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中村の本性

 バトルロワイヤルの負けたペナルティとして、勝負が行われた空き教室を掃除していると、中村は俺を付き人としてスカウトしたタイミングで、葛城が乱入し、俺の代わりに答えていた。


「松原さん。見事ヤイの部下になれば、4哀れな4軍の松原さんの学校生活を保障するのです。他の1軍の方が野蛮な命令をしても、ヤイが抗議してあげるのです」

「無視なの? 無視なんて酷いわよ?」


 カッコよく乱入してきた葛城だが、中村は何事も無かったかのように、俺をスカウトし続けていた。


「ま、松原君。私といた方が、良い事がたくさんあるわよ? いくらでも私のおっぱいを鷲掴みにして揉んでも良いし、抱き着いても――」

「葛城さんにペナルティを執行するのです」


 4軍に成り下がった葛城なので、1軍の中村のペナルティを受けてしまう。バッジから電流が流れ、葛城は表情を歪めて、床に膝を着かせて、中村の方を睨んでいた。


「ペナルティの理由、葛城さんは分かりますか?」

「……やっぱり高貴な1軍の人は、下ネタは嫌い? ……私は、下品だと言いたいのよね」


 葛城の憶測に、中村は首を横に振って否定すると、葛城の前にしゃがみ、葛城の顎を持ち上げていた。


「違うのです。そう言う事は、ヤイに言ってほしいのです」


 葛城は、身の危険を感じたのか、一気に教室の端まで移動した。


「怖がらないでください。ヤイは、凛として、トップに君臨していた葛城さんを、ずっとお慕いしているのです。さっきは恥ずかしくて、顔を合わせず、ついスルーしてしまいましたが、ほ、本当は、か、葛城さんの事が、好き――」


 段々と呼吸が荒々しくなり、変に興奮し始めている中村の様子を見て、葛城は一瞬でこの空き教室から逃げ出したが、すぐに中村も葛城の後を追いかけていた。


「……掃除するか」


 やかましい奴らがいなくなったので、今のうちにさっさと掃除を終わらせて帰ろう。

 箒でごみを集め、そして最後にモップで水拭き。きれいにしたら帰ってもいいと髙橋が言っていたので、パパっとモップで水拭きしようとした時、俺の携帯に通知が鳴った。


『ヾ(´・д・`;)ノHelp me!!』


 通話アプリ経由で来た、葛城からのSOS信号だった。スマホで、顔文字が打てる余裕があるなら、さっさと逃げ出せばいいのにと思うんだが。

 この様子だと、まだ中村に追われているのだろう。猪俣以外に、葛城を追い詰める人が出てくるとは予想外だ。帰る時に見かけたら、助けることにしよう。

 返信すると、なんか面倒な事になりそうなので、返事をせずに、床の水拭きを丁度終えた時、再び葛城からSOS信号が来た。


『(/´Д`)/Heeeeeeeelp!!!!!』


 この様子だと、葛城はマジでピンチなようだ。モップから搾って出た水を捨ててから、葛城を助けに行くことにしよう。

 掃除用具を片付け、そして汚い水を捨てに、近くの手洗い場に行こうと空き教室を出ると、廊下には、葛城が中村に押し倒されている光景に驚き、モップの水を切るバケツを落として、廊下に水を撒き散らしてしまった。こんなに近くにいるなら、大声で助けを呼んだほうが良かったんじゃないのか?

