エピローグ
サキ子を倒したら建物を取り巻いていたサキュバスネストの魔力は霧散し、普通の建造物に戻り落下したらしい。
その瞬間に、一匹の巨大なドラゴンが壁を壊してどこかに飛び去っていったそうだが、それはともかく。
崩壊した建物の中に両足骨折で取り残された俺を助けたのは、意識を取り戻したエリザだった。
「ふわあ!? アルトくんなんで裸なんですかあたしも!?」
「誤解だっつーの」
「でもアルトくんに雌犬がどうとか罵られながらなんか刺される夢を」
「夢だろ。っていうか見ろよこの俺の足。両足へし折れたままエロいことやってる奴が居たら見てみてえぜ」
とりあえず説得して、センセイの持っていた大木槌をエリザが使い周囲を掘削して建物から外に出ることにした。
車輪付き担架で外まで運んでもらい、そのまま修道院に入院コース。
全治三日ぐらいになった。シスターの使う回復魔法で治せるっちゃ治せるんだが、瞬時に治すよりは少しばかり時間を掛けた方が治りがいいそうだ。ついでに、俺もセンセイも体力的にグチャグチャだから休息も要る。
まあそれでも、センセイは俺よりゃ先に起き上がってエリザと二人してぶっ壊れたサキュバスネスト跡を修理したり、細々とした修道院の改修作業を頼まれたりしている。
「あああー暇だクソ……」
以下の条件で発生するストレスを計算せよ。
何もすることはない。
精力が魔剣の効力で漲っている。
若い女が滅茶苦茶多い修道院に俺一人。
しかも大体こっちに興味ありそうに見てきやがる。
いいっつうのにシーツが汚れるからとかで、体を濡れタオルで拭けとか持ってきて部屋に数人シスターが見物に来る。
トイレにもついてくる。
ベッドに乗って話を聞きに来る。
正直うんざりだ。早くここを出たい。
いや、シスターも結構いい感じな可愛い娘が多くて物陰にでも連れ込めばコマセそうな気もするんだが。何人かはそれ狙ってると思うんだけどよ。
俺はこの後高級ゾクフーという大事なイベントを控えているんだ。
芋娘でその耐えに耐えているストレスを発散したくはない。
焼き肉とビールを味わう為にマラソンをしているような我慢感であった。
憧れの高級ゾクフー。傭兵の稼ぎじゃ殆ど行けないぞ高級ゾクフー。
いいか、普通のゾクフーとはもはやジャンルが違う場所なんだ。
肉を湯で洗うしゃぶしゃぶ屋とシャブ売ってる店ぐらい違う。いや、店でシャブは売ってないけど。路上とかでな。
そんな未来が待っているのを想像するだけで滾るのだが、それを周りに気づかせないようにするのも一苦労だった。
ベッドで横たわってると修道院長のババアがやってきた。
ババアはベッド近くの椅子に腰掛けて何やら溜め息をついた。
「物憂げな呼吸がしたいなら外でしろよ。ババア特有の口臭が臭えぞ」
「年寄りにまずそう言う言葉を吐くなボケ」
仕方無さそうにガタガタと軋む窓を開けるババア。ちょっと部屋の空気がマシになった。
「風通しを良くしろ。ただでさえ年頃の娘が大量に居るんだから、空気が淀んで淫魔の巣なんぞ生まれるんだ」
「最近の若い娘はふしだらで困る。ちょっと他所の男が来ただけできゃあきゃあと騒ぎおって。コレでは社会に出たときに悪い男に捕まるわい」
結局。
ここにサキュバスネストが生まれたのも、ここでサキュバスの解呪をしていた残滓もあるが女が集まっている場の雰囲気的なものも加味されていたのだろうとセンセイは予想していた。
そして、早めの対処でどうにかなったが下手に建物全体がサキュバスネストに落ちれば、ここにいるシスター全員がサキュバス化しかねない事態であった。
清楚なシスターサキュバスの蔓延するサキュバスネスト。モテない男が集まりそうだ。
「しかしこんなガキがサキュバス殺しの剣を継ぐとはなあ……」
「勝手に継がされるとかビョーキみてえで──」
言いかけて、気分が悪くなり止めた。性病移されたみたいな連想を覚えたからだ。
それにしても、[片手半剣]じゃなくて[破壊者の剣]だったのか、これ。
ババアは無視して話を続ける。
「先代のサキュバス殺し殿は、わしの若い頃に活躍していたそれはもう、いい男じゃった。顎も割れてたし胸毛も生えていた憧れの伊達男。見て心をときめかさぬ女子は居なかった」
「年代的な趣味の違いってあるよな」
今時の若者から見るとひたすらくどい顔つきだったが。俺はまだ若い。28はまだ若い(主張)。
「剣の腕も一流でありながら人は殺さず、男を惑わす淫魔を斬る。その名は世界中に聞こえて、英雄であった……
しかし、サキュバスを倒しすぎて呪いを受けたのかやがて先代は男色趣味に目覚めているという噂が流れた。襲いかかった盗賊団が全て尻を負傷したり、女に興味を持たなかったり……」
「うわあ……いやそれ本当にサキュバスの呪い?」
素でホモだっただけじゃね?
