プロローグK
西暦203X年、日本経済は悪化の一途を辿り、円安は加速。一時は1ドル250円代へと突入した。消費税は35%。50代以下の日本人は誰もがダブルワーカーとなった現在。何をしても経済回復が見込めない状況へと陥っていた。
そんな中立ち上がった者が居た。
白髪交じりの髪に、冴えない顔立ち、着崩した痕が目立つスーツに身を包んだ37歳の独身男性である。
彼の者、玄野正光という政治家で、経済回復の政策案の作成に尽力していた。
玄野の案は独創的であらゆる政策が世論の7割以上の支持を獲得し、成功を収めていた。
一方で支持しない人々の半ば迷惑行為とも取れるバッシングを被りながらも打ち出した政策が
ソーシャルゲーム国家事業である。
経済悪化の原因の多くは輸出入における利率の悪さにあり、一部企業が利益を独占したため、国内経済が回らない事態となった事であるが、実際にはさらに思い問題があった。
それは、日本国内での消費が少ない点である。
今まで通りで良いのでは?という意見を持つ者たちは真に理解していなかった。
データ市場と人口の減少が根本的な原因であると理解していなかったのだ。
世の中は道徳的、理性的な案ばかりで溢れかえり、少しでも反対意見を唱えれば責任問題や立場を弁えろと言われる始末。そういった人間は本質的に理解していないのだ。
では、どうやって経済の流れを変えるのか。
人口を増やせば良いが、それは道徳的に反対意見が出るほどの政策でなければ、打破できない。
視点を変えて考えよう。
国外市場が多く、政界が知らない内に日本の外への金の流れが出来ているもの。
なるほど、ゲームか。
ならば、外から中への金の流れを作れば良い。
ただし、それには特別なゲームでなくてはならない。国内ユーザーにのみ、金銭的報酬を出し、国内への人口増加を狙う。そして、没入出来るものでなくては…。
玄野は政策の大体の構想を終えると、財源や実現性についても考える。海外からのクラウドファウンディングと大手企業への概要説明。資源採掘元から人体への影響など。
慣れた手つきで提案書を作成した後、プレゼン資料をまとめる。あらゆる企業を渡り歩いてきた彼には造作もない事であった。
そうしてたった2年の月日を経て、未体験のVRMMOが完成した。玄野は批判と国家事業の名を冠したこのゲームの名前をNGGとし、賞金付きでアルファテスターを募集したのだった。




