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事故

美香が小学5年生、優が小学4年生になったある晴れた暖かい春の日…。





麻衣子が事故に巻き込まれた。




当時、幼かった子供達にはその悲しみを受け止めるのにはあまりにも突然すぎて……





麻衣子のお通夜に葬式、




家の外に干してある洗濯物はもう何日も取り込まれることもなく風に揺れていた。





「お母さんは自転車でお買い物に行く途中で事故に巻き込まれてしまったんだ…」




父親の修は子供達にそう一言告げるのがやっとだった。





夜には人知れず悲しみに暮れて涙を流す。




それからしばらくは修の母親が泊まりこみで世話をしに来てくれていたが




しだいに美香は家事全般をこなすようになっていた。




当時、まだワイシャツをクリーニングに出すのは高価なことで 美香は母親がやっていた通りに見よう見まねでアイロンをかけてゆく。





優は学校から帰るとすぐに友達と外に遊びに行き家には誰もいない。




美香の大きな瞳からは涙がこぼれた。





お母さん。


帰ってきてよ…。



どうしてもう会えないんだろう。



どこで何をしても悲しくて布団の中で泣かない夜は数えるほどしかなかった。




そんな風に暮らしてゆくうちに




また春が来た。




思春期に入り始めたせいか




他の子供がやらなくてもいい家事までこなさなくてはいけないからか




美香の顔は少し大人っぽくなっていった。




クラスで誰もが認める一番可愛い女子と言われ




あの子が好き、この子が好きなどと噂が囁かれる中、美香は学校でも有名人になっていた。




一方、優の方もそのキレイな顔立ちに恋をする女の子が絶えない。




優はまだ恋に全く興味がなくサッカーの方が大事だった。




日が暮れるまで運動場で仲間と毎日練習に明け暮れるのである。





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