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投擲士と探検技工士は洞窟を潜る  作者: 左高例
第三章『続く物語』
33/41

第4話『ジゴボルト/チュートリアル1』

 なんとかのなんとか言う名前の冒険者連中(まったく覚えていない)に続いて俺ら三人もダンジョンに突入した。

 相変わらず中からは「ひええええ!」とか「ぬおおお!」とか「うぼあああ!」とか悲鳴が続いている。


「悲鳴上がってるってことはソッコで死ななかったってことか」

「死んだらそれどころじゃないですからねえ」


 入口辺りで死んでたら死体を運び出すのが楽なんだが。

 ちなみに冒険者や傭兵なんかでは、死んでも幾つかの条件で蘇れる。死体の損耗が激しくないこと(手足の一本二本程度なら大丈夫だが、頭が粉々だとNG)やゾンビ化なんかしてないこと。あと病死と老死は無理。それを寺院に持って行って大金払って蘇生の儀式をしてもらう。或いは、腕利きの司祭に蘇生秘跡を掛けてもらう。寺院の方が成功率は高いな。失敗すると灰になる。

 まあ多分、このダンジョンで今まで死んで死体が上がってない奴は無理だろうな。白骨化してるだろうし。

 ちなみにじゃあ一般人でも事故死したりしたら生き返れるのかっつったら別にそんなことはない。鍛えてないと蘇生の際に注入する司祭パワーに耐えきれず高確率で体が崩壊するからだ。一応、成功率はゼロじゃないが。それ故、そこらのパンピーと変わらない新人より熟練戦士の方が蘇生成功率は高い感じだ。


 駆け足で入り口から進んで最初の小部屋まで行くと、四人組と魔物が争っている光景があった。

 魔物は一匹。

 青灰色の毛並みをして、やや前傾姿勢に二足歩行をしている大きな狼。若干人間らしいフォルムだが、全身の毛が逆立っていてバチバチと放電しており、手足の筋肉が盛り上がっている。伸びた牙は口腔からはみ出し、爪が切り裂いた軌跡には雷光が飛び散る。

 雷のワーウルフとでも言うべきその姿をした魔物は、


 "ジゴボルトだ! コボルトの進化系の!"

「あの子犬人間がこうなるなんざ驚きだぜ」


 コボルトというのは、精々成人男性の腹ぐらいの背丈をした犬人間っぽい魔物で、人間寄りになったことからか牙や爪がそこらの野犬以下なのでナイフなどで武装しているのが特徴である。

 それが進化すると動く度にギャリギャリ音が鳴り、雷を伴った格闘術で襲いかかる魔物になるとは。


「ぎゃあああらああああ!!」

「こっちこっち~……こっちくんなあああ!」


 それの相手をしているのはハッチとハッカ。

 細工師ってのは職業柄、重装備も出来なければ重い武器も持てない。精々ナイフか小型の弓ぐらいだ。何故ならデカイ武器で相手を殴った衝撃で手が痺れたり、余計な筋力がついたりすると細かい指先の技術が落ちるからだ。一応程度に前衛に参加する場合は、すばしっこさを利用してヘイトを稼ぎ逃げまわる程度である。

 軽業士も似たようなもんだ。細工師よりは重い武器を装備出来たり、投擲技能があったりするがやる仕事はヘイトを稼いで、ジゴボルトが矛先を向けたら全力で逃げまわっている。

 そしてハッカに攻撃をしようとしているのをハッチが石などを投げつけてヘイトを奪う。

 ハッチが必死で避ける途中で今度はハッカが引き受ける。

 そのヘイトドッチボールの繰り返しであるようだった。


「意外と避けれてますね」

「そんだけだがな」


 フツー、ヘイトを稼いで敵を引きつけたら攻撃力の高い前衛か、強力な魔法攻撃を打てる後衛がぶちのめすのだが……

 メイン火力の存在が皆無だな。


「ほら見ろ。あのヨーコとか言う人魚が楽器かき鳴らしてるだろ。アレの魔力効果で囮二人は運動能力が上がり、どうにかこうにか凌いでるんだな」

「へぇー歌を歌わなくても効果出るんですか」

「歌ったほうが効果高いけど、歌うとヘイト値が上がって狙われやすくなるんだとかなんとか」


 ぎゃりんぐおんと風と雷が巻き起こる室内を見物しながら解説をする。

 実際のところ、上手く避けまわってるのは前衛のガキ二人の運動性というより人魚のバフがかなり強力だからだろうな。歌なしであんだけ素人を強化できるのはちょっとしたもんだ。


