた。
こんな簡単で良いのだろうか。
俺は集中したまま目をあける。
俺は驚いた。
まだうっすらだが魔法陣は形成されている。
「先生!」
俺は嬉しかった。
だが、同時に疑問が残る。
魔法属性もなく、魔力もない。
何ができるんだ?
俺は考え込む。
「よし次の段階にはいるぞ。」
先生はさえぎるように次に進む。
「じゃあ次は魔法と言いたい所だがお前には属性魔法がない。どうしようか…」
なぜそんな事を考えるのだろう?
「実戦して体がボロボロになったら再生すれば良いんじゃないですか?」
ハッとした顔で見ている。
あ…バカなんですね。
「んじゃ魔法陣展開して!」
だけど魔法陣でどうやって戦えばいいのだろう。
先生はさっきと同じように鋭利な円盤を出す。
「いくぞっっっ!!」
先生は投げてくる。
俺はそれをよけながら考える。
先生があれを投げれる原理は魔力があるからか?
それとも火自体は魔力で投げれるのは関係ないのか?
俺は考える。
「試してみるか。」
俺は魔法陣は小さくする。
それを投げてみた。
ビンゴだ。
魔法陣は先生めがけて飛んでいく。
「いっけぇぇぇええええ!!!!」
俺はいけると思った。
しかし先生はこぶし一つで壊した。
「甘いんだよ。」
俺の首めがけて火が飛んでくる。
俺の視界はまた突然真っ暗になった。
「明日も来いよー!」
先生はちょっと青ざめた顔で言っている。
俺が明日来ないと思っているのだろうか?
まぁ、確かに来ない方が苦痛ではないな。
俺は少し思ってしまった。
だけど同時に頑張りたいとも思う。
不思議だ。
俺は明日の特訓の為学校を後にした。
「あれ…普通授業出てないけど大丈夫かな…」
少し不安だ。
「今度のターゲットはあいつか。美味そうだな。」
俺は寒気を感じ視線を感じ振り返るが誰も居ない。
気のせいか。
早く家に帰ってゲームをしよう。
そんな事を考えながら俺は帰宅した。