ふたたび いぶき
どうにかしたい、どうすればいいかわからない、そんな日々を過ごしてたんだけど、突然状況が変わった。
「いぶき、ちょっと来て」
とか言って、ひかりが呼びに来た。
みのりが夕飯作りに来た日、いつもなら「こっち来んな」扱いされるとこなのに、なぜかひかりの方から部屋に来いって言ってきたんだ。
よくわかんねえけど、みのりがいる時にひかりの部屋に入るのなんてずいぶん久しぶりだから、ちょっとウキウキしながらついてった。
部屋に入ると、みのりがびっくりしてた。
ひかりの奴、俺をつれてくるっていってなかったのか?
「あのね、私、新之助くんと付き合うことになったから」
は?
「え、この前告られたって話? 付き合うの?」
みのりは聞いてたらしい。
「俺、聞いてねんだけど」
「うん、初めて言った。
でね、私、これからちょくちょく出掛けることになると思うのよ。
だからさ、この夕飯作りなんだけど…」
まさか、終わり!?
「これからは、みのりだけで作ってもらおうかなって」
「「え!?」」
「いや~、実はさあ、今までもほぼみのりが作ってたんだよね~」
「なんだよ、それ!?」
「ほら、いぶきってニブいから気付かなかったけど、みのりの花嫁修業だったわけよ」
「ひかりちゃん!」
みのりが悲鳴みたいな声を上げた。顔が真っ赤だ。
え、もしかして…
「てなわけで、私はちょっと出てくるから、後は若い2人でよろしく~~~」
どこのお見合いおばさんだみたいなセリフで、ひかりは部屋を出てった。
おい、そんな雑なやり方ってあるかよ!
めっちゃ気まずいだろうが!
「あの…」
「えと…」
2人で同時にしゃべって詰まる。
「みのりからどうぞ」
自分でも何言っていいかわかんないから、先にみのりの話を聞こう。
「いぶきちゃん、その、ひかりちゃんの料理じゃなくても食べてくれる?」
「えと、今までもほとんどみのりだったって…」
「あの、うん、そう、なんだけど」
「むしろ嬉しい」
「え?」
「俺は、みのりの料理の方が嬉しい!
ひかりがいなくても、うちに来てほしい」
「あの、いぶきちゃん、それって…」
この後、母ちゃんが呼びに来るまで2人で見つめ合ってた。