「おっ、あの道具屋のガキが何か投げつけたぞ……って小さく爆発した? ありゃ爆弾じゃないのか」


 ポムポムとジゴボルトの足元が爆ぜているが、爪の一枚も剥げそうに無い。


 "ふむ……威力は全く通じていないが、原始的な黒色火薬に見えるな"

「爆薬や火薬って作れないんじゃなかったか?」

 "硝石の鉱床は発見されていないが、菌の作用により亜硝酸が地面に生じることはある。正しい知識で抽出すれば火薬も作れるだろうが、威力はまちまちだろうな"

「うーん? よくわかんね。爆弾は爆弾なんだろ?」

 "そうだな……地面に落ちている軽石と、投擲用に作った丸石では射程も威力も違うだろう? だがどちらも投石攻撃には変わりがない。そんなところだ。だが火薬生成の正しい知識など、誰が知っているのだろうな……"


 なるほどね。形だけ再現してるが粗悪品ってところか。

 脅かす程度の能力はあるかもしれねえが、そもそも全身から雷出しまくってる魔物が小爆発で怯むわけもなく。

 他にも油でも投げつけたのか、床が軽く燃えてたりしてるところもあるがジゴボルトの早さではその程度の火は効かねえ。

 詰んでるなーあいつら。


「呑気に見ていないで助けてくださいよ!?」


 道具士のチャモンが泣きついてきた。


「幾ら出す? 払えないなら、あそこの女二人を娼館に売り飛ばした出世払いでも良いけど」

「マッハで最悪だなこの人!」

「うっせボケ! 考えなしに突っ込んでピンチになってるとか馬鹿か!」

「最初の部屋にあんなのが居るとは思わないじゃないですか! 危ないのでたら隠れてやり過ごすつもりだったのにファーストエンカウントでこれですよ!」

「危機感が足んねえんだよカスが!」

 

 俺がチャモンと言い合っていると、何故かセンセイとエリザが数歩後ろに下がった。

 うん?


「ぎゃああ!! もう無理!!」

「逃げ逃げ~!」

「~♪」


 前線で戦ってた三人が入り口方向──つまりこっちに揃って逃げてきていた。

 ジゴボルトをトレインして。

 当然ながら人間の走る速度よりもジゴボルトの方が早いってのに、無計画に。

 四人組と俺が一塊になったところに、敵が雷光をきらめかせながら腕を大きく振り上げて飛びかかってくる──!


「くっそがァアアア!!」


 このままだと纏めてやられると思った俺が雑魚どもを押しのけて前に出て、ガントレットで保護した右腕でジゴボルトと撃ちあうように防御をする。

 壁を殴りつけたような重い感覚。超筋力あるこいつ。腕相撲では勝てそうにない。

 そして右腕同士がぶつかり合い、力比べのように押し合う状況で一瞬拮抗した──ジゴボルトの顔が嗤う。

 触れた奴の腕から雷電がほとばしり、俺の体を灼き尽くそうとしてくる。 

 だが──


「はっはぁ! 電撃頂きインストオオオオオル!!」


 叫んだ。幸い、鉄を切り裂く爪も俺の腕防具は破壊出来ていないようだ。

 俺の右腕にはなんとかのガントレット……ええい、前回使わなかったから忘れた。とにかく、電気パワーを溜めておける能力が備わっている。

 それによって投擲威力の強化や身体能力向上なんかが出来るわけで、雷をバリバリと浴びた俺の体は一旦ガントレットに収束して即座に俺の体をバフる力へと変わった。

 というか筋力増強の効果がないと攻撃受け止めきれずに押し切られたと思う。あぶねえな!熟練の戦士でもヤバイ腕力だぞこれ!

