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ドライブ

翌朝、優を起こしてラジオ体操に行かせると




朝食の下準備を済ませて




掃除機をかける以外の小さな掃除を始めた。




ゴミの日なので優の部屋のゴミ箱を空にしたり




他に捨てる物がないか家中を見回した。




そうこうしているうちに優がラジオ体操を終えて帰って来たので朝食をとる。




「優くん、ゴミある?今日ゴミの日やで」




「何もないでー」




洗い物を済ませると排水口のネットを取り替えゴミを出しに行った。




それから全部屋の掃除機をかけトイレとお風呂の掃除もした。




気が付けばお昼になっていて




焼うどんを用意する。




優がプールに行った後、




牛乳の賞味期限が今日までと気づきゼラチンで牛乳プリンを作って冷めるのを待った。




粗熱がとれ冷蔵庫にしまった頃、なんだか急に眠気に襲われて




美香は部屋のベッドで昼寝をし始めた。





二時間くらい眠ってしまったのだろうか…。




電話の鳴る音で目が覚めた。




急いで居間に行き電話を取ると





それは達也からだった。





「はい、佐藤です」





「美香ちゃん?俺やねんけど…」




「あっ…」




「覚えてる?分かる?」




「達也さん…」




「そやでー。もう夏休み入ったん?最近何しとん?」




「はい。もう夏休みで…昨日、恵ちゃんと心斎橋に買い物に行って洋服買ってホンマに楽しかったです」




「ええな~。今日は何してんの?」




「今日はゴミ出して掃除して…牛乳プリン作ったら眠くなってしまって昼寝…」




「(笑)今まで自分寝てたん?」




「(笑)ごめんなさい・・・」




「(笑)おもろいなあ。……今日な、夕方にぷらっとドライブ行こうかと思ってんねんけど美香ちゃんも来る?」




「えっ…ドライブ………」




「二、三時間やねんけど…遅くはならへんから心配せんでな」




「なんか緊張してしまう……」




「(笑)なんでやねん!金曜日だし何か楽しい事ないかな~ってなあ…。7時に迎えに行こか?新しいアパートはどこやったっけ?」




「昭和町の地下鉄から見えるシルクって喫茶店の上です…でもっ…でも ホンマですか?」




「ホンマやん!(笑)7時に迎えに行くからその喫茶店の駐車場で会える?」




「………はい」




「よっしゃ!ほな7時な」





電話を切った後も




本当に電話の相手が達也でドライブに誘われたなんて信じられなかった。




部屋に戻りベッドの端に座っても




足がわずかにガタガタと震えていた。




どうしよう……




どうしよう……




喉がカラカラだった。




やっとの思いで時計に目をやると時刻はもうすぐ5時40分。






落ち着かない気持ちで




台所で夕食の支度を始めた。




お米をといでキャベツを千切りにし




豚肉のしょうが焼き定食を用意する。





料理をしながらも





買ったばかりのワンピースを着て行こう。




紺色の大人っぽい方がいいが




可愛いらしいクラシックな花柄の方が良いのか…




考えていた。




迷ったけれど恵とお揃いの黒いサンダルを買っておいてやっぱり良かった。




買い物で総額1万円も自分の服や靴に使うのは初めてだったので




本当は気が引けていた美香だったが




これで良かった様な気がした。





時代はバブル期ピークに差し掛かり




修の給料もボーナスも右肩上がりだった。




当時の1万円という価値は現在の1万6、7千円相当である。




会社の接待費を財布代わりに使える機会が多かった修は



給料の約7割を毎月子供達の口座に入れていた。




宗右衛門町のスナックで働く順子の稼ぎもかなりなもので




便利な都心の広い新築マンションへ引越し




いつしか修に小遣いまでを渡すようになっていた。




サラリーマンの二倍以上の月収があったし、欲しい物はお客がだいたい買ってくれていたからだ。




刺激的な毎晩の夜の仕事と家には修がいるという安堵の生活。




その両方を手に入れた順子はとても充実していて幸せだった。




ドアをドンドンと叩く音が聞こえ




レンズ越しに優を確認してドアを開けた。




「手洗って うがい」




すかさず美香は優に声を掛ける。




優が食卓についたの見て




「今日、もうすぐしたら ちょっと出かけるからお留守番いい?」と話しかけた。




「何時に帰ってくるん?」




「10時前には帰って来ると思うねんけど…」




「アイス2個食べていいならええよ!」




「(笑)分かった。いいよ」





優は美香が年上の男とドライブに行くなんて知るよしもなかった。





