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幼なじみと一緒にいたら、スクールカーストの底辺になった  作者: 錦織一也
幼なじみに頼るのは恥だが、役に立つだろうか。
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小テスト勝負

 

「……松宮。……今日も勝負があるのは覚えているの?」

「ちゃんと覚えているよ~」


 楠木は、菜摘の今日の小テストで心配なのか、俺の横でマイペースに菓子パンを食べている菜摘に尋ねていた。


 今日は成敗勝負の最後の項目、昼休みに小テストが菜摘にひかえている。

 果たして、一体どのような感じで小テストを行うのか、それは未知の領域だ。誰もやった事のない勝負なので、俺らもどのような感じで勝負をするのか、どのようなテストが出されるのか。


「じゃあ、どこで何をするのか、ちゃんと私の目を見て言って」

「えっとね……。確か……」


 もう楠木から目線を離して、俺の方に視線を送り、助けを求めていた。


「俺は知らないからな」


 俺も菜摘から何も話を聞いていない。昨日、俺は菜摘に尋ねたが、菜摘は『明日のお楽しみかな~』と言って、俺に話そうとはしなかった。


「そう言えばそうだったね~。それでは教えるね~。今日の昼休みに、体育館でやると言っていたような、いなかったような……?」


 体育館で成敗勝負のテストをやるのか? テストなのだから、空いている教室でいいのではないのだろうか。


「昼休み、体育館で成敗勝負のテスト項目をやるのは合っているぞ」


 遠くからでも、話を聞いていたのか。安藤が俺たちの所にやって来て、菜摘に接近しようとしていた。


「よく覚えていたな。忘れているかと思って、俺はひやひやしたぞ」


 そう言って菜摘の肩に手を置こうとした安藤だが、菜摘はひらりとかわしていた。


「安藤。あんたは一体何を企んでいるの?」


 体育館で小テストをやる事に違和感があるのか、楠木は目を細めて安藤にそう尋ねていた。


「これは、学校祭のようなイベントみたいな物だ。体育館でやるテスト勝負は、見学はオッケーだ。気になるなら、松原と一緒に手をつないで、仲良く来ればいいじゃないか。気になるならな?」


 そう言って、安藤は俺たちの元から離れた。


「……ヒロと手をつないで。……それもありかも」


 もう小テストの事はどうでもよくなった様子の楠木。安藤にそそのかされた言葉に、楠木は顔を真っ赤にしていた。





 そして昼休み。


「意外と人が居るわね……」

「本当に意外だな」


 4限目が終わると、放送で小テスト勝負を行う放送が流れていたのが影響か、体育館に来ると、結構な人が見物に来ていた。

 安藤の言葉を真に受けて、楠木は手をつなぐのではなく、いつも菜摘が俺にくっついている時のように、楠木も俺の腕にぴったりとくっつき、ぴったりとくっついているせいで、楠木の発達したものは当たっているので、少し俺は嬉しくて昇天しかけていた。

 菜摘のはいつもくっついて、慣れているせいか、あまり思わなくなっているが、楠木は別だ。ニーソ姿で、梅雨のむしむしとした蒸し暑い日々でも、楠木は俺の為かと思ってニーソを毎日穿いている。ニーソ姿の女子に、くっつかれているだけで、俺は心の底から嬉しいと思っていた。


「……まるで、クイズ番組」


 楠木とは反対に立っている木村が、その呟きを聞いた瞬間、俺はこの先の展開が見えた気がする。


「クイズ形式で、テストをやるのか……?」

「あ~。確かにそうかも」


 体育館のステージに、二つの机と椅子が並べられて、そして机には押しボタンがある。これはクイズで勝負をするとしか思えない。


「クイズなら、クイズ勝負で良くない?」

「あくまでも、学校の行事なのだから、カッコつけたいんじゃないのか」


 楠木とそう言っていると、ステージ上にマイペースに菓子パンを食べている菜摘。そしてこの以外の見学者に驚いているのか、おどおどした法田が現れて、そして最後に昨日の演説の時の放送を担当していた、放送委員の生徒が現れた。