 追加効果の雷が効かないことでジゴボルトの顔に僅かな動揺が走った。


「オラオラァ!!」


 俺は問答無用でヒートダガーでジゴボルトの脇腹を二度ほど刺して抉る。竜の炎で熱された刃に電撃が走り最強に見えるこのナイフなら、硬い巻き毛の皮膚を容易く貫く。

 だがまだまだこの生命力の高い魔物の力は抜けていない。俺が電気で肉体を強化しているように、ジゴボルトも電気で生命力を高めているという。


「エリザ!」

「はいです!」


 前に出たエリザがブラスターをソードモードで構える。


「ライザーソードですぅ!」


 銃口からグミを飛び出させるように伸びた緑光の刃が、伸びる勢いのままジゴボルトを刺し貫こうとする。

 魔物は俺への攻撃を止めて、両手の爪でその切っ先を受け止めつつも背後に飛び退った。

 そこへ、猛烈な勢いの放水が始まった。センセイだ。

 激流の中に突如放り込まれたように、両足を踏ん張ってジゴボルトは耐える他無い。水の流れから逃げようにも、二足歩行の欠点として移動するには足を上げねばならず、そうすれば確実にバランスを崩して吹っ飛ぶだろう。

 

「センセイ! 水の感電は大丈夫なのか!?」

 "問題ない。純水だ。それより止めを"

「ハイですアルトくん! チャモンくんの持ってた爆弾を失敬してクラフト~……」


 エリザがいつの間にかパクった質の悪い爆弾を素材にして武器と組み合わせ、


「[爆裂のガイボルガ]! 相手に突き刺したら内部で爆発する槍ですぅ!」

「オーケイ」


 俺は先端が流線型になっている槍を受け取って、振りかぶった。

 構えるガントレットから放電が起こり、ぶん投げると人間が投げたとは思えない速度で真っ直ぐに身動きの取れないジゴボルトへと突き刺さる。 

 パチンと指を鳴らして俺は決めた。


「あの世に行きな、ベイビー」


 するとジゴボルトの体内で爆発が──

 爆発が──

 ん?


「あれ? エリザ。爆発しねーぞ」

「あ、そうでした。あの槍はこのボタンを押さないと爆発しないんです」

「おいおいエリザちゃんよ。そういう時は気を利かせて、俺が決め台詞を言ったらタイミングよく爆発させてくれねーと。やり直しな」


 まったく段取りが悪いなあ。

 俺はエリザからボタンを受け取り、再び胸に槍が刺さってるジゴボルト(まだ動いてる。元気だな)へと向き直る。


「あの世に行きな、ベイビー。ぽちっ」

「しまらないですね……」

 "それでいいのかアルト……"


 ボタンを押すと爆弾が作動したようで、バ、という音と共にジゴボルトの体が内側から弾けた。

 魔物の全身が、だ。どうやら途中で三十本に分裂するガイボルガと違い、これはジゴボルトの体内で四方八方に三十本の槍が生み出され、外側へ突き出たようである。

 こりゃあ生命力があってもひとたまりもないだろうな。


「ぼ、僕の爆弾を素材にあんな威力の武器を……」


 しょぼ爆弾作ったチャモンが慄いているが、ぶっちゃけ分子レベルで変換されてると思うぜ。

 センセイも放水を止めた。


「ふいー……魔物を殺すとションベンがしたくなるぜ」

「アルトくんのそのモヒカン思考はどうなんでしょう」

 "それよりエリザはジゴボルトの素材を回収してきなさい"

「わかりましたー」

 

 エリザがツルハシを持って死体へと近づいていく。完全に死んでるみたいで電気で逆だってた毛も寝ているから大丈夫だろう。

 その間にセンセイが駆け出し冒険者四人へと忠告する。


 "このダンジョンはこういう、熟達の冒険者でも全滅しかねない魔物が徘徊している危険な場所なのだ。君らはもっと経験を積むことを意識した方がいい"

「ほ、ほら、ハッチもハッカも。やっぱり無理なんだよここは」

「ううう、うるせいやい! ちゃんと時間稼ぎはできてただろ!」

「稼いだ時間を有効活用する方法が無いんだって」


 まあ……ジゴボルト相手に数分避け続けるのはちょっとしたもんだとは思うけどよ。

 下手に盾役の戦士が居たら攻撃を防御した瞬間に感電する。回避全振りは、この防御力が低そうなパーティでは有効ではあった。

 ターゲッティングを押し付け合い、自分の方に向いたら全力で逃亡。普通の冒険者は攻撃ってもんを考えるんだが、逃げるのみってのが上手く行ったらしいな。もちろん、バフを掛けてもらっての上で数分しか持たないけど。


「よ、よしこうなったら!」


 ハッチはびしりと俺の方へ指を向けた。


「丁度これで七人だしな! お前ら、俺たちのパーティに入れてやっても──」

「さて。さっさと先に進むかセンセイ」

 "エリザ、回収は終わったか?"