美香は少なめに盛り付けたしょうが焼き定食を食べ終え




部屋に入り紺色の無地のワンピースを手に取った。




腰の後ろで結ぶリボンがお気に入りで




上品で大人っぽいシルエットなのにどこか可愛いさも持ち合わせている。




優の部屋に置いてある麻衣子のドレッサーで全身を確認し




洗面所で縛っていた髪を下ろして水を付けてドライヤーをかけながら丁寧にとかした。




加代子がもう飽きたという理由でくれた白いカチューシャで前髪を上げて




ほんのり色がつくリップクリームをこっそりとぬった。




「今日、牛乳プリン作ったから食べ」



二杯目のごはんをつぐ優に声をかけた。





時計をみると7時3分を指していて



美香は慌てた。




「優くん、行ってくるわー」




そう言って玄関でサンダルを履いた。




可愛いカバンを持っていないから



小さなお財布に2000円と家の鍵を入れてそのまま手に待って出かけた。




新品のサンダルのせいで3階の階段をゆっくりしか下れない…。




それでも急いで階段を下り終えると




すぐ向こう側にライトのついたままの達也の車を見つけた。




外はまだ明るく中に乗っているのが達也だと確認もでき



美香はその車の方に歩いて行った。




「美香ちゃん、乗りー」



開いている窓から達也が声をかける。




重い助手席のドアを開けて美香は緊張しながら乗り込む。




シートに座ると達也との距離がぐっと縮まって更に緊張する。




「どこ行こう?」




話かけてくる達也にすぐに返事が出来ない…。



のどなんて乾いていなかったはずなのに



喉がカラカラで口が上手に開かない。




「どうした?まだ眠いん?(笑)」



達也が笑ってくれたおかげで




美香はやっと達也の顔を見ることができた。微笑み返す為に自然に口も開いた。



「どこ行こうな?」




「どこでもいいです…」




今度は答える事ができた。



「私…大阪に来てまだ一年経ってないから、どこがいいか分からなくて……」



「ホンマに?前はどこに住んでたん?」




「京都です…。」




「そうか、それは知らへんかったわ。道頓堀とか通天閣はもう行ったん?大阪城とか?」




「まだ心斎橋しか行った事がないです…通天閣ってタワー…?」




「そやでー。色んな変なおっさんとかおるけど面白い所。行ってみる?」




「はい」



車はゆっくりと駐車場を出た。




達也の車はいい匂いがする。





「美香ちゃんは生まれも京都なん?」




「はい。小学校5年の時にお母さんが亡くなって



六年生の秋にお父さんの転勤で大阪に引っ越して来ました。」




「そっか…。色々大変やったな。俺は生まれた時からずっと大阪やねん。京都は遠足かなんかで行ったな~。」




「あっ、夏休みは宿題多いの?ちゃんとやってる?学校は楽しい?」




「宿題…ちょっとずつやってます。学校はまあまあ楽しくて…」




「友達沢山できた?」




「まだ沢山いないけど恵ちゃんが一番仲良しで部活も一緒で」




「何部なん?」




「茶華道部です。」




「お花とか抹茶するん?お茶菓子食べさせてもらえるとちゃう?」




「はい。時々、食べれます」



「ええやん!めっちゃええ!(笑)美香ちゃん、オホホホホって抹茶立ててるんや(笑)」



「(笑)」



「俺は夏休みとか毎日遊んで宿題やらへんかったから



9月になって宿題が終わるまで毎日5時まで居残りさせられた。先公にもぶん殴られたわ(笑)」



「(笑)」




達也の話は面白くて



まだ明るかった空は知らないうちに深い青色になっていた。




達也がそっとサングラスを外した。




赤信号の度に見せる笑顔が優しくて美香は次第に安心感を覚えて言った。




「あそこやで。タワー見える?」




「あっ…」




フロントガラス右の向こうにライトで輝くタワーが見える。




近くの有料駐車場に車を止めた。




車を降りると美香は達也の後ろをついて歩いた。




「ここは新世界っていうねん。串かつ食べた事ある?」




「ないです」




そう答えた時、自転車のハンドルにラジオをぶら下げたおじさんが美香の横すれすれに通った。



美香はドキっとして その場に立ち止まってしまった。




「変なおっちゃんとかいるけど何もせーへんから大丈夫やねん。こっち歩きー」




そう言って達也は美香を自分の左脇に来させた。



「財布裸で持ってたら危ないなあ」



「ごめんなさい。可愛いかばんが見つからなくて…」



美香の心がチクリとした。




「俺のポケット入れとこか」



美香は小さくうなずいた。




通天閣のタワーに上ると光輝く大阪の街が一望できた。




なんてきれいなんだろう…。宝石みたい…。




あの灯り一つ一つの下に色んな人がいて皆幸せなのだろうか?



