表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/31

1日め(月曜日)

1日1話更新。(毎朝7:00投稿)

30日後に完結予定です。

1話あたり1000~2000字程度なので、軽い気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。

「2年A組の向井むかい翔平しょうへいってヤツはどいつだ、ゴルアァッ!」



 その日。

 クラスに変な奴が現れた。


 ガチガチに固めたつっぱりリーゼント頭に紫色の特攻服。

 金属バットを片手に

「テメエか? おう? テメエか?」

 と、目に付く男子に片っ端から声をかけている。


 時刻は朝のホームルーム前。

 先生が来るまで時間がある。

 そのため、どこの誰だかわからないけど凄みがあって、柔道部の只野ただのくんですら震えあがっていた。

 

「向井翔平ってえのはどいつだ!」

「こ、この人です……」


 学級委員長が僕を指さして教える。

 ええー……。

 クラスメイト売りやがったよ、こいつ。


「テメエかッ! 向井翔平はッ!」

「は、はい……」


 とりあえず殺されないことを祈って前に出た。


「テメエ、やってくれたなッ!」

「……はい?」

「昨日の夕方、駅前で迷子の童子(わっぱ)拾っただろッ!」


 言われて思い出す。

 そういえば確かに拾った。

 拾ったという言い方はアレだけど、駅前で泣いてたから交番に届けたんだった。


 ……あれ?


 あれって、もしかして何かワケアリの子どもだったの?

 警察に届けたらマズかった?


「拾っただろッ!」


 何度も聞いて来るので「はい……」と恐る恐る答えた。


(あね)さん! 当たりですぜ!」


 するとリーゼント頭が廊下にいる誰かに声をかけた。


「そうかい」


 そう言って現れたのは、やっぱり特攻服着た女の人だった。


 ……なに、この人たち。


「あんたが向井翔平? ふうん、パッとしないねえ」


 ほっといてください……。


「ま、とりあえず礼を言いに来たんだよ」

「礼?」

「あれ、あたいの弟でねえ。喧嘩して家飛び出したまま迷子になってたんだよ」


 なんですと?


「交番を訪ねてみたら保護されててね。問い詰めると優しいお兄ちゃんが届けてくれたって言ってたんだ。で、いろいろ調べたらあんたに行き当たったというわけさ」

「そ、そうですか……」

「だから弟に代わって礼を言うよ、ありがとよ」

「は、はあ……」


 特攻服の女の人はしばらく僕を見つめたあと、「じゃあね」と言いながら帰って行った。


 え!? 終わり!?

 お礼を言うためだけに来たの!?


 いきなり現れていきなり去って行くその姿に、クラスの誰もが呆然と見送っていた。


 ……なんだったんだ。



~告白されるまであと29日~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おおーゴルァからの恋愛! すごい勢いでしゅね~(*´▽`*)
[一言] 真面目な話であるみたいですね チームで相手の家の前に乗り付けて OKするまで全員で「お願いしま〜す!」とやるみたいです
[一言] たったこれだけの文字数で、作品の方向性をちゃんと示せてるのしゅごい( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