「はい! あのあの! 凄いですよ! [かくねんりょう]のマテリアルが手に入りました!」

 "[かくねんりょう]? そうか、ジゴボルトは体内でかくねんりょうを使って発電していたんだな。幸先がいいな。かくねんりょうはディメンションゲートの素材にもなる"

「無視されたー!!」

「ヘイトを引こー」

「~♪」


 センセイとエリザが何やら危なげな素材を回収しつつ、俺たちは先に進むことにした。

 雑魚に構ってる暇はねえ。




 ******




 とりあえずあの新人共は、ダンジョンの奥に向かう俺らの後ろからこそこそとついてくることを選んだので、


「道に油撒いて火ィツケてみるとか」

「なんでそんなガチ対策なんですか……」

 "……仕方ない。ダンジョンに潜る冒険者というのは基本的に自己責任だから、他者が強固に止める権利は無いしな。エリザ。念のため隠れるダンボールを分けてやりなさい。ついでにダクトテープも"

「ハイです」

「そのついでってのはなんだ。布教かなにかか」


 俺はそう聞いたのだが疑問を持たずにエリザがダンボールを四つ分持って後ろの連中に渡しに行く。

 身を隠せということだ。一応今回は俺らも、派手にやらかすのではなく隠れ隠れしながら先に進む予定なのだ。

 それにしても超素人な連中を連れて行くのは不安がなあ……

 ダンジョン関連では知らなかったらモグリレベルの[探検技工士]スペランクラフターセンセイすら知らないっぽいぞあいつら。

 しかし、俺らが上手いこと隠れて進んでるのに後ろで見つかってこっちにまたトレインされても面倒だからダンボールは貸してやるわけだが。 

 エリザが説明して帰ってくるのを待ってから再出発した。


「ちゃんと言うこと聞いたか?」

「ハッチくんは渋ってましたけど、チャモンくんが叱り飛ばしてしっかり全員装備するようになりましたです!」

 "それは何よりだ。さすが道具士だな。ダンボールの価値がわかっている"

「溺れる者はなんとやらだと思うが……」


 無鉄砲なリーダーについていくのも大変だな。


「ところでエリザ。幾らで売れた?」

「え!? 売り物だったんですか!?」

「ばっかおめー、無料でくれてやるのは逆にマナーがなってねえよ。なあセンセイ」

 "……まあ、冒険者のマナーは様々ではあるが、相手が困っていないのに施しを行うのは推奨されないというのもあることはあるな"

「へえ~」

 "押し売りによる要求を防止するという意味でもあるのだが。例えば楽に勝てる敵と戦っているパーティの戦闘に介入したり、軽い傷を負っている他人にいきなり回復魔法を掛けたりしてから謝礼を要求するという行為は禁止されている"

「まさに今じゃないですか! アルトくんですよ! ダンボールの礼金要求って!」

「ちっ」

 "予め与えるものが必要かどうか、対価の有無も交渉して渡す分には構わないのだが……今回は初心者の初回特典ということにしておこう"


 仕方ねえ。次からは金を取ることにするか。

 ともあれダンジョンの通路は松明が必要ない程度の明かりで満たされている。ランプや篝火ではなく魔力の明かりだ。ダンジョンによっては消えない松明なんかが壁に掛かっていたりもするそうだが。その場合は、松明そのものではなく松明を置く金具に魔力が掛かっているので消えない松明ゲット!とかは出来ない。

 最初の小部屋から先に進んでいくと、何か色の変わった床がポツンと道の真ん中に孤立している。


「なんだありゃ? 罠か?」

 "いや──事前の情報だとそうではない。初心者向けの案内板のようなものだ。アルト、危険は無いから踏んでみてくれ"

「センセイがそう言うなら踏むけどよ」


 本当に大丈夫だろうな。俺は意を決して近づき、床を踏みつける。

 ポーンと音が鳴って周囲に声が響いた。


『チュートリアル1~歩き方~』

『まずは前方向に体を傾け、倒れないように左右の足を交互に出して歩いてみましょう』


「?」


 なにこれ。

 そう思いながら、俺はそのタイルから数歩先へ歩いてみる。

 パラリラーンと楽しげな音が鳴り、再び声。


『おめでとうございます!