ため息が出た。



「あそこに大阪城が見えるねん。」




達也が指差した方角には確かに大阪城が見えた。




「また今度連れてこか?」




「はい。ありがとうございます」



横に立つ達也のTシャツからは車の中と同じ



いい匂いがかすかにした。




「おっしゃ!串かつ食べに行こうか?」




「はい…」



再び達也に付いて新世界の町を歩く。




串かつ屋が何件も並んでいて



美味しい匂いと独特の油フライの匂いがする。




一軒の串かつ屋に入りカウンターに座る。




初めて見る金属製のソース皿や

ちぎっただけのキャベツ。




達也が頼んでくれた串かつは とても美味しかった。



「ソースは二度づけしたらあかんで。一回だけやで」



そんなルールも教えてもらった。




串かつ屋を後にすると



来た道を戻り車を止めた駐車場まで戻った。





車は再び走り出す。




街の明かりや車のライト…




色々な物がとても眩しくてきれいに見えた。





少し車を走らせると




達也はまた別の有料駐車場に車を止めた。




美香の目の前には昨日恵と来たばかりの心斎橋商店街が…。




商店街の明るいライトの下は沢山の人であふれかえっていて

昼間に見た光景とはまた異なるものだった。




「なんか可愛いかばん探そうや」




「えっ?」



美香は驚いて達也を見上げた。




達也は満面の笑みを浮かべている。




「財布落としたら心配やから、買うで~」




達也が歩きだしてしまったので美香も慌ててついて行った。




商店街に連なる沢山のお店を見ながら



フランス雑貨のお店の前でふと自然に足が止まる。




白熱灯に照らされたアンティーク風の花のアクセサリーや



ビーズのフラットシューズ




可愛いデザインのスカートやブラウス。



なんて可愛いのだろう…。




「中、見てみる?」



達也の声に



「でも…私、大丈夫です。何もいりません」



とっさに答えた。



「見るだけならええやん、見てみたら?」



「はい…」




お店に入ると



可愛い雑貨が沢山あり夢の様な気持ちが広がる。



ショーケースの中に並ぶ大ぶりの紫の花の形のイヤリングが目に入った。



なんて素敵なんだろう…。ため息がこぼれる。





「可愛いなあ」


達也もつぶやいた。




「つけてみます?」



店員さんの声に



「………」



また緊張が走った。




「つけてみい」



達也の声で美香は瞬時に首を横にふる。



「なんで?つけてみたらええやん」




既にショーウィンドウの中からイヤリングを取り出して



にこやかに微笑む店員から



恐る恐るイヤリングを受け取った。



丸い縦長のアンティークの鏡を見ながら そっと耳にイヤリングをつける。



それは、その日の紺色のワンピースとよく合っていて



鏡の向こうの店員もうっとりとする程だった。



「よく似合ってはるわ~」



店員の声に美香は恥ずかしくて耳が赤くなった。



