悪役令嬢×悪役王子の第十歩 : 呆気ない
暗い部屋、湿った空気にローリエはああっと思うのだ。ローリエは一度も使ったことがない場所であり。いつかは使うだろうと思っていた。
だが、自分自信が使われるとは予想だにしていなかった。体は木の台にくくりつけられ。身動きが取れない。色んな金属の拷問道具があり。ローリエは自分がどうなるか想像が出来てしまう。
「あーら? やっと起きた? おはよう。ローリエ」
「……おはよう。お姉さま」
「おはよう。ローリエ、お嬢」
「ソーマ!! よくも!!」
ローリエはソーマを睨み。唾を吐き捨てる。ソーマの頬に当たり、ソーマそれをハンカチで拭き取る。
「最後の抵抗ですね。銀姉、どうする?」
「どうするって拷問するんでしょ?」
「いや、銀姉がそういうなら拷問するけど」
「私に辱しめを行った分は苛める予定よ」
「いや、あれは銀姉の自爆……笑っていい?」
「よし。気が変わった。あなたを拷問するけどいい?」
「いいぜ喜んでやるぜ」
「……近付かないでけがわらしい!! ごめん、しない!!」
「それでも近付く」
ソーマがシャーリー近付く。にこにこしながら。
「……シャーリー。拷問よりも俺と話をしよう」
「ちょっと!! 口説かない!! 先ず拷問するべきよ!!」
「今がいい」
「あーあ!! もう……仕方ないわね」
ローリエはこれは何の拷問なのだろうか悩んでしまう。地味に恥ずかしい光景が見え。何故か心から、見てるこっちが恥ずかしいと思うのだ。
「拷問……したかったなぁ……」
「銀姉。例えば?」
「つ・め・は・ぎ❤」
「好きそうだね」
「……やるならやりなさいよ」
「銀姉、起きたからおやつ食おう」
「おやつ!?」
「…………」
ローリエは気がついた。ソーマの拷問方法に。
「銀姉、今日はなーんだ? ヒントは今から焼く」
「焼く?」
「冬に食べるとうまい。ホクホク」
「………芋?」
「サツマイモ。サツマと言う地方の物がここまで来たらしい。今から焼くよ」
「……拷問」
「じゃぁ、一人で食うよ」
「行く。ローリエ……運が良かったわね。屋敷に連れてきただけで助かったのは本当に運がいいわよ!!」
「銀姉、行くよー」
「はーい」
「あっ、銀姉。待ってて……」
「ん?」
ローリエの近くにソーマがくる。そして、一言。
「トイレいきたくなったら。諦めて」
「ちょっと待ちなさい!?」
「一応木桶置いとくわ」
「待ちなさい!!」
ソーマはそのまま、銀姉と共に部屋を出た。小さなカンテラに照らされた中でローリエは……逃げ出そうともがくのだった。
*
寝室の暖炉で焼いた芋を皿に乗せる。それ手慣れた手つきで皮を剥く銀姉。
「銀姉、放置でいいだろ?」
「ホクホク……あつぅ………うーんほのかに甘く。こう!! 芋の香りがいい!! 緑茶取って」
「……はい」
「ズズ」
ソーマは最近非常に銀姉が慣れているのになんとも言い難い気持ちになる。
「何処でそんな風習を?」
「生前、似たとこで住んでたの」
「そっか……でっ。ローリエはどうしますか?」
「もう。呼び捨てなんですね」
「そういう気分なんです。銀姉はどうしたいですか?」
「どうしたいか……ですね。別に弱かったので強くなるまで放置ですね」
「……銀姉。優しいですね」
「父親が五月蝿そうなだけよ。スライムでも用意すれば良かったかしらね?」
銀姉はニコニコしながら芋をほうばる。両手で頬いっぱいに食べる姿は可愛いと思いつつ。ある道具を銀姉に見せる。
「そんな!! 血に餓えた狼な銀姉にこれ!!」
「なに、その大きい丸太」
「まぁ、ボウガンだよ」
「……バリスタじゃない?」
「銀姉にプレゼントだ」
「わーい!! バリスタ貰って嬉しいなぁ!! ってなるかぁ!!」
ソーマの近くに銀姉はたち。頬をつねる。
「いたたた!!」
「それに持てないわよ。私は女の子よ」
「……持てないかな?」
「………」
ヒョイ
「銀姉……持てたね?」
「ま、待ちなさい。弦を引けないわ」
「………」
グググ
「……引けたね」
「……引けたわ」
銀姉が弦を引き、腰にバリスタを構える。
「………ちょっと人間殺すには大きすぎよ」
「魔物用な。あと、人間撃っても死なないかもしれない」
「騎士はそうかもね」
「銀姉。冬休み。魔物狩りに行こう」
「………まぁ~じ?」
「マジだ」
ソーマは笑顔で死地に彼女を誘った。もちろん銀姉は。
「そっか!! 行くぅ!!」
満面の笑みでひとつ返事で答えたのだった。
「ローリエはどうでもいいわ」
「そろそろ解放しようか?」
「いいわね~!! 機嫌いい!! 全部許しちゃう!!」
ローリエは何もせずに解放され。姉妹喧嘩の決着は情けない事にシャーリーの興味が他に移ったために終わるのだった。




