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仁義なき悪役令嬢   作者: 水銀✿党員
腹黒王子プロローグ
27/59

悪役令嬢と悪役王子の第二歩:汝は人狼なるや? 中編


 銀姉を家に置き。俺は父親の仕事場に顔を出した。騎士団の訓練所に指導を行っていると聞き。別室で個人的な話をする。襲撃があったこと、銀姉と今夜一緒に居ることを伝えた。


「でっ……父上。ごめん。親子の縁を切ってください。破門を」


「………聞こうじゃないか」


「銀姉についていきます。何があるかわからないですが……家に迷惑はかけません」


「ほう。迷惑か」


「はい。俺が勝手についていくだけです。いろんな家に殴り込みをするかもしれません」


「……戦いに身を落とすつもりだな」


「はい……すいません。育てて貰った恩を仇で返すような事して」


 俺は頭を下げる。「申し訳ない」と。


「………ワザワザ、訓練所まで顔を出して『何を言うか?』と思えば。そんなことか。最初に手を出したのはあっちだ。お前が悪い訳じゃない」


「………」


「親子の縁を切られてもいい。覚悟なんだな」


「……はい」


 俺は顔を上げて大盾を掴む。


「なら、俺の子として行ってこい」


「ち、父上!?」


「子の不始末は親がとるもんだ。やられたらやり返す。それが男ってもんだ。首を取ってこい!! それまで帰ってくるな!!」


「父上!!」


「親父と呼べと何度も言ったぞ!! ぶちかまして来い!!」


「ああ!! 行ってくる!! 親父!!」


「骨は拾ってやるよ!!」


 ガシャン!!


 手甲と手甲がぶつかりあう。その日、俺は親父に暴れる事に対する許可をいただけたのだった。



* 



 俺の屋敷に急いで戻ってきた。兄弟、皆が住んでいるが……今は社交界にでも顔を出しているだろう。使用人しかおらず静かである。使用人に事の事情を語り、銀姉を部屋に上げている。


 寝室に俺は向かい部屋を開けて入るとベットに腰掛け本棚から取った1冊の本を開き。読んでいる銀姉と目線があった。宝石のような綺麗な瞳に吸い込まれる。


「早かったわね。ねぇ~これって魔王冒険譚でしょ?」


「恋愛小説版な……非常に面白かった」


「実話なのよね……借りるわ」


「いいぜ。でっ……それは貸すから俺と会話しよう」


「ええ……嫌よ」


「会話しよう」


「いーや」


「……おやつ用意したんだが」


「紅茶とおやつ。それで手を打ちましょう。おやつはな~に?」


「あまり知らないと思うけど。鯛焼きと言うちょっと変わったおやつだ」


「鯛焼き!?」


 銀姉が本を置いて俺の前たち。耳をピクピクさせる。ズボンを履いているが穴から尻尾が出ておりモフモフがブンブンと振り回されていた。


「銀姉……海の鯛じゃなくて………」


「知ってる!! 尻尾より頭が餡が多いんでしょ!! 知ってる!! なんであるの!? なんで!?」


「えっ!? 銀姉知ってるのか!? 知らないと思い説明しようと思ったんだが………」


 王国では珍しい料理で魔国伝来の物だ。起源はもっと遠くの海を越えた先の文化らしい。それを知っていたのは驚いた。鯛の魚は知っていても鯛焼きは知らないと思ったのだ。


「尻尾派!! 尻尾派!! 最後に頭!!」


 早く早くとせがまれる。なんと言うか「喜んでくれるならいいや」と思い、使用人に作るように命じる。待つこと30分。銀姉がよだれを少し垂らしながら。椅子にちょこんと座っているのはもう、「撫でたい触りたい」と言う感情と戦う拷問だった。


 使用人がその拷問途中にホクホクした小麦色で甘い匂いの鯛の形をした商品が2個と紅茶を持ってくる。皿に手を伸ばそうとする銀姉の手を叩いた。


「いた!! なんで!?」


「待て。使用人が紅茶を用意している」


「ふんふん!!」


 お預けを食らった犬のようにふんふんと鳴きながら待つ。はい、かわいい。


「よし」


「いただきまーす!! ………ぱく…………美味しい!!」


 両手で鯛焼きを掴み尾からほうばる。美味しい美味しいとしか言わず。1匹をすぐに食べ終わる。


「美味しい!!」


「もう一匹どうぞ」


「美味しい!!」


「…………」


 俺は銀姉のその暗殺者ではない無垢な可愛さにお腹が膨れ、胃液を戻しそうになる。「今さっきの殺陣はなんだったのか」と胃がひっくり返るほどの落差には体が慣れてないようだ。


「うん!! うん!!」


 2匹をあっという間に食べ終わり、物足りなそうに指を加えていた。


「もう……ないの?」


「ない。最後……あと落ち着いて食べろよ。餡が溢れてほっぺについたぞ」


 俺は人差し指で頬っぺたの餡を取った。すると………


「はむぅ」


「!?」


 銀姉が身を乗り出し俺の人差し指の餡と一緒に舐める。チュウチュウと吸い。俺は意識が固まった。


「はむはむ。うん。物足りないけど御馳走様でいした………懐かしい気がして嬉しかった」


 意識が固まったのを動かしいたのも彼女の笑顔だった。夜まで持つだろうか俺の体力は………萌え死ぬのではなかろうか。もういっそ……魔国からの劇薬を使うかもしれない。






 夜になる。満月の月明かりのしたで屋敷の屋根へ俺らは登る。銀姉が「必要な事だ」といい。綺麗な銀髪をキラキラと月光で輝かせていた。


「銀姉……何を?」


「見ておきなさい。ワォオオオオオオオン」


 唐突に銀姉の遠吠えについ顔を見てしまった。非常に真面目に遠吠えを行い。そして遠くを見る。


「いったいなにを………」


「しっ………静かに」


 オオオオオン


「!?」


 遠くから遠吠え聞こえる。


「33人………へぇ~8人ほど殺られちゃったんだ。なーにその狐につつかれた顔して」


 俺は驚いた表情をしていたのだろうか。いや、驚くだろう。遠吠えで意思を伝えるんだから。


「ちょっと待ってね………オオオオオン!!」


 言葉を乗せて遠吠えしているのだろう。まぁ一生懸命に遠吠えをする彼女は可愛い。


「なんて?」


「潜伏だって。情けない。お父さんの指示で」


「………指示なら仕方がないだろ」


「残念、私の耳にはなんも聞こえないの。応答はワンっと答えたわ」


「意味はなに?」


「耳が聞こえないから指示がわからない。応答は私は今夜、暗殺する」


「………」


「ふふ、いいじゃない」


「仲間の内でも破天荒なんだな」


 俺はにやっと笑いを向けた。


「ふふ。おもちゃいただいたんです。遊ばなくっちゃ」


「あっ俺も使わせて」


「ふふ。いいわよ~じゃぁ………今からいきましょう」


「何処へ?」


「奴等の集まる場所へ。殴りこみよ!!」


 銀姉が髪を夜風に靡かせながら屋根から飛び下りる。俺も同じように飛び下り………ずんっと音が響く。


「重たそうね貴方の体」


「重たいよ俺は………」


 抗争に首を突っ込んだ俺は……血がたぎってしょうがなかったのだった。








 



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