表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

18

 また唐突になにを突拍子もないことを……!

 実咲人の妄言におののきつつ前を見ると、男の顔面が湯気を吹きそうなほど真っ赤に染まっている。

 いよいよ本気でぶち切れたか。哲平の背筋は寒くなる。

「んっ!」

 哲平の腕を振り切り、実咲人が飛び出した。まるで体当りするみたいな勢い。

 まさか、相手の気を乱しての不意打ち!?

 そんなことはなかった。目の前にそそり立つ男を実咲人は華麗にスルー、一目散に個室に飛び込む。

 すぐさま扉が閉ざされ、鍵が掛けられる。

 哲平は呆然とする。

 しかし考えてみれば、トイレというのは用を足すための場所だ。もともとしたかったのなら、ばたばたしているうちに我慢し切れなくなるのも当り前だ。

「っしょ」

 小さなかけ声に微かな衣擦れが続く。

 なんとなく気恥ずかしくて、視線を横に逃がすと。

「…………」

 実咲人の入った個室の扉に向かい、目を血走らせている男がいた。

 こいつ。怒ったんじゃなくて、「女子」のおしっこに鼻血噴きそうになってただけかよ。

「おい」

 哲平が突っ込むと、男は扇風機みたいにそっぽへと首を回す。

 とりあえず荒事は避けられたみたいだ。が、心安らかな気分からは遠い。

 実咲人が実は男だと知れば、邪な関心も失せるだろう。

「いいか」

 あいつはな、と哲平は切り出そうとした。

 聞こえてきたのはひとすじの水流。

 野郎二人は磁力に引かれるように顔を向けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