表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仁義なき悪役令嬢   作者: 水銀✿党員
最強暗殺者は婚約者に弱い。婚約者は暗殺者に滅法強い。
48/59

マクシミリアン女王~名物ばあちゃん~


 朝食を食べた後。マクシミリアン女王である彼女に連れられて私は騎士団の訓練所にやって来た。


「まぁ、ちょっと気になったからね」


 女王はニコニコとして訓練している兵士に何やら道具を持ってくるように言いつけた。兵士は種族が人間であり、慌てて訓練所の奥に案内してくれる。


「……」


 案内された場所は箱の中のように四角い空間で土が盛られている場所だった。兵士が何人か球を投げ合っているのを止めてそそくさと訓練所を私たちに明け渡す。ソーマは何人かの兵士と挨拶を交わし、仲がいいのか笑顔で世間話をし、皆に性格が変わったことを指摘されていた。


「はい、これ」


 マクシミリアン女王が私に大きい皮手と布に近い感触だが硬く。そして重たい球を渡す。手にしっかりとフィットし、フーンと重いながら大きい皮手を右手にはめる。


「わかる? シャーリーちゃん」


「わかります。グローブと球ですね」


「やっぱ銀姉はわかるな。どこでその知識を得たか不思議でしょうがない」


「ソーマちゃん。邪魔。私はそこに立つから投げてきて」


「………」


 ボールの投げ方が教わっている。丸いものをしっかりと相手に当てるために。


「さぁ!! シャーリーちゃん!! ここ!!」


 女王は離れた瞬間にグローブをはめて……しゃがみ。パカッと貝のように開ける。


「………ふぅ」


 私は何となく。大きく振りかぶって。


「ソーマしねえええええ!!」


 鬱憤を込めて足をあげて踏み出し左手をバネのように大きく大きく伸ばした。


 スッパーン!!


 皮と球の当たる心地いい音が訓練所に響く。吸われるようにグローブに入ったのだ。私的に100点。頭を打ち砕ける。


「……よいしょ!!」


 女王が私に球を返す。それを片手で受け止めた。


「………?」


 女王が今度は違う位置にグローブを動かす。私は同じようにそこに投げ入れた。ソーマへの殺意を入れて。


「……」


「……ソーマちゃん。こっち、ここに立って」


「う、うん」


 捕球。ソーマが女王から一歩斜め前に立ち。木の棒を構える。


「ぶつけていい?」


「銀姉……絶対やるだろ? 知ってるから」


「ごめんなさいね。後で好きにぶつけていいからミットに入れてね」


「ばあちゃん!?」


「男は黙って死球で塁に出ろ!! 避けるな!!」


「ばあちゃん!?」


 ソーマが狼狽えている。その姿に少しフワッと気分が良くなりそのまま真っ直ぐ構えられた所に入れる。それを位置を変えながら時には少し変化をさせて当てれるように投げ入れる。


 久しぶりに球での暗殺練習をしているのが楽しくなり、結構の数を投げ……いつの間にか訓練所に兵士達が集まり出す。


「………んしょ!!」


 スパアアアアアン!!


「……ソーマちゃん。この子ちょうだい。彼女はスターになれる」


「………いや、本人にどうぞ。ばあちゃん」


 女王が受け止めた球を持って立ち上がり笑顔で私に近づく。そして、グローブに球を貰った私に女王は言い放つ。


「ねぇ。球団入らない? 私のあのグラスを撃ち抜いたコントロールの良さはやっぱり天才だった。推薦するから。来年先発でどう?」


「…………」


 私は首を傾げ、ソーマを見る。


「球団はわかるか?」


「??」


 わからないわけではない。なんでこんな世界にそんな物があるんだと言いたいほどである。噂では聞いていたが、非常に変な話である。


「よし、一から説明いる」


「じゃ……分かりやすく言うわ。あなたをマクシミリアン騎士団の衛兵か騎士に任命してあげる」


「ふあああああああああああぁ!?」


「うお!? 銀姉が珍しく驚愕してる!!」


 私はボールを落とした。


「……王国ではぜんぜん話題にはなってでしょうが……野球は国技であり。騎士球団を私は持ってる。まぁ~詳しい話は部屋でしましょう。私の目には狂いは無かった。ソーマちゃん大義である」


