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外道な奴らに制裁を3

 

「はぁ……。とってもすっきりしたわ~」


 宿敵の猪俣と日下部を倒した事で、俺たちは決勝に進むことが出来た。そして宿敵の猪俣に打ち勝てたことで、葛城は甘いスイーツを食べたような、とろけた表情になっていた。


「やっぱり、戦っているヒロ君はカッコいいよね~」


 そしていつの間にか合流していた菜摘。体育館のどこからか試合を見ていたようで、自分の事みたいに、俺たちが勝てたことに喜んで、たこ焼きを食べていて、一つ俺に上げようと、口元にたこ焼きを押し付けていた。


「所で、松原君は私に何を相談するつもりだったのかしら?」


 そう言えば俺は、俺たちのクラスの悪評を流している2人組を探している所だったんだ。自分の生徒証を彷徨う亡霊のように校舎を歩いていたなら、そう言った2人組を見ているかもしれないと思って、声をかけたんだ。


「生徒証を探している時に、カッターシャツの下に、龍かドクロの黒いTシャツを着ている生徒――」


 猪俣に勝ったことで、すっかり自分の生徒所を無くしたことを忘れていたのか、俺が生徒証の話をすると、一気に死んだ魚の目のような目になり、その場でしゃがみ込んでしまった。


「……私の生徒証。……どこに行ったの」


 一気にテンションが下がった葛城。この様子だと、葛城に頼る事は出来ないようだ。


「ヒロ君。私がお散歩している時に、ヒロ君のクラスの悪口を言っている生徒がいたような気がするな~」


 ここで菜摘が、耳寄りな情報を言った。ただ単にフラフラしていたのではないようで、もしかすると俺に協力していたのかもしれない。


「どこで言っていたんだ?」

「体育館の前だったような?」


 田辺が見た時には、生徒玄関で言っていたらしい。俺たちが体育館に立ち寄った時には、そのような言葉も聞こえず、田辺が目撃した生徒もいなかった。


「……もう一度、体育館に戻ってみるか」

「その方がいいかもしれないね~」


 もしかすると、まだいるかもしれないし、また嘘を大声で言いふらしているかもしれないと思い、体育館に戻ってみる事にした。


「葛城はどうするんだ?」

「……生徒証を探すわ」


 再び彷徨う亡霊みたいに歩き出した葛城。決勝戦までに、葛城は自分の生徒証を見つけられるのだろうか。




「……そのような生徒はいないか」


 再び体育館に戻ってきたが、そのような生徒は見当たらず、先程までトーナメント大会が行われていた体育館では、今ではバンド演奏をやっていた。

 文化祭と言えば、学校の体育館でバンド演奏をやって盛り上がっているイメージがある。本当は少し聞いて、文化祭の気分を味わいたいところなんだが、俺は悪評を言っている生徒を探さないといけない。


「私はボーカルがいいかな~」


 ボーカルなんて、バンドの顔と言える存在だ。菜摘がメインボーカルになったら、そのバンドはすぐに解散しそうだ。


「私はギターをやってみたいのですね~」

「……私は裏方」

「おわっと!!」


 さっきまでいなかったはずの紫苑、そして木村が、俺の横に立っていた。どうして俺の周りにいる人は、こうやって存在を消して俺の横に現れることが出来るんだ? その技を俺に教えて欲しい。


「マロン。悪い人は見つかったのですか?」

「さっぱり。先程まで体育館にいたらしいが、どこかに行ったらしいな」

「それで、ここで休憩中と言う事なのですね~」


 まあ、休憩でもいいだろう。よくよく考えたら、俺はずっと歩きっぱなしだ。少しぐらいここでライブ演奏を見ていても、紫苑はは怒らないだろう。


「店、どうしたんだ?」

「お客さんが、田辺さん以外来ないので、私、紗良ちゃん、茉莉香ちゃんも休憩することにしたのですよ」

「それだと、誰も店がいないんじゃないのか?」

「紗良ちゃんが、塚本さんに任せていましたよ~」


 塚本は、すっかりと俺たちの便利屋さんになってしまったようだ。料理も出来るようだし、客も全く来ないなら、塚本一人で店を任せていいかもしれない。


「それにしても、私も一度こう言った舞台で、演奏してみたいのですよ~。バンド演奏は学校祭の華だと、ママも言っていましたからね~」


 今回の紫苑のおふくろはまともな事を言っている。まあ、この日のためにバンドを組んで演奏してみたい気持ちもある。本気の演奏をして、多くの人から喝采を受けてみたい理想もある。


「……そうか」

「どうかしましたか~?」

「俺たちも演奏してみるか」


 俺の突拍子な発言に、紫苑と木村は目を丸くした後、木村と紫苑で頬をつねり合っていた。俺がそんな事言って悪いか?


