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仁義なき悪役令嬢   作者: 水銀✿党員
悪役令嬢プロローグ
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プロローグ、悪役令嬢の目覚め。「お父様愛してます」(おこずかいちょうだい)


 僕は変な感性を持っていた。皆が思春期真っ盛りの中で恋愛小説が好きだし。お金がないために書籍を買うのを憚れる中で………なろうサイトの恋愛ジャンルを漁っていたのを覚えている。


 最近の流行りはやっぱり婚約破棄で令嬢と王子がくっつくまでの過程が甘いのが好きでたまらない。コミック化や小説出版作品は面白くて僕は大好きだった。最近は……ついついコミックは買ってしまう。


 だが、こんなにも好きなのに。当事者になるなんてのは僕は一切………考えてなかった。


「これ………僕?」


 朝起きた時。いつもの部屋だった。しかし、恐ろしい事を思い出したのだ。


「………思い出した?」


 夢で昔を思い出すことは多い。夢は整理するものなのだが。転生前まで整理してしまったらしい。どうでもいいけど。


「転生前まで思い出すことはないわね………はぁ………でも。納得した」


 何故か今まで………なんか価値観が違う事や、小さな違和感があったのだ。「感情が死んでいる」と言われ、医者に精神鑑定もされていた。理解できる。やっと私は産まれた気分なのだから。「そう!! 全能感が支配している」と心から叫べる。


「うわぁ~これ、僕!? 綺麗だなぁ~素晴らしい」


 鏡で自分の姿を確認し銀髪の何処から見てもモブではない容姿に喜びを表現する。何処かで見たことがあると思ったら自分の好きなゲームやアニメのキャラそっくりなのだ。蔑む目は特に似ている。特に銀色の髪が素晴らしい。


「ふむ…………ってことは!?」


 ゲームの中に入ってVR出来るわけで。僕は歓喜する。そう、目の前でリアルに味わえるわけだ。


 それは野球で言えばテレビで見るよりスタジアムへ足を運んでいる。それも投手の目の前で見れるのだ。ドラゴンの死神や蒼き星のパンの店長。赤き副大臣が目の前で見れるような物。涎しかでない。


「最高!! 夢が叶った!? やった~………あっいけません。言葉も気を付けないと」


 深呼吸し僕は頭を回転させる。この何度も何度もやって来たゲームを。


 ヒロインは一人。栗色の長い髪の可愛い美少女主人公でスゴく人気のキャラだ。何故か、精神面が凄く強くなる。成長した姿はスカッとする。

 

 そして私はそれを後押しする悪役キャラだった。


 ただ、容姿や言動などで私のキャラも人気だったために続編のヒロインへと上がったらしい。処罰監禁生活での新しい恋がテーマと言う。発売前なので知らないが楽しみだったのは覚えている。まぁ自分の事なんてどうでもいいけど。それよりもだ。


「さぁ!! 誰が王子さま!? 私が断然推すのは親友二人!! あれが一番大好き!!」


 攻略キャラは4人。王子。隣国王子。貴族と無口ツンデレの親友二人。


 なお、人気キャラは貴族とその親友二人がずば抜けている。仲がいいこともさることながら。腐向けなのだろう親友友情関係が滅茶苦茶描写されていた。「おい、お前ら結婚しろ」と言われる始末なほどに。なお、アニメ化でどちらが攻めか受けかで議論と人気故の論争、抗争は激しくなり。ヒロインを消すべきと言う鷹派主張も出てきたのだ。もちろん僕も賛成である。赤き改革の旗を掲げるのだ。


「あぁ………最高!!」


 僕は恍惚に浸る。欲に忠実は僕の座右の銘。これから始まる生活に胸を踊らせたのだった。






 私は時期を調べる。なんと、入学は終わり学園生活中なのだ。明日からヒロイン苛めイベントを発生させる重要な役が待っている。ヒロインを助けに入るのはヒロインの動き次第で変わる。一番最高シナリオ!! 親友貴族たちの奪い合いはこのイベントでは決まらないが二人のどちらかが助けに入らないといけない。


「楽しみ~」


 そう言いながら僕は父上の扉を蹴り破り。対峙した。恰幅のいい姿のお父様は驚いた表情だ。知っている。この人の事を。


「父上!!お話があります!!」


「シャーリー!?大丈夫なのか!!頭を打ったと聞いているが!?」

「ああ、ええっと。健康ですわ!!そんな小さいことよりも学園で自由にさせていただきたいのです。婚約者も自由に選びたいですので婚約破棄したいです!!」


 そう、自分が婚約者の貴族。ノブリス・オブリージュ。名門貴族の出らしく。数回会ったことのある金髪イケメン男だが。なんと!!攻略対象の男なのだ。別れ話を先に出しといて問題はないだろう。作品では幻滅されてフラれるのだが。


「いきなり何を言う!!相手はあのオブリージュだぞ!!」

「お父様は私がワザワザ断られる話をします?」


「な、何が言いたい!?」(なんだ!?この威圧感!?)


「胸の中で隠している事ありませんか?」


「何もない!!」


「隠し子………居ませんか?可愛い妹ですね」


「!?」(何故知っている!?)


「ふふふ、名門貴族クドルシュチルが不倫なんてね~問題ですね~愛してない結婚は嫌ですわ~結局不倫するなら不倫すると言えばいいじゃないですか。まぁお母さまも名門ですから。言えないでしょうね」


「お前はそれを何処で!?」


「ずっとずっと自分を偽り。お父様を騙してきました。しかし、それも今日で終わり。さぁ!!交渉です!!私はやりますよ!!母の前で泣きながら告白します!!愛されていなかったのですねと!!」


「い、いや。お前は愛してる!!しかし………そんな事で脅しても!!」


「お母さま~!!」


「わ、わかった!!聞こう!!聞こう!!」


「ありがとうございます!!お父様!!愛してます!!ええ!!ええ!!あと………」


 僕は1つ2つ頼み事をいい。満足した表情で部屋を後にしたのだった。なぜ、隠し子がいるのかと知っていたのは設定資料からの情報だ。まぁ……その隠し子も………面白い事に次回作で明かされる予定だった。





 娘が激変した。何があったのかはわからない。しかしどうやって情報を得たのかも気になってしまう。


「おい」

「はい、お館さま」

「娘を尾行しろ。怪しい行動があれば全部報告してくれ」


 娘が入れ替わったか。娘が誰かにそそのかされたのかを探る。


 容姿を変える魔術はある。長期間は無理だが。何度もかけ直せば維持できる。


「もし偽物なら最悪は………」


 娘でも、事故を装い始末し。隠し子を呼び寄せればいい。そして、本物であれば………


「まったく。先祖返りかもしれない。判断する」

「かしこまりました。すべての方面で確認します」

「頼んだ」


 利用しようとも思うのだった。






















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