「……そんなことで誉められても…………」


 私は………背筋が冷えるのだった。





 汗を洗い流し、訓練所を後にした私たちは女王の寝室に連れられて鍵で閉じ込められながら説明を受けた。


 歴史は浅いがマクシミリアン王国には騎士球団があるらしい。その歴史は……なんともビックリする話だった。


 ひとつ、英魔国リーグが人気で個人で欲しいから作り、条件付けで参加が認められてリーグ戦を戦う予定だそうだ。


 条件付けは厳しくマクシミリアン王国が完全に英魔共栄圏傘下であることらしい。国を売ったという。しかし、この条件も無理矢理引き出した物らしい。


 「どう言うこと?」と言うと………1回どころか10回も申請、相談だったが、門前払いの参加拒否だったのだが、出向いて全面戦争すると脅し、仕方なく出された条件だったらしい。


「まぁできたばかりだけど……私は満足してるし……最下位の星の未来のように信じて待てば必ず。『リーグ優勝出来る』と私は信じてる」


 全て説明をし終えた女王は胸を張って宣言した。ソーマは頭を抱えて私に目線を合わせた。理解する。めちゃめちゃな人なのだと。


「お願い!! シャーリー!! チームを導き!! 優勝に貢献しない? あなたならエースになれる!! 一度でも見たいの!! 死ぬまでに!!」


「エルフ族は長命ですよね……十年頑張ってください」


「来年見たいの!! 初参加初優勝こそ花!!」


「………女性ですし……」


「エルフホワイトスワローズの4番打者は女。他のチームのタイヨウホエールズ強打者スラリンも女性ですし、数は少ないですが女性も居ます。特に女性選手の台頭こそ……優勝チームの秘訣」


 私は立ち上がる。そして、窓に向かって走る脱走を試みる。


「待ちなさい!! ソーマちゃんとの婚姻も許すし……いいえ!! 制式にすぐ!! 挙式をあげましょう!!」


「銀姉……すまない……ここ牢屋なんだ」


「ソーマ!? くっ!? 鉄格子ぶっ壊してても!!」


 ガシッ


「は、はなせえええええ!!」


 背後に女王が立ち私は捕まる。


「英雄になれるわ!!」


「いやあああ!! 表舞台とかやだあああ!! しかも、泥臭い!!」


「それがいいじゃない!! 泥臭いのが!!」


「無理です!! 嫌です!! 正直言います!! 私は人狼で暗殺とかで生計立ててる糞家の生まれです!!」


 ソーマに出逢ってから私の人生は歪んでいる気がする。


「あのデビルカープズは人狼もいるし、悪魔もいるし……関係ないわよね? それに私も過去に1000以上の人を殺しはしてる」


「………ソーマ助けて、現実の英雄様にはかなわない」


「銀姉が!? 銀姉が……素直に!?」


 ソーマが女王と私を引き離してくれる。結局頼りになる糞男だ。


「まぁ……銀姉は俺の許嫁なんで……すいません」


「……暗殺家なのに?」


「………一緒に堕ちます。そのときは」


「ふむ。お前の血にはしっかりと私の血も入っている。そうだ、昔から一途な奴もいる」


 女王の口調が変わる。真面目な口調に。


「婚約を認めてあげよう。どっちの家で名を語るか選ぶといい。ただし……孫は見せなさい。それは鉄則です」


「わかりました。ありがとうございます」


「……たまには投げてね」


「嫌です!!」


「くぅ……目の前に光る原石があるのに届かないなんて……うぅぅ。孫を貰うわ、英才教育しましょう」


 悔しそうに私を睨む女王。「そっちのが落ち着く」と私は笑顔で舌を出した。


「ええ性格してるわ、あなた。でも丸くなりわね、きっと。ん? 誰か来る」


 ドンドン!! ガチャ!!


 扉が勢いよく開けられ衛兵が入ってくる。そして、焦った表情で報告を始めた。


「女王陛下!! 情報がありました。あ、暗殺者が女王陛下を倒す依頼が出回っております!!」


「……」


「『祖国を裏切った者に罰を』と……王国側から巨額な賞金がかけられているそうです‼」


「物騒な世の中ですね。まぁいいでしょう。『帝国を裏切った同盟国代表』ですから。まぁ、私から言わせれば『息子を断頭した国』なのでね」


「お隠れを!! すぐに英魔国内へ!!」


「……ねぇシャーリーちゃん?」


「?」


 私に近付き肩をつかまえた。


「あなたは暗殺者よね。あなたの祖母は聞いてます」


「ばあちゃん!?」


「はい……歴代最悪を自負してますわ~」


「なら……おこづかいあげるから。ソーマちゃんと一緒に」


 女王が一拍間を置き笑顔でニコニコと言う。


「逆賊、治安を乱す者を葬ってちょうだい。報奨だすわ」


 私は頷いた。そっちのが本業だからだ。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