表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

28

 はたして何をどうしろと言うつもりなのか。哲平は表面大人しく畏まりながらも頭の中では激しく警戒を募らせた。

「嫁に貰え」的な何かでないことはもはや確実な状勢だ。まさか「チン○もぐ」的な何かではないだろうな。もし余りに余りにもな内容だったらなんとしてでも離脱を図る。たとえばこの野郎を上手く楯か囮に使えば。

 哲平は横目で柾の様子を探った。思い切り視線がかち合う。

 こいつ。同じ事考えてやがったな。

 再び同時に顔を背け合う。

「あなた達、きちんとなさい。これから実咲人が自ら手討ちにしてくれるのよ。立場を弁えなさい」

 何やらひどく不穏な単語が聞こえた気がしたが、まずは従う。たとえ実咲人の思考は読み切れなくても、直巳ならば分る。もしここで逆らったりしたら物凄く痛いことになる。文字通りの意味で。

 実咲人は改めて二人に相対した。

「柾くん」

「はい」

「テッペイ」

「なんだよ」

 直後、脳天に雷が落とされた。直巳の持つ紫の包みが振り下ろされていた。

「……はい」

 呻くのをこらえて哲平は返事をし直す。

 実咲人が少し困ったような顔を直巳に向けた。

「直巳、ぼくのためを思ってくれるのは嬉しいけど、すぐに暴力に訴えるのはよくないよ」

「…………。あなたがそう言うのなら」

 直巳は不本意そうだったが同意した。

「ありがと、直巳。──それで、きみたちがぼくにしたことだけど」

 実咲人の声が低くなる。一見すると不機嫌そうだったが。

「やっぱりその、失礼だよね。……おトイレしてるとこを覗くなんて」

 桜の花弁が色づくみたいに、薄く頬が赤らむ。隣で柾が鼻の穴を膨らませるのが見なくても分った。

「いくらオトコのコ同士だからって、さ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