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幼なじみと一緒にいたら、スクールカーストの底辺になった  作者: 錦織一也
幼なじみに頼るのは恥だが、役に立つだろうか。
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新たなトップ 葛城果歩

 再びカースト制度の順位がが見直される1学期の期末考査。

 この機会を逃すわけにもいかない。1、2軍と贅沢を言わない。せめて3軍。この奴隷のような存在の4軍から抜け出す為に、必死に勉強をした。


「……マジかよ」


 しかし、あれだけ頑張ったのに俺は4軍のままだった。


 前と同じく、学校の玄関の前に各学年のカースト制度の順位が掲示されていた。俺は1、2軍は見ない事にして、兎に角3軍の所を血眼になって探したが、変わらず、俺は最底辺の所に名前が書かれていた。

 そして俺と同じ順位に菜摘。菜摘の名前の一つ上に楠木、木村、そして紫苑の名前。そしてギリギリ3軍の所に塚本の名前があった。


「ヒロ君は、カースト制度の底辺がふさわしいって事なんだよ~」

「そんなのに似合いたくない」


 どうして最底辺なのか。テストの結果はもう帰って来ていて、大体が70点。赤点は一つもなく、ほとんど赤点だらけの菜摘と一緒なんておかしい話だ。


「やっぱりあの言動が引っかかっているんじゃない?」


 楠木はムッとした顔でこの掲示されている紙を眺めながら、そう言ってきた。


 安藤との勝負で、俺は堂々とアニメオタクだと言うことを宣言した。アニメを嫌う、生徒会長の烏丸先輩が俺を最底辺にしろと指図したのだろう。


「と言うか、安藤はどうなったのよ。あいつが最底辺じゃないの?」


 楠木に言われて今気づいた。そう言われてみるとそうだ。俺に負けた安藤は、一気に1軍のトップから4軍の最底辺に降格された。だが、俺より下に安藤の名前は無く。


「……ここにいる」


 木村が指を差し伸べて、4軍のトップの所を差す。そこに安藤の名前が書いてあった。

 俺より頭が良い安藤。テストでは好成績を出したが、成敗戦争で負けたので、一気に2、3軍には上り詰める事は出来ない。だが、俺よりも上って言うのが、何か気に食わない。


 見直されたカースト制度。それは特に大きな変動はなく、以前と1軍には猪俣が君臨していて、そして猪俣より上、安藤の代わりにトップに立っているのは、1年3組の葛城かつらぎと言う生徒の名前があった。全く面識のない生徒だ、一体どんな生徒なのか分からないが、安藤のように最低なトップにならなければいいんだが。




 テストが終わったので、夏休みに入るまで、しばらくは半日で学校が終わる。1、2時間だけ授業を復習程度で行い、残りは掃除など、身の回りの整理をしたり、夏休み明けに行われる学校祭についての打ち合わせで今日の学校は終わった。

 さっさと帰って、クーラーのついた部屋でアニメでも見るかと思って、皆も教室を後にしようとした時。


『お知らせします。1年2組の松原さん。大至急視聴覚室に来てください』


 そんな放送が流れた。何故最底辺の俺が呼ばれたのか。だがこの流れは、おそらくカースト制度についての事だろう。

 早速他のクラスの奴にパシリとして使わるか。俺はそう思いながら、いつの間にか横にいた菜摘と共に視聴覚室に向かい、そしてノックしてから視聴覚室の中に入ると、一人の女子生徒が目を閉じて立っていた。

 黒髪ロング、清楚系のその女子は、どうもオタクたちの心をくすぐる。黒髪ロングの女子は、かなり人気にあるキャラになる事が多く、文学少女だったり、ドSキャラなど、色んなキャラになっているため、この女子はどのようなキャラなのか、色々と想像してしまう。


「ようこそ。松原正義君」


 俺が視聴覚室の扉を閉めると、この女子生徒は目を開き、俺の前に立った。


「こんにちは。この度は、安藤君を降格させてくれたことに感謝しています。私は1学年スクールカースト制度のトップになった、葛城かつらぎ果歩かほって言います」


 この黒髪ロングの女子が、安藤に代わってトップになった、葛城と言う生徒のようだ。綺麗な黒髪ロング、清楚で可憐で、俺の周りにはいないタイプの女子だ。


「変な目で見たらダメだよ~?」


 菜摘は、当然のことで俺の横にいる。可愛いと思って葛城を見ていたら、菜摘が俺の頬を摘まんできた。


「何だかアリサちゃんに似ているよね~」

「まあ、黒髪だからな」


 俺が好きなアニメ。『俺の友達の彼女が可愛くてしょうがないんだが』の登場キャラ、高間アリサにそっくりだ。黒髪ロングのクールで少し落ち着いている雰囲気はどこか似ている。


