悪役令嬢×悪役王子の第二歩 : 共同生活1日目
「ありがとう。今日も護衛おつかれさま。帰っていいわ」
私は屋敷の前でテルに「早く帰れ」と言う。手をヒラヒラと振ってどっか行けと邪険に扱った。
「ああ、そうか。何も知らないんだな」
「何を……」
「使用人に準備させ。俺も今日からこの屋敷で住むから。よろしく」
「………はい? どういうこと? どういうこと!? どういうことよ!!」
「お前のお義父さんから『娘を頼む』と言う依頼と。俺が婚約者と親密な関係になりたいからな」
「………」
私は話を聞きいた瞬間に急いで玄関まで走る。玄関の戸を開けて滑り込み、勢いよく戸を閉めた。何事かとメイドが現れそれに叫ぶ。
「閂の栓!! 早く!!」
「はい。銀姉」
ガシャ!!
私はソーマから受け取った閂の栓で扉を封じた。玄関からこれで入ってこれないはずだ。
「ふぅ………入ってくんなソーマ」
「そうか。入ってくるな……か」
「…………」
「…………やぁ、遅いな動き」
ビィン!!
サッ!!
「避けるな!!」
「避けるわ!!」
棒手裏剣を顔面に向けて放ったが避けられる。素晴らしいほど反応が良くてムカツク。
「なんでいるのよ!!」
「窓が開いてる」
「あなた!! なんで閉めないの!!」
私はメイドに怒鳴り散らした。
「さ、寒いですが。か、換気しておりました」
「運が良かったぜ。丁度空いてたし。なんでそんなに避ける銀姉よ」
「恥ずかしいからよ!!」
「………じゃぁ」
「………なによ。じゃぁって………」
私の髪を掻き分けて彼は頬を撫でてくる。「少し気持ちがいい」と思ってしまい。その行為を許してしまう。
「慣れないとな」
「うぅ!?」
イケメンスマイル攻撃で言葉を失う。やばい、鼓動が早い。耳に何故か音が聞こえる。
「早く慣れてくれよ……シャーリー。婚約者だろ?」
「………こ、婚約者でもここまで近いのは………恥ずかしいわ」
「そうか? おれはやっと叶ったから………嬉しさが大きいよ」
「………………」
「キスしてもいいか?」
「だめ」
チュッ
おでこの髪を掻き分けて柔らかい唇が触れる。私はおでこに両手を置いた。真っ赤になる。
「なら、我慢する」
「我慢してない………」
「口にしてないだろ?」
「………黙秘」
私は顔を下に向ける。顔が熱く鼓動が早いままで、どうしたらいいんだろう。本当にわからない。
「あの。お嬢様、ソーマドール様」
「……あっ」
「なんだい?」
「取り込み中にすいません………ご飯にしますか? お風呂にしますか?」
ドンッ
「グヘ」
メイドがモジモジ恥ずかしそうに聞いてくる。それを見て、今さっきのキスを思い出し私はソーマドールを突き飛ばしたのた。そういえば居た。メイドが。
「銀姉……めっちゃ力強いな」
「シネ……シネェエエエエ!!」
近くで見られたという羞恥心が沸きだしそれを吐き出すように倒れたソーマドールを踏んづけるのだった。
*
「ひどい目にあった」
「滅茶滅茶疲れた。寝室まで来やがって。死ねよ」
「銀姉。照れ隠しはもういいだろ?」
夕食後、寝室まで付いてきたソーマは閂で扉を閉める。なに。
「あっ………」
「さぁ……逃げられない。可愛がられろシャーリー」
「くぅ。風呂に入るから何処かへいけ」
「一緒に入ろう」
「ばっかじゃない!! なんであんたなんかと!!」
「婚約者だ!! 妥協してキスだ!!」
「妥協して!? それは妥協じゃないわよ願望よ!!」
「何がいいんだ?」
「そ、それは………」
「何までならいいんだ?」
「…………」
「さぁ……教えてくれ」
ソーマがジワジワと私に寄ってくる。ジリジリと壁にまで押された。私の目を真っ直ぐ見る彼に顔を背けた。
「こっちみろ」
「い、イケメンがよく見えて……向けない。あっち向いて……」
「……ぐぅ、その返しは嬉しい」
私は両手を胸に当て震える。
「お、襲わないで」
「可愛すぎて襲いそうだが。今日は許してやろう。言え。妥協」