早く外して戻さなくては……。やっぱりこのお店に来ては行けなかったのよ。



なぜかそんな罪悪感すら生まれていた。




すぐにイヤリングを外すと



達也は他の雑貨の通路へ歩いて行った。





通路の先には



カバンが並んでいて




フランスらしく原色の真っ赤な物や緑に青、白、



花柄や太字の3種ストライプ、刺繍模様…多彩な色が棚を飾っていた。




罪悪感まで生まれていたというのに



美香の目は色とりどりのカバンに釘付けになった。




達也がそっと美香の背中にポンと手を当てて



「どれにしよう?遠慮してたらあかんで。店閉まる前に気に入ったやつが見つかるとええねんけどなあ…」とつぶやく。



美香は小ぶりの黒地のカバンを見つけた。



サテン素材に似た緑と青の刺繍糸で施された花の刺繍。



取り外せる肩紐が付いていてクラッチバッグにもなる。



「素敵……」そんな言葉がこぼれた。




「これでええ?」



「で、でも…買ってもらうなんて。私、お小遣い貯めて…」




「お小遣い貯めてる間に財布落としたらどないするん?(笑)俺、心配で寝られへんわー」



達也はくすっと笑う美香の手からカバンを取ってレジへ。



一瞬の出来事に美香はすぐに動けなかった。



レジ向かった時には達也が既に紙袋を持っていてお釣りを財布にしまうところだった。



「また来てね」微笑む店員の青いアイシャドウと真っ赤な唇を見ながら軽く頭を下げて



達也の後に付いて店を出た。





「ホンマにありがとうございました」




美香は急いで達也に頭を下げる。




「ええねん、ええねん」そう言いながら達也はタバコに日を灯すと美香に紙袋を渡した。



車に乗り込むと静かに滑らかに有料駐車場から出て




ネオンの輝くもっと賑やかな(にぎやかな)場所へ来た。




「ここが道頓堀。でっかいグリコ」



「すごい…」



夜の道頓堀を見たのは初めてだった。



「大阪ってすごい街…」




「そうや。美香ちゃんはすごい街に引っ越して来たんやで。これからもっともっと楽しい事がいっぱい起こるねん」



とても嬉しかった。きらめくネオンが心を照らすようで…。




「10時過ぎてしまった。早く帰らな おとんに怒られるなー」



うんうんうん…と小さく頷いた美香の脳裏にはショックを受けた夏休み前の事がふと浮かぶ。




佐藤さんね、7時半ごろ退社してますわー。ごめんねー。




父親が帰って来なくなってからもうどのくらい経つのだろう…。



大きなベッドで眠るのにも慣れたはずなのに、




大雨で雷が鳴り響く夜だって懐中電灯も大きなろうそくもあるから大丈夫なのに、



家庭訪問も終わった。



優の卒業式には絹子おばさんが来てくれるから心配要らないのに…



父の会社に電話を入れた時のあのショックがまたよみがえり



目には涙がたまり




こんなところで泣いてはいけないのに涙がこぼれた。




今泣くのはおかしい。私ってなんてバカなの?



そう思えば思うほど涙が立て続けにこぼれた。




「美香ちゃん?どうした?ごめん!!



俺、一緒に家に行って謝ろうか?