「さあさあ! これで勝負が決まると言って過言でない! 成敗勝負の最後の勝負、小テスト勝負が始まりまーすっ!!」


 ハイテンションで司会をする放送委員の人。ノリが完全に学校祭の司会のノリだった。


「今から始まる小テスト勝負! ルールは簡単、今から10問の問題を出題していきます! 多くの問題を正解した人が勝ちとなります!」


 うん。やっぱりクイズバトルだ。小テストではなく、クイズバトルと名を変えた方がいいだろ。


「松宮さんと、法田君。準備はいいですか? 昼休みの時間も限られているので、早速第1問!」


 そしてあくまでも小テスト勝負と言い張るクイズバトルが始まった。一体、どのような問題が出されるのか。


「パンはパンでも、食べられないパンは何でしょうか?」


 誰だ、この問題を考えたのは。小テストなのに、何故なぞなぞが出題されるのだろうか。


「……さ、流石に松宮でも分かるでしょ」


 この定番のなぞなぞなら、菜摘は答えられると思いたい楠木。そう願っていると、菜摘がボタンを押した。


「えっとね~。泥の中に落ちたパンかな~?」

「違います」


 常識としては間違いではないのだが、これはなぞなぞだ。答えとしては間違っているのだろう。


「簡単だろ。フライパン――」

「違います」


 定番の答えを言った法田も間違いと言われているんだが。


「正解は……。えっと……『生まれて1か月、毛もふわふわに生えてきて、よちよち歩きが出来るようになった、とっても愛くるしい姿を見せる、有名な動物園のパンダの赤ちゃん』です」


 そんな素っ頓狂な回答に、体育館にいる人は全員ずっこけた。

 何だよ、そこは普通に菜摘と法田が答えた回答でもいいだろ! 確かに愛くるしい見た目のパンダの赤ちゃんを食えと言っても、食えないが。


「おい! そこはフライパンでもいいだろ!」

「そんなピンポイントな答えが分かるかっ!」


 そんな答えのせいで、会場からヤジとブーイングの嵐が起きていた。


「仕方ないじゃないですかー! この問題の紙に、その答えが書かれているんですから~!」


 本当にこの問題、誰が考えたのか。考えた奴の面を見てみたい。


「続いて第2問! 鎌倉幕府が開府されたのは、何年でしょうか?」


 その問題に法田は押しボタンを押して。


「これは簡単だろ。1192年――」

「ぶっぶー」


 法田は再び間違えて、そして続いて菜摘がボタンを押して。


「確か……。1185年」

「おおっ! ピンポンピンポーン!」


 最近では、鎌倉幕府は、1185年に開かれたことになっている。1192(いい国)作ろう、鎌倉幕府ではなくなってしまった。法田の回答は、昔なら正解だったのだが、今では菜摘の回答の方が合っている。


「……松宮って、歴史が得意なの?」

「いや、ただ単に興味を持った事だけは、記憶力がいいんだよ」


 鎌倉時代の舞台を描いたラノベが俺の部屋にあるので、それで覚えたのだろう。前に読んで、面白いと言って俺の部屋で寝転がって読んでいたからな。


 それから問題が進み、常識的な学校で習う範囲のクイズが出されて、遂に最後の問題となった。


「さて、最後の問題です!」


 最後の問題となると、皆も緊張してか静かになっていた。

 これまで、国語と言うジャンルのなるなぞなぞ。歴史、数学、政治経済、数学、数学、数学、英語、古文の順で出されていった。なぜか数学が多い気がするが。


「……フレミング左手の法則」

「はい、正解です」


 最後は理科の問題で終了。


「はい、流石2軍の法田君です。8問正解で小テスト勝負は、法田君の勝ちです」


 司会の放送委員の人は、全く嬉しそうではなく、棒読みで法田の勝利を言っていた。


「本当はー、4軍の松宮さんと熱のある勝負をしてほしかったのですがー、まさかの法田君の一人勝ちー。松宮さんのマイペースな態度で、珍回答を聞きたかったのが本音ですー」

「おい! 俺が勝ったんだから、もっと祝福してもいいんじゃないのかっ!?」


 勝利した法田をさり気なく批判しているが、俺は放送委員の人の話は同感だ。

 楠木も、そして見学に来ていた他の生徒も、放送委員の人の話に頷いていた。何だか、さっきまで嬉しそうにしていた法田が哀れに見えた。


「では、放課後に結果を張り出すようなので、結果をお楽しみください!」


 そしてクイズ――ではなくて、小テスト勝負は終わり、残りは放課後に結果が出るのを待つだけとなった。


「……無駄な時間を過ごした気分だな」


 俺がそう呟くと、ずっとくっついている楠木がムッとした顔をしていた。


「ヒロ。私がずっとくっついた時間は無駄だったって事?」

「いやいや。そうじゃないぞ! 楠木がずっとくっついていて、柔らかい物が当たっていたから、嬉しかった……!」

「……ちょ、直球すぎるわよ」


 俺がそう言うと、ずっとくっついていたことを意識してしまったのか、楠木は顔を赤くして黙り込んでしまい、更にもじもじとしているせいか、楠木は俺の腕に更に体を密着させて、そして楠木の柔らかい物尚更が当たり、あまりにも柔らかくて、うっかりと鼻血を出して倒れそうになったが、何とか堪えた。


 美少女で、アキバのメイド喫茶でアルバイトする楠木に好かれていて本当に良かったと、心の底から思えた日は無いだろう。もう、ずっとくっついてほしいのが本音だ。


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