入学式
桜の咲く春に美香は中学生になった。
ため息をつきながらも自分で注文に行った制服を取りに行った。
心は晴れないものの
ま新しい制服や名前の刺繍が入ったジャージ、白い靴下
それらを目の前にすると少しだけ希望が涌いてくる。
新しい環境への小さな小さな期待だ。
鏡の前でこっそりとセーラー服のリボンの結び方も沢山練習し初めて履くひだのある膝下の丈のスカートに
なんとも言えない大人になりかけているような気持すらする。
校則に従い黒い髪をしばるゴムも買った。
入学式に絹子おばさんは忙しくやっぱり一人だった…。
それでもそれは想像のついていたことで美香の心はいくぶんか吹っ切れていた。
大丈夫。うちは大丈夫…。
そんな風に自分を励ましながら中学校までの道を歩く。
式の後に初めて入る教室…。
美香のクラスは1年6組だった。
担任の挨拶後、出席の取り方、校則についてと生徒手帳の配布。
一部教科書の配布…。
沢山の物を配られた。
そして美香はこの教室で運命的な友達に出会う…。
名簿順に座る美香の後ろの席の生徒、
柴田恵だった。
恵の第一印象は大人っぽく少しませている雰囲気。
それは彼女に高校生の姉がいることからきているのだろう。
初めに話しかけたのもやっぱり恵の方で…美香はそれに弱々しい笑顔で答えた。
美香に対する恵の第一印象はなんて可憐な顔をした子なのだろう……。
守ってあげたくなるような…
将来、必ず美人になる顔だわ。
友達になってみたい…。
100パーセント外見に対する興味と憧れからだった。
二人はその日のうちに電話番号を教え合い一緒に下校をした。偶然にも恵の母親も入学式に来られなかったのだ。
お互いの家も案外近い。
何より美香は恵に仲良しの姉がいることがとても羨ましかった…。
私にも姉ちゃんがいたら……とそんな風に思った。
日にちが経つにつれて美香と恵の仲は深まり大阪で初めて友達ができたことに美香は喜んだ。
恵の両親は共働きで帰りが遅い。
子供だけで過ごす時間が長いことも二人の共通点。
恵の姉は高校一年生でバイトも始めた。
美香のことも本当の妹のように可愛がってくれた。
ファッション雑誌を読むことを覚えたのも恵の家だった。
当時、オリーブという人気の雑誌があり恵の姉(加代子)がバイトの給料で買ったお下がりを二人で仲良く読んだ。