だからサキュバスの誘惑も効かずに、ドーモ、サキュバスレイヤーですみたいな活動をできたのでは?
「そしてある日、とうとうサキュバス殺しの英雄がサキュバスに転化するという大事件が起こる。数百人の男兵士が居た砦まるごとレイプ事件を起こして、サキュバス殺し殿は闇に下った……」
「そこに行き着くまでに誰か毒殺でもしてやれよ……」
心底そう思う。
闇堕ちしたホモとか害悪以外の何者でもねえ。
「しかしお前が、先代を止めてくれてサキュバス殺しの剣を授かったのだな……」
「授かったとか言うなキモい」
「ポジった?」
「殺すぞババア」
どうしてもあのホモとの絆というアレが嫌な印象を与える。
もうこの件については忘れたいぐらいだったのだが……
「サキュバス殺しの証である魔剣を受け継いだのは確かだろう。お前が嫌でなければ、[サキュバス殺し]の公称号を与える正式な手続きをしておくが……」
「えっそれもしかしてレアで名誉なやつ?」
「ドラゴン殺しよりレアだ。公称号として名乗れるのは、その魔剣を持っている者のみだからのう。世界中で一級の悪魔退治者として認められるに等しい。特に教会関係では尊敬を集めるぞ」
名誉を求めて三千里な俺からすれば心躍る提案だった。
称号とか二つ名にも、公式と非公式がある。要するに名乗れる知名度の差であって、ドラゴン殺しとか大魔法使いとか探検技工士なんかは、多くの国や人に認められる称号で、俺の[四枚通し]なんかは精々傭兵ギルドの連中か一部関わった近隣の軍人ぐらいしか知らないので非公式なやつ。
勿論公式称号として名乗れるものを持っていると尊敬されるし、名前が天下に轟く。
アルトリウスの名前を不名誉として扱っている俺の故郷でも、サキュバス殺しのアルトリウスという名前は知られるわけだ。
俺は咳払いをしてババアに言う。
「ん、まあ、どうしてもってんならその称号も貰ってやらんことはないぜ?」
「喜びを隠せていないぞ……こちらで証明書を書いて、この国の大聖堂に届け出を出せばすぐに広まるはずじゃ」
そうババアは言って手続きで部屋から出て行った。
サキュバスネストを攻略したのも無駄じゃなかったな。俺は一人部屋の中でニヤつく。
あのホモの事は記憶から抹消するとして、ドロップ品の剣と名誉は役立ってもらうとするか。
「アルトくーん! おやつ持ってきましたよー一緒に食べましょう」
「おう、エリザか入れ入れ」
"失礼する"
エリザとセンセイがクッキーの入った籠と、ティーポットを持って部屋にきた。
センセイがお茶を入れている間にエリザがベッドに座ってこちらを見てくる。
「あれ? アルトくん機嫌がいいです?」
「まーな。ウォンバットみたいで可愛いエリザちゃんが戻ってきてくれて嬉しーぜ。わしゃわしゃ」
「うわあ何ですか本当にうふふ!」
機嫌が良かったので後ろからエリザの頭を撫で回してやる。
あー癒される。
やっぱり二人旅ってのは結構厳しい物があるな。相手にムラっと来た時の自制とかが。やっぱり世の中、監視社会が必要だ。
三人居ることで人間関係のバランスが取れるという論文を読んだことがある気がする。確か[ドリカム編成]とかなんとか言ったか?
"……じーっ"
「あのあの、先生がこっちを物欲しげに見てるんですけど。頭寄せてきました! 撫でて欲しいんじゃないですか?」
「センセイはなあ……ムッツリスケベだからちょっと」
"なあ!?"
ジト目で告げると彼女はショックを受けたようだった。
エリザも笑顔で肯定する。
「そうですよね! わかってました!」
"違っ、サキュバスネストの中は転化の影響でだな! 迷惑を掛けたのは悪かったけど! アルトだって仕方ないことだって言ってくれて!"
「こう……普段はすごく良い奴なんだけど酒を飲ませたら酷い性格になるやつって時々いるじゃん? そいつが酒の日の翌日に謝ってきて『ああいいよ、酒の席でのことじゃないか』とか許すんだけど、そいつを普段見る目は変わっちゃうみたいな……そんな感じ」
"わ、私の信頼感があ……!"
