始まり始まり
高校生とはめんどくさいものだ。
何百人という生徒が出入りしている。
人の集団に居ることが好きではないせいか結構疲れる。
下駄箱にシューズを入れクラスを一つ一つ確かめながら自分のクラスを探す。
因みに俺と翔は三組だ。
なんとも都合が良いんだろう
こいつと一緒に過ごすのはとても楽だ。
「三組はここだね龍」
やっとついたか。
ここまで歩くのに何人の人間とすれ違ったのだろう。
はぁ。
翔はやれやれと言った顔で見ている。
文句があるなら言えよ。
まぁ、言われても俺は動じないがな
俺の席はここだな。
「あなたここの席なの?」
横を見ると綺麗な女の子が。はっきり言ってタイプだ
「そうみたいだな。」
俺は無難な返事を返す。
彼女は俺の事を見つめる。
「お願いだからこっち見ないで。」
前言撤回をしよう。
顔は綺麗。だが性格はブスだ。
「お前なんか興味ないから安心しろ。」
俺は席を立ちトイレへ向かう。
めんどくさいな…
学校なんてめんくさいのに、めんどくさい奴に初日から絡まれて俺はなんて災難なのだろう。
俺は自分に言い聞かせるように、慰めるかのように心でつぶやく。
こんな学校来なければよかった。
後悔で埋め尽くされる。
今日の一限目は魔法適性テストだ。
まぁ、つまりあれだ。自分がなんの魔法の特性を持ってるのか調べるのだ。
魔法は攻撃魔法、回復魔法、精神魔法の三つがある。
攻撃魔法には9つの属性がある。
レベル3には闇魔法、光魔法がある。
レベル2には雷、水、火魔法がある。
レベル1には土、音、木、風がある。
ちなみに魔法の属性を三つ所持、又は闇、光の魔法を持っていると特待生になれる
これらの魔法を使うにはもちろん魔力が必要だ。のちにこれもテストするだろう。
「じゃあ次…龍君!」
やっと呼ばれた。帰れる…
属性の判別は精神魔法で分かる。
先生が俺の頭に手をあて、光を放つ。
「こ、これは…」
先生たちがざわついている。
俺はなにかしたか?
まさかこんなに災難にあうとは
「どうしました先生?」
俺はぼそぼそと言う
「君は後でちょっと来なさい。それまで別室だ。」
はぁ。
やってしまった。
「龍どうしたんだい?」
翔がにこやかに見つめてくる。
「呼び出しだよ。翔お前は属性分かったか?」
「その言い方だと属性が分からなかったみたいだね。僕は水だったよ。」
まぁ、察しが良くて。
「それにしても龍。今回のテストで闇属性が出たらしいよ!」
興味がない。だが翔は続ける。
「その女の子顔は綺麗なんだけど、なんせ性格が…て話らしい」
はぁ。今日はついてない。誰だか分かってしまった気がするよ。
とりあえず話を適当に聞き流し俺は先生の所へ行くと言い翔と別れた
なぜ俺は先生へ会わなければいけないんだ。
コンコン
「失礼します。」
そこには偉そうな態度を取ってる人がたくさんいた。
きっと本当に偉いのだろう。
「龍希君座りなさい。」
俺は席に座る。座りごこちが良いイスだ。
「なんで俺は呼ばれたんですか?」
俺は唐突に話を切り出す。早く帰りたいのだ。
「君は魔法陣は出せるかね?」
魔法陣?そんなものは出せないごく普通の高校生のはずだ。
「いえ、出せません。」
先生たちは顔を合わせる。
そしてこう言った。
「君のには一つも属性魔法がない。そして我々が感じる魔力もない。つまり君は魔法が何一つ使えないのだ。」
なんと…
流石に俺もびっくりだ
君には才能がある。百万人に一人の逸材だ!などを期待していたのに。
「君にはこれといった特徴がないのにこの学校に入学できた。おかしな話だ。」
ごもっとも。
俺も思いましたとも。
「つまり我々はこう考えている。君には秘めたる才能があると。だがまだ開花していない。私たちにも分からない能力が。」
ほうほう。
聞いてる俺は他人事のように聞く。
「君を特待生として迎い入れたいとも思ったが建前がある。なので君には一般科に入ってもらいたい。」
その方がありがたいっす。
「だがしかし、我々は戦うために君を武器にしなければならない。そこでだ。君には居残りで魔法の開花の特訓をしてもらう。」
戦う?誰と?特訓?ふざけんな
「一つ質問します。戦うとは誰とですか?特訓は拒否できますか?」
なにやらざわついてる。まずいこと聞いたか?
「戦う相手…これは一般的にはまだ公開してないんだが…」
「悪魔だ。もちろん君には特訓を受けないと言う拒否権もある。だがしかし、そうは出来ない状況に君は陥るだろう。」
おいおいおい。なんだなんだ。これは現実か
俺が悪魔と戦うための武器として特訓?ふざけてるだろ…
「拒否できない状況とはなんだ?」
俺は質問する
「この世界の滅亡。初期化だ。」
はぁ…疲れる役どころだ。
俺はこれを引き受けた
ここに居る方が拒否するより疲れると判断したからだ。
特訓は明日から開始らしい。
何故俺なんだ。
俺以外にも人はたくさん居たはずだ。
「頭が痛い…今日は帰ろう。」
俺は足早に学校を去った。明日から想像を絶する生活になろうとも知らずに。