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第四話 共通点

 ――時は変わり、下校時間となった。

 パソコン室に寄ってみると、女子たちが寄って集って小倉先生に質問攻めをしている。

 ……はぁ、またやってるよ。ほんと懲りないよなぁ。

 廊下で待っていると、俺のことに気付いたのか教室から呼び寄せた。


 ――女子たちが怪訝そうに俺を睨む。

 この感じはいつになっても慣れないものだ。怖い怖い。学校に行きたくなくなるよ。


 「おや西園君。基本情報技術者試験の対策に来たんだろう?」

 「へっ? あ、あぁ、そうですよ」


 咄嗟の嘘が大きすぎるって……。

 その言葉に女子たちは驚き、そそくさと立ち去っていった。


「来たということは、分かったのかい?」



「いやー、それがさっぱり……」

「でも、用があって来たんだろう?」

 うーん、と唸りながら返事をする。

「確信がないのかい?」

「……そういうことになりますね」


 とりあえず、枝野が言っていたことを伝えた。

 連絡はとっていない、『蜂ヶ峯崇人』という人物と関わりがあるかもしれないということを。

「『蜂ヶ峯』? 少なくとも、私の授業には出てない子だね」

 どうやら、知らないようだ。

 まぁ、僕も知らないしな。

「データベースで調べてみましょう」

「……そんなことしていいんですか?」

「一応私は教師だ。それくらいなら生徒の心配をしてもいいだろう」


 教師用のデスクから、『蜂ヶ峯』という生徒を探す。

 ものの数分もしない内に、彼を探し当てた。


「あー、この子かな? 3-5の生徒らしいね」

 名簿をダブルクリックし、詳細を開く。

「ほう、私の好みではないな」

 ちらっと画面を見ると、顔写真と成績表が載っていた。

「残念なV系にこういう人いるよね」

「それは失礼ですよ先生……」

 

 容姿はどこかミステリアスな雰囲気を放っており、肌は少し褐色ががっていた。

 成績は並々で、化学工業科を専攻している。

 ちなみに、俺は情報技術科だ。


「確かに、同じ日から休んでいるけど……」

 岸辺のデータと見比べてそう言った。

 彼女の成績は、どれも優秀である。

 俺と同じ情報技術科を専攻しているが、資格の欄にはとんでもないものがあった。


「ん、これ本当ですか先生!?」

「どうかしました?」

「き、基本情報技術者試験に合格って……!」

「えぇ、ちょっと(半年間)教え込んだら秋季試験で受かったと」


 確かに凄い人だとは思っていたけれど、こいつは化け物だ。

 どれぐらい凄いかというと、毎年工業高校で一人でも合格者が出たら、その子は英雄扱いだ。

「もしかして、岸辺を気に入っている理由ってこれですか?」

「そんなところかな」

だいたい彼女の話をすると、先生は笑顔になる。

高校生に手出すような人ではないと知っているけれど……どこか疑いたくなる。


「……岸辺さんとの接点なんてなさそうだね。噂はデマであろう」

「ですよね。ふぅ、安心した」

 そっと胸を撫で下ろし、安堵の息を突いた。

「とりあえず、枝野にはそう言っておきますね」

「あぁ、そうしておいてくれ」


俺はパソコン室を後にし、そのまま帰路へ着いた。

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