「アルトくん、えげつない切り方しますね……」
「いやセンセイがいい人だってのはよぉく知ってるけど、アレだ。『私達、ちょっと距離を置いたほうがいいと思うの』とかそういうの」
"離婚一歩手前じゃないか!"
冗談めかして言う。
しかし実際問題、いかに操られていたからといって危うく特殊な関係を持つところだったんだ。センセイも平常を保っているが心の中では深く負い目に思っているだろう。
だからこそ少しばかり、俺らは信頼し合える仲間であってサキュバスなんかに惑わされたりしない!みたいな意識を持つためにも接触は控えた方がいい。迂闊な肉体的接触で、心理的瑕疵を撫でてPTSDを発症でもされたらお互いのためにならない。
エリザはもぞもぞとベッドに寝ている俺の膝の上に乗ってきてセンセイに笑顔を送る。
「大丈夫ですよーアルトくん癒し係は任せてください!」
"ぐぬぬ……二人きりの冒険をしたはずなのに、そこはかとなく信頼感が下がっている……"
「よしよし。サキュバス共の悪意に比べてエリザは純真だなあ」
「うふふ」
"だっ騙されたら駄目だぞアルト! エリザが叩かれて悦ぶのはサキュバスのせいでもなんでもないからな! 純真じゃないぞ!"
「うぉんうぉん」
「はっはっは。見ろよこのエリザのウォンバットの物真似。これが疚しい娘に見えるか?」
"……アルトは妙なところで女への信頼感を拗らせているというか"
ごしごしと背中を撫でると喜ぶエリザを可愛がりながら、センセイが何を気にしているのかまったくわからなかった。
大体エリザのドM発露もそれに前後してサキ子が出てきたからであり、その後もサキ子が取り憑いていた影響だろう。
そうこうして、その後2日ほど修道院に滞在した。
サキュバス殺しの魔剣は意外な方向で活躍したというか、シスターから夜這いを掛けられたのだがこれでぶっ刺すと女でも賢者タイムに入るらしい。それもかなりスッキリした感じで。ただ、起きたときに夢のなかで俺に凄いことされた気がするとか。夢まで知るか。
これでなんとか襲い来るシスターを一晩で十五人ぐらい解消してやったら、評判になって次の日に頼まれて列を作られて一人ずつ刺す羽目になった。
鬱屈した修道女の精神を晴らす、清い行いだとはババアから言われたがなんだかな。こいつらどんだけ溜まってるんだよ。
「そこの二人も、殆ど完全に転化した影響でもしかしたら何かの切っ掛けがあればサキュバス化するかもしれん。そのときに使ってやるといいだろう」
ババアからそうも言われた。ほぼサキュバスになったセンセイとエリザから完全にサキュバス因子を抜き取るのは難しいようだ。
もしかしたらまたサキ子が形を取り戻すかもしれない。
だがそれもこの剣で解決可能。二人の因子からサキ子が復活しそうなときに刺してやれば治る。棚からボタ餅だな。
サキュバス殺しの称号は教会を中心に広がる。これからはどこの教会や修道院でも俺は歓迎されるだろうとのことだ。
「坊さんの真似事で金稼ぎなんかしたかねえけどな。さて、まずは街に行くか」
「はいです!」
"準備は出来ている"
そして俺たちはバニシュドの街へと出立した。
センセイとエリザが簡単な機構の自動トロッコを作って街道を程々の速度で進む。
「楽だなー」
「ですねー」
"ダンジョンではああいう便利な道具を見つけることもある。それを再現できればこうして楽ができる"
爽やかな風を感じて街道を突っ走るのは気分がいい。時々すれ違ったり追い越したりする人や、農夫がこちらを見てくるのはちょいと気になるがな。
まあ目立つのはスペランクラフトジャケットを着ているセンセイぐらいのものだ。
「そういえば修道院でお土産貰ったんですよー」
「へえ、何を?」
「ええと、飴と学習ドリルと鉛筆と……」
「子供扱いか!」
「このコケシなんに使うんですか? 押し込むと震えるって説明されたんですけど」
「捨てろ! 何考えてやがるあのクソアマ共!」
コケシを街道に投棄した。確か無知な子にエロいことを教えこむのいいよねとか言ってたシスターが居た。あいつだ。
"私も貰ったが……下着セットだった"
「センセイも毎日新しいのクラフトしてないで、洗濯して使い回しましょうよ。履きなれたやつの方がいいですよ?」
"そういうものだろうか……いや、しかしあんなものを洗濯物として干してるのをアルトに見られるのも……"
「あたしなんかもうアルトくんに下着触られても平気ですからね」
「最初は妊娠するとか騒いでた癖に」
「そういえばバニシュドの街ってお祭りやってるんです?」