「ど、どどどどどうして、マロンが絶対にやりたがらない事をやろうと言い出したのですか?」

「ヒロ君らしくないね~」


 ひと言が余計な菜摘と紫苑の頭を軽めにチョップした後、俺は周りを見渡しながら話した。


「俺は、悪評ばかり言っている奴を探す事しか考えていなかった。学校は広い、そしてこんなに多くの人がいる中、たった一人を探すのは困難。田辺と菜摘の話を聞く限り、悪者は人がたくさん集まる場所にやって来る。ここもそれなりの人がいるなら、またここに現れる可能性もある。なら、俺たちがおびき寄せればいいだけの話だ」


 闇雲に学校中を走り回っても、いたちごっこで終わってしまい、時間を無駄に使っていくだけだろう。人が多く集まる場所に現れるなら、このバンド演奏を利用して、犯人を呼び寄せた方がいいだろう。


「……それなら、ずっとここで待ち伏せして、犯人を捕らえた方がいい」


 木村は反対のようで、俺を諦めさせるように、違う案を出してきた。


「犯人を呼び寄せる為だけじゃなくて、俺たちのクラスの印象をイメージアップさせることも出来ると思う」


 多くの生徒、そして一般の人も観に来ているバンド演奏だ。知名度、迷惑な奴のせいで下げられてしまったイメージを上げるためにも、この方法がいいと思う。


「面白そうな話なのですよ~! 私は賛成なのです!」

「ヒロ君がやりたいというなら、私も協力するね~」

「……裏方なら」


 変な噂のせいでお客が来なくなり、この現状を変えたいと思っているのは、紫苑たちも思っているのだろう。俺の意見を聞いて、乗り気ではなかった木村も、仕方なさそうに息を吐いていた。どうやら俺の考えに賛成してくれたようだ。

 楠木にも聞いてみよう。無理強いはしないつもりだが、俺の考えを楠木に聞いてもらおうと思った時、俺のスマホが鳴ったので、画面を見てみると、相手は楠木だった。

 楠木は、俺の居場所を聞いてきたので、体育館にいると伝えてから、俺の考えを楠木に説明した。


『……反対、と言いたいところだけど、緊急事態なんでしょ? 私はヒロがそれで上手くいくと考えているなら、私もヒロの考えを信じるわ』


 電話越しで話したが、電話の向こうにいる楠木の表情が分かった。安心そうな穏やかな表情で話し、俺にこの先の事を託してくれているんだと思う。




「ヒロの考えは分かった。けど、ヒロ自身は楽器は出来るの?」


 楠木も俺たちがいる体育館に合流すると、まず最初にそう聞いてきた。


「小学校の時、リコーダーやったぐらいしか――」

「嘘はダメだよ? ヒロ君は中学校の時に、『ギターが弾ける、俺カッコいい』って、言っていたような――」


 そんな黒歴史は忘れたので、俺はこれ以上、ヒビト君の噂に変な尾ひれが出来ないように、菜摘にチョップして黙らせた。

 菜摘の言う通り、中二病をこじらせている時、剣術とギターが出来る男はカッコいいと思い、今までやっていたゲームソフト、ゲーム機を売って、何とか金を集めてギターを買ったが、長く続かずに1年ぐらいで辞めて、ギターは売った。


「ギター出来るんだ……」

「意外そうな顔で見るな」


 楠木に軽く引かれている気もするが、深くは追及しないでおこう。


「高村。あんたは何か出来るの?」

「小さい頃ピアノをやっていたので、ピアノなら出来ると思うのですよ~」

「木村は?」

「……カスタネットぐらい」


 紫苑がピアノが出来るなら、キーボードぐらいは出来るだろう。木村は、楽器は出来ないと言っているような物だ。


「ヒロ君と一緒にいたから、私もギターは出来るよ?」


 だが菜摘は手先だけは凄く器用だ。俺がギターを辞めた頃には、菜摘は俺よりもギターを上手に弾けるようになっていた。


「松宮はクラスが違うから関係ないから、無理して出なくていいのよ?」

「私はヒロ君の傍にいたいから、一緒にやらせて欲しいな~」


 楠木の言う通り、今回は菜摘は関係ない。けど、俺と一緒にいたい菜摘は、楠木のおねだりするように、楠木に上目遣いをしていた。


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