 葛城は、カッターシャツが脱がされ、程よく膨らんだ胸を覆うブラが露わになり、そして葛城の腹の上には、鼻息を荒くし、目をハートにさせた中村が座りこんでいた。


「……遅い」


 正反対に、葛城の目は死にかけていて、もうこの状況を抜け出す事を諦めていると思いきや、再び俺の携帯にメッセージが届いた。


『۹(◦`H´◦)۶プンスカ!』


 目は死んでいるようだが、内心では俺に怒っているようだ。顔文字で送る体力があるなら、女子同士が絡んで、一人が下着姿の、このヤバい光景をやめて欲しい。


「……汚されちゃったの。……私のはじ――」

「それ以上は言わせないからなっ!?」


 この状態で、正常な判断が出来なくなっているのか、葛城がおかしなことを言い始めてたので、俺は自分のスマホを、葛城のおでこに叩きつけて、葛城を黙らせた。

 スマホは通話、インターネット、ゲームが出来て便利だが、時には武器にも出来る。これは木村に教わった事だ。


「松原さん。邪魔しないでください。邪魔したら、どうなるか分かっていますよね?」

「分かったから、一時中断にしてくれないか? その、色々と目のやり場に困るんだが……」

「それはナイなのです。ここで逃がしてしまったら、また葛城さんを捕まえないといけなくなるので」


 この様子だと、中村は葛城に色々しないと気が済まないようだ。強引にでも終わらせた方がいいのだろうか――


「あっ、ヒロ君~。こんなところにいたんだ~」


 そう悩んでいると、髪の毛に寝癖を作り、ぼーっとしながら歩いている菜摘がふらりと歩いてきた。どうやら、この時間まで教室で昼寝をしていたらしい。


「ま、松宮さん……。松宮さんなのです!」


 のんびりと歩く菜摘の姿を見た中村は、葛城の腹の上で更に興奮し、そしてすぐに菜摘を捕獲しようと、菜摘に飛び掛かったが、菜摘はパンを取り出しながら、横に少しずれて避けた後、俺の横に合流した。

 菜摘を捕獲するなんて、至難の業だろう。ドッジボールで一度も球に当たった事の無い菜摘だ。攻撃をかわすことぐらい、容易い事なのだろう。


「ヒロ君。みんなで何をしていたの?」


 菜摘には初対面の女子、そして半裸に近い葛城と一緒にいたことが、菜摘を怒らせる要因になってしまったようだ。カレーパンを食べ、にっこりした表情をしているが、微かに目を開けて、若干口元が吊り上がっていた。


「松原君は、欲求不満だったのよ。遂に欲求を抑えられなくなった松原君は、私を呼び出して、こうやって押し倒して、服を脱がせようと――」

「火に油を注ぐような嘘をつくな――いだだだっ!!」


 葛城は、きっと俺がさっさと助けに来なかった事の仕返しで、こんな菜摘を怒らせるような事を言ったのだと思う。俺は葛城の頭にチョップして轟沈させた後、菜摘は爪を立てた指で、俺の頬を摘まんでいた。


「……ヤイは幸せ者です。……ヤイの学校の学年は、可愛い女の子だらけなのです」


 遠くまで飛んで行ったと思ったのだが、中村はすぐに戻って来て、俺の頬を摘まんでいる菜摘と、ブラの姿のままで倒れている葛城を見て、再び中村は目をハートにして、鼻息を荒くしていた。


「中村。お前は、男子より女子が好きな方か?」

「そうなのです」


 全く恥じる事も無く、中村は堂々と宣言していた。


「ヤイは、この高校に入る前までは女子校にいたのです。そのせいか、可愛い女の子を見ると、抑えられなくなって、つい暴走してしまうのです」


 1軍に君臨する、ハーフ女子の中村は、同じ性である女子を愛する人のようだ。一件は真面目そうなのに、菜摘や葛城のような女子を見てしまうと暴走してしまう、少し変わった女子のようだ。そうなると、楠木や木村、紫苑に中村を合わせるのは、危険だろう。


「ヤイのクラスの女の子は、みんなヤイの魅力によって落ちています。命令すれば、みんなヤイの命令を聞いてくれるのです。もうすぐ、学年の女子はヤイの手によって落ちるのです」


 そうなると、中村を敵に回すと恐ろしい事になるようだ。余程の事でない限り、中村と関わるのはよしておこう。


「……まさかと思うけど、松原君を雇おうと思ったのは、私たちと近づくためかしら?」

「ヤー。だって松原さんは、学年一のハーレム生徒なんでしょう? 前に安藤さんがそう言っていました」


 気を取り戻した葛城は、中村にそう尋ねると、中村は隠す様子もなく、あっさりと認めた。

 安藤の奴、俺をヒビト君以外に、そんな呼び方までしていたのか。あまり否定することが出来ないが、安藤に裏でそう呼ばれているのは、何か腹が立つ。


「安藤さんの言った通りなのです。松原さんの近くにいれば、こんな可愛い女の子がやって来てくれたのです」


 再び身の危険を感じたのか、葛城は咄嗟にこの場から逃げ出したので、目をハートにした中村も、すぐに追いかけて行った。


「助けに行かなくてもいいの?」

「……邪魔したら、生徒会長よりも怖い報復が来そうなんだか」


 だが葛城を放っておくのも気の毒なので、菜摘の直感に任せて校内を探すと、葛城は何とか中村をまいたようで、滅多に利用しないような男子トイレの掃除用具を入れる個室に、体を蹲らせて、体を震わせながら避難していた。



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