「あらあら。1年5組の松宮さんもついて来たのね。松宮菜摘さん、貴方はいつも松原君の横にいて、隙があれば授業を抜け出して、購買の前でパンを食べていると言う、問題児の子ね」

「私も有名になったね――痛いよ、ヒロ君?」


 俺はそんな変な事をしている菜摘の頭を叩いた。

 そんな話初めて聞いたぞ!? 教室でじっとはしていないと思っていたが、まさか教室を抜け出して暢気にパンを食べているとは。菜摘の両親にバレたら何を言われるか。


「……で、1学年のトップのあんたが、俺に何の用だ?」


 何故俺を視聴覚室に呼び出したのか。全く面識のない女子、1軍の葛城に呼ばれるなんて、俺は何をしたのだろうか。


「4軍、そして1学年で最底辺。どんな人が最底辺かと思ったら、意外と普通な男の子。冴えない顔、ひょろひょろとした弱々しい体。どうしてあなたが最底辺なの?」

「知らん。トップなら、そう言った事ぐらい知っているんじゃないのか」


 そんなの俺が聞きたい。そんなに悪い点数を取っていない、なのにカーストでは最底辺。俺よりも成績の悪い人が居るはずなのに、アニメオタクだと言う理由で最底辺にしてほしくない。アニメオタクの何が悪い。


「私は安藤君とは違う。どんな階位の人、勿論、底辺になってしまった、4軍の気持ちも分かりたい。そして私は、このスクールカースト制度を無くす。それが私がトップになった目的」


 葛城果歩。新しくトップの座に就いた1軍のトップは、俺らの味方のようだ。安藤とはえらい違いで、安藤も予想外だろう。


「本当に醜い制度よね。立場の上の人が下の人をこき使う。それって、昔の人と一緒じゃない。貴族と奴隷、考え方が古臭く感じるわ」


 このカースト制度を始めるきっかけになったのは、生徒の学力向上。こき使われたくなければ、必死に勉強して、部活動や日頃の行いで学校に貢献するためと言う理由だ。


 だが、今ではそんな事は忘れ去られている。大人しくしていれば、階位も下がることない。それがみんなが分かっているので1軍は貴族のように高みの見物をして、2、3軍は悪役の下っ端のように威張っていて、町民の俺ら4軍をこき使っている。

 逆らったら電気のペナルティ。それは1軍しか出来ない特権なので、もし2、3軍に逆らったとしても、1軍にチクれば、俺らにペナルティが執行できる。痛がっている姿を見て、2、3軍は笑っていると言う、最悪な光景を作り出している。学力向上には全く繋がっていないのが事実だ。


「それで、松原君は何をされたの?」


 俺が過去に1軍の奴らに何をされたか。それを聞きたいのだろう。

 だが、俺は特にひどい事をされていない。多いのは楠木とか、木村、そして塚本になるだろうか。その3人の話を言えばいいだろうか。


「まあワザとに怒らせて、1軍に逆らったと言う理由で、ペナルティを執行したり、変なパシリをさせたりと、完全に1、2軍のおもちゃになっているな」

「ひどい話……。尚更このカースト制度をやめないといけないわね」


 葛城は話を聞いた後、俺の手を持って、小悪魔的に微笑んだ。


「協力してあげる。じゃあ手始めに、一緒に実行委員長を倒しましょうか」

「ん? 葛城が実行委員長じゃないのか?」


 1軍のトップが実行委員長になるのかと思っていたのだが、どうやらそれは違うらしい。


「違う。実行委員長は、法田君」


 はあ!? あの菜摘に負けた法田が実行委員長になったのか!? きっと安藤の奴が推したのだろう。


「良からぬ噂を聞いてね。その恐ろしい計画を阻止するために、安藤君に打ち勝った松原君の知恵を借りたいの。いいかしら?」

「良からぬ噂とは?」


「実行委員の特権として、新たな規定を作る。気に入らない人をすぐに4軍に出来て、気に入った人は1軍に出来る自分勝手な事をしようと企んでいるの」



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