電話してみる?」




「ごめんなさい!!違うの…



ホンマにごめんなさい…」



美香は必死で謝った。




達也は美香の家の近所に公園を見つけ




静かに車を横付けした。




後部座席から箱のティッシュを取りそっと美香に渡す。



「なんで泣いてるん?」



「………」



やっぱり女の子の気持ちは分からへん。



そんな諦めにも似た冷めた気持ちを ひしひしと感じ始めていた頃、美香がやっと口を開いた。




「お父さん…もう帰って来ーへんと思います。



大阪に転勤になって忙しいからあんまり帰られへんって言うようになって



今のアパートに引っ越してからホンマに帰って来なくなって…



家庭訪問の事で会社に電話したら 「佐藤さんね、7時半ごろ退社してますわー。ごめんねー

」と言われて



お父さん…やぱっり女の人がいてる……」



そこまで話すと美香の呼吸は激しくなるばかりだった。




「それおかしいとちゃうん?俺がおとんの会社に電話したろか?」



気の短い達也には怒りがこみ上げていた。



どうしてこんなにも美人で可愛い子が不幸なんだろう…。




訳もなく誰かをぶん殴ってめちゃめちゃにしてやりたい様な



むしゃくしゃする気持ちとやるせない気持ちが入り混じる。




「ホンマにごめんなさい。もういいんです。



変な話してごめんなさい。



何で今、そんな話してしまったかも分からないです。



私ってホンマにバカなんです。自分がいやや。ホンマにいやや。」




それは美香の正直な気持ちだった。




一番の友達の恵にさえも



父親がもう帰って来なくなってしまった事をまだ話せないでいるのに



どうして達也には言えたのだろう…。




私ってやっぱり男たらしなんだわ…。



「男たらし」



小学生の頃に、可愛く既に学校一の人気だった美香に一部の女子から囁かれた忘れられない言葉。




数年経った今でもまだ美香を苦しめていた。





「バカとちゃうやろ?」




「私、バカなんです。それに男たらしだから達也さんと出かけて 変な話して」



「それもちゃうがな…」




達也はたばこに火をつけたようで香ばしいような煙の匂いが漂ってきた。



スーっと大きく息を吐く音が聞こえて




「男たらしとか そんなん関係ないやん。家のお金はおとんから ちゃんと送られてきてるん?」



「はい。私が銀行の通帳を持っていて毎月たくさんお金は振り込んでくれます」




「もし困った事があったらなんぼでも相談してや。助けたる。」




「…………」




「トイレが詰まったとかは やめてなー(笑)」



達也につられて思わず笑ってしまった。涙でカリカリに乾きかけた頬がピッシっとした。



「おっ、明日はライブやで。頑張るから見に来てな。



もし変なやつがおったらそのカバンの紐で首しめたらええわ(笑)」



達也の面白さに美香は救われた。




それから間もなくしてアパートの駐車場で下ろしてもらい帰宅した。




玄関を開けると



優が居間でテレビをつけっ放しのまま眠っていた。



「優くん?ちゃんと部屋で寝てよ」




無理やり優を起こして部屋に行かせた。




紙袋を自分の部屋の入り口にすっと置き



そのままお風呂場へ。




遅いので簡単にシャワーだけで済まし



麦茶を飲みながら台所の食器を洗った。




自分の部屋に戻った時にはもう12時を過ぎていて




遠くで暴走族のバイクの音がこだましている。



紙袋の持ち手真ん中のシールをそっとはがすと



透明の袋に入ったバッグの他に小さなピンクの箱を見つけた。




その箱を開けると



なんと試着したあの紫の花の形のイヤリングが入っていたのだ。



えっ?どうしていつの間に?こんな高そうな物…


どうしよう……



今から達也さんに電話しようかしら?



でもこんな遅くに電話したらきっと迷惑がかかるわ。



明日、お礼を言いましょう。必ず…



それにしても私は



なんであんなに感情的になって泣いてしまったのだろう・・・恥ずかしい。



明日会うのが恥ずかしい…。




今夜の事を考えてすぐに眠れなかった。





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