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仁義なき悪役令嬢   作者: 水銀✿党員
最強暗殺者は婚約者に弱い。婚約者は暗殺者に滅法強い。
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マクシミリアン暗殺未遂計画


 騎士団長直々にお話があった。綺麗な金髪の美男子の騎士団長も子孫であり、初祖である女王にあまり強く打診出来なかったのだろう。騎士団長の発案であり、大体の道筋が見えて来た後に私に対して話となる。


「あらぁ……この子があの毒をかぎ分けた子ねぇ。素晴らしいわぁ。私の名前はアニマ・マクシミリアン、騎士団にこないぃ?」


 男性の騎士団長であるが何処か不思議な喋り方をする。美麗な男性だが、非常に手入れの届いた肌に私は不思議と手を見た。手も綺麗だ。そして、爪に薄い紅をのせている。全体的に薄い化粧であるが品があり、私は「はぁ」と声を漏らした。


「あらぁ? 私にみとれちゃった?」


「はい。綺麗な肌ですね。騎士団には来れませんが……何をお使いかを教えていただきたいです」


「真珠よぉ、魔国産のお薬です。飲んでもよく、非常に肌にいいの」


「わぁ、ちょっと私には遠いですし……お金が……」


「ふふふ、あなたはまだまだ若いから安心しなさい。お金がほしいなら騎士団で登りつめるといいわ」


 フワッと髪を流して騎士と言うよりも男娼と言われた方が納得しそうな人であり、私はエルミアを見る。


「血縁ですか?」


「ええ、もちろん。前騎士団長の子は今は皇太子。結果、騎士団長は空席となり、彼が繰り上がったの」


「ふふ、お父様にお願いされたときは驚きました。遊び人でしたのに」


「果たして本当に遊び人だったかしら? 魔国の王旅をなぞったのに?」


「遊び人でしたよ」


 フヨフヨとした世間話にソーマだけがそわそわし出す。私はそれを見ながらニヨニヨと笑いつついた。


「あらぁ~遠征騎士団長の息子さん。いい子ねぇ~、もっと若ければ……いっぱい遊んだのに。ああ、抱くとかじゃないからね? 私は勘違いされるけどぉ。嫌な事はしない主義なのよ」


「はい、それは父親から重々お聞きしております。結婚はされないのですか?」


「あなたねぇ~あの人から『質問してこい』って言われたでしょ。もう……しないわよ」


「はい、それを言えば『誰の子かわかるだろう』と」


「うーん、喰えない男ねぇ。まぁいいわ。私を呼んだのは……そういうことよねぇ?」


 フヨフヨした雰囲気から一変、キリッとした表情で私達を見る。それに私は静かに答えた。


「はい、申し訳ありませんでした。私が余計な事をしたばかりに……」


「いいのよぉ~鋭いあなたのその武勇は素晴らしいわ。それに話をまとめてくださった。それでいいの、身内は疑われるからこそ外の血はいれるべき。後は『大人のお時間』です」


 優しい言葉に「もう、関わってはダメ」と言うニュアンスを含ませて諭される。もちろん、私はそんなのは悪い子なので突っ込む。


「それは……悪い子にとって凄く魅力的ですね」


「ああ、もう。いい子のフリを帰るまでしなさい。『銀髪鬼の血族』」


「どこまでご存知です?」


「あなたの父親と母親。そして、ちょっと……これは秘密」


 私は考える。秘密と言ったのはあまりに衝撃的な事なので傷つけたくない話なのだろう。逆に気になる。私が知っている事なのかわからない。なのでカマをかける。


「お父様は祖母と関係を持ち、母親とも関係をもったクズの話ですか? それ以上なら知りたいです」


「あなた。どうやってそれを?」


「同じ質問をしたいですが。私のは勘です。父親の歴を見てみた事。『銀髪鬼』の伴侶が不明な点などからの憶測です」


 暮らしてる中での違和感はそういう事である。父親はクズである。


「私はね。帝国内であなたの報告書を作らせたの。あなたの愛人のその子は……『遠征騎士団長候補』で皇子継承権も保有者。変なのが近付いてくる立場の子よ。まぁ、『あなたは合格』です」


「私たち、結構秘密主義なんですけど。なぜそこまでを……」


「英魔国内の探偵は恐ろしく推理関係のない『見る』事の出来る方々が多くて非常に恐ろしい。だけどそのお陰で冤罪はないわ」


 噂で聞いたことがある。物の記憶を呼び覚まし、見ることで実際に起こった事件を知ることが出来るのだ。魔法の原点は「英魔女王陛下の奇跡」だったはず。


「でも、逆に……マクシミリアンの歴史再編も捗った。彼女らはすごいわね」


「廃業ですもんね」


 英魔国内では暗殺稼業は全面廃止である。理由は「衛兵が強い」「すぐにバレる」「罪の重罪化」「メリットがない」との事である。私の家ももう、そういう仕事は帝国だけになっているのが現状である。女王陛下の権威を絶対にするための族長たちの監視で情報売るぐらいである。


「そして、私は本当に廃業になる。あなたのせいよ。私を首輪着けた責任は重いわよ」


「銀姉は鎖を千切れるだろ」


「赤い鎖を? バカじゃない? 切れるわけがない」


 私の言葉にソーマは困り顔をして、騎士団長は満面の笑みを向けてクネクネとからだを捩る。「若いわねぇ」とエルミア姉さんは笑うのだった。そして、私は気が緩みソーマを連れて外出するのだった。





「あーあ、折角殺しが出来るとおもったのに」


 マクシミリアン騎士団駐屯地砦の外、私はマクシミリアン首都を練り歩く。つまらない、事件もない平和な場所で。


「銀姉、いいじゃないか。君を紹介と多くの人に知ってもらったわけだ。俺はここから縁を作って……立場を良くするよ」


「ああ、嫌々。そういう貴族様のような事をするのね」


「大人にならないといけないから。君も覚悟してほしい」


「そうねぇ」


 私は腹を押さえながら悩む。もう、一人の体ではない。しかし、血生臭い生き方しか知らない私は逃げられない。


「名前を決めないと」


「そうそう名前を……」


「名前を決める必要はありませんよ」


 声が響き、ソーマが私の前で背中に背負った盾を横に構える。私は既に投げてあるナイフを手に補充する。声の先では金属音と共に銀色の剣激が見えた。それをゆっくり腰の鞘に納める姿。頭に特徴的な三度笠を被っており、それが示すのは遠い異国の人である。


「ここで、おしまいでしょうや」


 私は殺気を感じながら、ソーマの背中に伝える。「刺客」であると。ソーマは素直に頷き、盾を叩き潰すように構えるのだった。












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