電子レンジ
達也が東京に発って1ケ月が過ぎようとしていた。
やぱりそれなりに忙しいようで電話は少ない。
美香も達也のいない生活にほんの少しだけ慣れ始めた。
この頃からアパートに色んな荷物が届くようになる。
レコード会社との契約金を手にした達也からの贈り物だ。
一番驚いたのは電子レンジ。
本当に魔法の箱で、冷えたご飯が炊きたての様なアツアツによみがえる。
なんて便利なんだろう…。
電子レンジが二人の生活を大きく便利に変えた。
優は達也から届いた物を目の前に 俺はどんな風に自分で自分の生活を豊かにできるのだろうか…?
どうすれば達也さんみたいに夢を叶えられるのだろうか…?
いい大学に行けば人を支配する側になれるのだろうか…?
そんな事ばかりを考えるようになった。
それから美香が達也との遠距離恋愛に落ち込んでいる間に優は百合子と初体験を済ませた。
肉付きのよい百合子の体はものすごい快感を運んでくる。
この経験が後々の優の女選びの際の嗜好に強く影響を残すことになる。
百合子は優と一緒に街を歩いたり、二人っきりで過ごす時間が今の全てであるかのように思え
毎日優に会いたいと迫った。
優はそれを上手く交わす。実際に部活もあったし、自分の将来について一人考えたい時間が欲しかった。
俺はお金が欲しい。お金が好きだ。金持ちになりたい。
だから経済学部に入ってはどうだろう?
経済学部ならばお金のいろはをきっと学べる。
理系のクラスから来年は文系に移動できないだろうか?
興味のなかった図書館に一人立ち寄るようになり大学の本や優しい経済学の本を読み始めるようになた。
百合子と会う時は、百合子の家族や先祖の話なんかも聞きだした。
どうやってこの一族がお金持ちになったのか?サラリーマンの家庭と何が違うのか?
色々と知りたかった。
自宅で焼いたマドレーヌと高級な苺のパックと練乳をバスケットに入れた百合子がアパートにやって来る。
優は気が付いていた。百合子と自分は今は住む世界が違ってつり合ってはいない。
でも将来、自分もそちら側の世界に絶対いってやるんだ。
百合子は何も気が付いてはいなかった。ただハンサムな優が好きすぎてどうしようもなかった。
優の為なら何でもしたい。会えない時はひたすら優の事を想っていた。