 歩き方をマスターした。

 トロフィー【初めての歩行】を所得しました』


 "……トロフィーがモニターに浮かんできた"

「なんだこれ……歩き方て」

「何の意味があるんですか……」


 呆然とした俺の目の前に、また色の違う床。

 ふらりとそれを踏んでみるとまた声がした。


『チュートリアル2~アイテムの拾い方~』

『前方に落ちているアイテムのところまで進み、その上に立って足元のアイテムを所得しましょう』


 パッと強い明かりが一点に──数メートル先に落ちているパンを指し示した。丸パンだ。床に直接ぽつんと置かれている。

 脳が停止したかのように俺は無心でそれに近づき、拾い上げる。

 パラリラーン。


『おめでとうございます!

 道具の拾い方をマスターした。

 トロフィー【初めてのアイテム】を所得しました』


「馬鹿にしてんのかごらああ!!」


 思わず叫んだ。

 うぜえ。限りなくうぜえ。何がおめでとうございます!だ。俺が歩いたり物拾ったりするのがそんなにおめでたいか!俺は絶好調だ死ね!

 エリザが動揺しながら聞いてきた。


「ぼ、冒険の初心者ってこんなラインからスタートするんですか?」

「そんなわけあるか! なんで歩き方から学ばされなくちゃならんのだ!」

 "このダンジョン特有の仕掛けで、72個ほどこうしたチュートリアルがあるらしい。勿論、中には有用なのもあるのだが……というか、チュートリアルの中身自体は全部資料館の小冊子に纏められてたしな"

「初心者に教えるにしても、もうちょい自然な教え方があるだろ! 記憶喪失してそのままこのダンジョンにでも迷い込んだことが想定されてんのか!」

 "……とりあえず、必要なことは私が教えるから踏まないように進もうか。チュートリアル床"


 このままでは[パンの食べ方]とか[道具の投げ方]とかまで教えられそうだ。

 げんなりしながら俺たちは壁際を進んでいくことにした。道の中央に例の床があるし、魔物に見つかりにくいようにな。

 案外にダンジョンの通路はつるりとしたトンネルではなく、凹凸のある天然の洞窟風だ。身を隠す隙間も多い。

 そうして進んでいると、ポーンと音が鳴る。



『チュートリアル1~歩き方~』

『まずは前方向に体を傾け、倒れないように左右の足を交互に出して歩いてみましょう』


『おめでとうございます!

 歩き方をマスターした。

 トロフィー【初めての歩行】を所得しました』



『チュートリアル1~歩き方~』

『まずは前方向に体を傾け、倒れないように左右の足を交互に出して歩いてみましょう』


『おめでとうございます!

 歩き方をマスターした。

 トロフィー【初めての歩行】を所得しました』



『チュートリアル1~歩き方~』

『まずは前方向に体を傾け、倒れないように左右の足を交互に出して歩いてみましょう』


『おめでとうございます!

 歩き方をマスターした。

 トロフィー【初めての歩行】を所得しました』



『チュートリアル1~歩き方~』

『まずは前方向に体を傾け、倒れないように左右の足を交互に出して歩いてみましょう』


『おめでとうございます!

 歩き方をマスターした。

 トロフィー【初めての歩行】を所得しました』



「しっ、しつけえ!」

 "背後であの四人が踏んだんだな……"

「ダンジョン中に鳴るのかよ!! うぜえなこれ!」


 こうして俺たちは。

 この鬱陶しい放送をBGMに進むことになったのであった。

 もういっそ先行してセンセイとエリザに壊しておいて貰おうかなこのウザい床……


主人公は割りと腕のいい戦士だって設定なのに

序盤で凄く丁寧なチュートリアルやらされるゲームありますよね

ノクタ展開は次回以降から徐々にだと思う(願望

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