「………て」
「て?」
「手……握る事から………は、始めませんか?」
「…………」
「ソーマ?」
沈黙。何をどうしたのだろうと思い顔をあげた。すると。
「お前が可愛いのがいけないんだ」
顎にテルの手の感触と。唇の感触が同時に襲ってくる。
「ん!? んん!?」
「……はぁ」
「キスした!! キスしたな!! バカバカバカ!!」
「………ごめん」
「………………………謝んないでよ」
私たちは恥ずかしさで顔を見れなくなり全く逆方向に顔を背ける。
「言っとくけど。初めてだったからね……」
「俺もだ。なんだろうな………この気恥ずかしさ。銀姉は慣れたもんかと思ったけどな~」
「………あなただから恥ずかしいの」
「……………」
「言わせるな」
私はそっぽ向いて目を閉じる。
「銀姉………もう1回」
「………だーめ」
切なそうな顔に私は速くなった鼓動が一層速くなり。心が締め付けられる。
「………さ、最後の1回なら」
「じゃぁ………」
「目を閉じてるから勝手にしなさい!!」
「いただくとしよう」
なお………テルは嘘つきで……1回ではすまない………使用人が呼ぶまでずっと…………何度もいただかれたのだった。
*
「一緒に寝よう」
「嫌よ。寝室用意したでしょ!!」
「一緒に寝よう」
「嫌ったら嫌!!」
別々の風呂上がり後にすぐ口論をする。私は自分の心臓が持たない事を感じながら、嫌がった。痛いと心臓が悲鳴をあげているのだ。
「くぅ………どうしてもか?」
「どうしても………」
「じゃぁ……このコインで勝負だどっち?」
「……裏」
テルはコインを見せてこちらが表だと説明を受ける。それを投げ。手のひらに乗せた。ゆっくり開けると………表だった。
「さぁ……俺の勝ち」
「うぅ……うぅ………」
「銀姉!?」
「もう………いや………うぅうぅ。辛い」
慣れないことで私はとうとう泣き出してしまった。
「あっああ………銀姉」
「うぅ………しんどいよぉ……うぅ………」
「……………ああもう!! わかったごめんな。寝ないから………泣かないでくれ」
「グスグス……」
「……ほれ。コインだ」
私は泣きべそをかいたままコインをもらい。両方表だったのを見た。
「ひどい!! 外道!!」
「……ああ。だから今回は銀姉の勝ちだ」
「……………」
テルが背を向けて扉を開ける。そのまま少し止まって声を出す。
「ごめん。ちょっと楽しくて調子乗りすぎた。愛してる。おやすみ………」
「…………」
私はコインを握りしめ。大きく鼻をすすってにやっと笑った。
「女の涙……最高~ちょろ」
「銀姉!!」
「ひゃぁ!?」
「……やっぱ嘘泣きか」
「ちゃ、ちゃうし!!」
「嘘泣きでも可愛かったぞ」
「はやく寝ろ!! おやすみ!! ばかしね!!」
「……ああ」
私はゼーハーゼーハーと息を荒げながら……ベットに入るのだった。
「畜生………めっちゃ疲れた」
眠気はすぐに私を襲うのだった。
*
「銀姉………起きてるか?」
「ん………んん………!?」
声が聞こえ目を開けると目の前にテルが馬乗りになっていた。
「さぁ……脱げ」
「えっ!? えっ!?」
「服の上からでもいいが汚れるぞ?」
「な、何をする気!?」
「夜這い」
「きゃ………モゴモゴ!?」
「猿轡。似合うな」
私は気が付けば四肢を拘束されている。下卑た笑いに私は身を竦めた。
「テルはこんな酷いことしない!!」
そう思い。蹴りを入れた瞬間。
ガバッ!!
布団から私は体が起き上がったのだった。
「……………………」
初日からなんと言うことでしょう。顔を押さえて唸る。
「なんちゅう夢を………見てしまうんだ」
ワナワナと体を抱き。震えながら夢を忘れようと頭を振った。朝日で浄化されてほしい。
「銀姉。おはよう……ってどうした?」
「きゃああああああああああああああ!!」
「ぶは!?」
私は勢いよく枕をテルの顔面に叩きつけるのだった。




