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仁義なき悪役令嬢   作者: 水銀✿党員
腹黒王子プロローグ
16/59

悪役王子の第二歩: 様子見


 学園生活が始まる。令嬢たちを護るためか騎士の多くが雇われ。騎士たちが護衛に当たっていた。異様までの護衛の多さで事件の大きさを悟る。しかし、俺はそんなことは気にせずに。銀姉を手に入れる確かな覚悟を胸に教室に入った。すると………


「あっ!? ソーマドール様!!」

「ソーマドールさまだ!!」

「ソーマドールさま!! お話伺ってもいいですか?」

「……ええ」


 何故か異様にモテ出した。


「ソーマドールさまがあの犯人を倒したと聞き及んでます!!」

「ノブリスさまと一緒に倒したとか!!」

「ノブリスさまが解放する間。時間を稼いだと聞いております」

「ソーマドールさま……婚約者は居られますか?」


 令嬢たちの矢継ぎ早の質問。まるで餌に群れる犬のような光景に少し身を引いた。目には羨望と仲良くなりたいという欲望が見え、げんなりする。少しでも良く見せようと演じ。少しでもいい人、好きな人と婚約したいという切なる願いがあるのだろう。


 だが慕って欲しいのは犬じゃない。狼だ。媚びず顧みず。孤高であり、自由な令嬢。


 俺は囲まれながら。銀姉を思い浮かべてしまう。


「……すいません。少し避けて貰えませんか?」


 俺は令嬢に頭を下げてキッパリと断りを入れる。令嬢たちはそれでもと攻めてくるが。無口を貫いき。先に来ていた椅子に座って眺めていたノブリスに声をかける。


「おはよう」

「……おはよう。ノブリス彼女たちをどうにかできないか?」

「僕には無理だ……僕も質問攻めだったよ。君みたいに冷徹になれそうにない」

「……そうか……じゃぁ、もっと冷徹になろう」


 机の上に手紙を置く。ノブリスはそれを開いて俺の顔を見た。睨み付ける。


「シンシアは貰うだと!? どういう意味だ!!」

「……言葉の通り」


 周りの令嬢が息を潜める。


「お前……変わったと思っていたが……ここまでだとは。それよりも……やはりお前も……」

「……人は変わるもの」


 俺は親友さえ利用しようとしていた。







 昼頃、僕はいつものテラス。いつもの場所で紅茶を用意して恋愛小説を手に取っていた。


「銀姉遅くなった」

「ふふ、待ってないわ……勝手に紅茶は淹れなさい」

「あっ!! はい。準備しますね」

「ええ……………えっ?」


 私は小説から目線を上げる。すると目の前に可愛い可愛い女の子の同級生。シンシア・クローディアが魔法石で冷やされた紅茶を注いでいた。


「どうぞ、ソーマドールさん」

「そうも」

「あ、あなた………シンシアさん………えっ?」

「銀姉言っただろ奪うって。奪って来たよ」

「あっいや………」


 私は事の成り行きが分からず困惑する。シンシアを見ると笑顔でこちらを見ていた。何故?


「銀お姉さま!! シンシアです!!」

「あっ……うん」

「銀お姉さま!! 大好きです!!」

「!?」


 予想外の言葉にソーマを見る。満面の笑みで彼は言う。それは……私にとって衝撃的だった。


「シンシアは知っていたようだ。銀姉が悪意がない事をね」

「えっ………いや………おっほん。なにがよ田舎娘なんかつれてきて!! お茶が不味くなるわ」

「ソーマさん? 確かに狼狽えてるように見えました」

「だから、攻めに弱いんだよ。一応、田舎娘と言ってるけど銀姉は田舎は重要と言ってたし。お茶が不味い言いながら飲み干してるからね」

「ソーマドールさん。スゴいですね。よく見てます」

「一緒に居たら慣れる。ねぇ銀姉」

「ソーマ!! ちょっと耳を貸しなさい!!」


 私は恥ずかしい思いのまま。手をヒラヒラさせて呼びつけた。ソーマが近付いた瞬間肩を回してガンを飛ばす。


「おい……ソーマ……説明しなさい」

「説明もなにも。奪ったから……こっちに来てる」

「いちゃいちゃさせるためにくっつけたのよ? わかってる?」

「わかってる。俺がイチャイチャすればいいんだろ。それに目の前のがいいだろ?」


 それで連れ去ったのとかと納得。やるじゃない。


「……まぁいいわ。決闘は!!」

「決闘せず奪った」

「……なんでイベント飛ばすの?」


 前言撤回。泣きそうになる。楽しみにしていたイベントが消えてしまったのだ。


「銀姉の通りに事は進まないってだけさ」

「うっ……うう」


 泣きそうじゃない泣く。大事な大事なものが………


「あのぉ……銀姉さん」

「なによ!! うるさいわね!! どっか行ってよ!!」

「シンシアさん。隣空いてます」

「はーい」

「!?」


 私はシンシアさんとソーマに囲まれる。


「あっついわね!? なんでそこに来る!? 離れろ!!」

「ソーマドールくんの言う通りですね」

「でしょう?」


 ソーマとシンシアがニコニコと二人だけの意思疏通を行い。私はイラッとする。


「何よ!! あなたたち私を挟んで会話して」

「銀姉さま。本当に手を出さないのですね」

「だろ? 言動を目をつぶれば普通に近くに来れるんだ」

「驚きです。あんなに恐ろしく感じたのに………」

「……ぶつわよ」

「では!! どうぞ、銀お姉さま!! 私絶対離れません!!」ギュウウウウウ

「……………」


 シンシアちゃんが腕に絡み付いてくる。そういえばこの子。成長したらたしか………毛が生えたように精神強くなる子だった気がする。


「銀お姉さん……見守ってくださってありがとうございます」

「…………い、いいのよ」


 どうしようか私は頭が回らなくなる。手を出せばいいのだろうが私の流儀に反する。ソーマなど、強い者や戦おうとする気概のある人。まっとうな生活をしている人や私の家のような者ではない人の以外は手を出さないと決めている。だからこそ……


「よかったな銀姉。仲良くなって」

「…………絶対お前を許さない」

「……許さなくていい。覚悟はした」


 ソーマに裏切られた気分になったのだった。








 私は自宅の寝室。ベットの上で何度も何度も何度も何度も………ため息を吐いた。


 思っていた事が全て一瞬の内に変わってしまった。海辺の城のように崩れていく。シンシアさんは勢いを手に入れ。ソーマは自信満々で私についてくる。


「何かが変わった?」


 何かが変わったのか……わからない。でも変わったのだ。


「………」


 胸の中でざわめく。何かが始まりそうで……私は頭を悩ませる。


「…………………ソーマが何か考えがあるのかな?」


 約束はしている。シンシアときっと甘い掛け合いがあるのだろう。


「……はぁ……」


 ソーマとシンシアが仲良く慎ましく甘い事をするのだろうに。私は満足、出来る筈なのに何故だろうか素直に喜べない私がいるのだった。









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