当初の目的だとエリザに祭りを見せるために連れて行くんだったか。
笞竜を倒して四日目ってところか。
「復興もある程度進んで毎日お祭り騒ぎだろうよ。街を直すテンション上げるために色々やってるから騒がしいと思うぜ」
「そうなんですかー」
"クリムゾンはまだ居るだろうか……久しぶりに会って、足の肉球とか触りたいのだが"
「どうだろうな? 俺が街を直しといてくれって頼んどいたが……見つけたら約束だから踏まねえとな」
「踏むんですか!? ええとその、センセイから聞いた話だと小さい女の子ですよね!?」
「首から合法ですって看板掛けてな」
「ずるい……」
「うん? なんか言った?」
風の音で聞こえなかったが、何かエリザが俯いて呟いた気がした。
それより、予定を伝えておかねえと。
「で、だ。街につくと俺はちょっと用事があるから、一旦別れて翌日合流しよう」
「どうしたんですか?」
「街がドラゴンに壊されたときにな……俺の知ってるところが壊されて、そこの知り合いに顔を出してやらねえと。安否も不安だからな……」
わざと深刻そうな顔をしているが、嘘は言っていない。
勿論、高級ゾクフーのことだ。
さすがにこういう言い回しでは、センセイも俺がゾクフーに行くとは思いついていないらしい。
"大丈夫か? 建物の破損ならば直せるが……"
「いや、いいんだ。きっと大丈夫だが、色々積もる話もあるだろうからな。次の日の正午に……そうだな、中央広場で待ち合わせをしよう」
「わかりました……協力できることがあったら言ってくださいね! あたし達、アルトくんの友達ですよ!」」
「ありがとうな。二人の優しさには痛み入るぜ」
計画通り。
俺はニヤつく顔を伏せて隠しながら、俺は街への到着を待った。
バニシュドの街は中々の復興具合だった。死んだ奴もそりゃ多いだろうが、技工士が街に居たこともあったのだろう。戦いの跡は数日で殆ど消えている。
そして街の中央あたりから湯気が立ち上っていて、硫黄のような臭いがする。
「わぁーなんですかねあれ」
"クリムゾンが温泉でも掘ったのだろうか。あの子は温泉好きだからな"
「センセイとエリザは行ってくればどうだ? じゃあ俺は、用事を済ませてくる。また明日な」
「待ってますから遅刻しないでくださいね!」
エリザがにこにこしながら言って、俺は頷き小走りで路地に消えた後に猛ダッシュを始めた。
ええと、今が夕方の六時ぐらいだから今から六時間コースを嬢変えて三回頼めるな。
非常に気に食わない奴から受け継いだ魔剣だがこれを使うと体力回復できるのもありがたい。
ゾクフーゾクフーゾクフーゾクフーゾクフーゾクフー!
見えた! この街一番の高級ゾクフー『ペロペロシコシコナンバーワン』! バカみたいな名前だが、傭兵の憧れだ!
俺も一回しか利用したことがない。その時のことは……そうだな、哲学的な体験をした、と記憶に残している。
本当の高級店は、社会的強者や貴族などしか利用できないのではないかって?
違うのだ! カネさえ払えば誰でも利用できるゾクフーだからこその、中途半端な会員制では味わえない競争論理に基づいた素晴らしいサービスが提供されるのだ!
違法ゾクフーもしかり。所詮合法では勝負にならない素材を提供している敗北者が違法ゾクフーだ。闇酒場では、一流のバーテンダーに勝てない。
俺はそう確信している。ゾクフーの扉を開くと、顔見知りの店主が番台に座っていた。
犯罪者や精神的にヤバイやつなどを警戒するために、店主のオヤジがまず客の顔を見るような作りになっている。
彼は俺の顔を見て、ややぎょっとした表情になった。おっと? ゾクフーへの待望が顔に出てたか? ちょっとがっついてたかな。
「オヤジ! 六時間デラックスコース! メイド落ちお嬢様指名で!」
「ア、アルトリウスか? お前がここらのゾクフー街を技工士に直させたと評判だが……」
「メイドお嬢が空いてなかったら出張若女将だ!」
どっちも割烹着が似合うのがポイントである。メイド落ちお嬢は家が没落してメイドになっているが、生意気系ではなくおっとりとしていて家に居た時より人の役に立っている方が好きですとかいいながら進んでエロいご奉仕してくれる巨乳の美女で育ちから品がいいのに家庭的な面を見せるのが人気を出している。
俺の熱い意欲を受けているのに、どこか迷惑そうにオヤジは両手を広げて制止するように言う。
「まあ待て。お前最近、[サキュバス殺し]の称号を得たそうだな?」
「おう。バリッバリだぜ。サキュバスの巣をぶっ潰してきたところだ。それで漲ってるからたっぷり発散しないとな。金もあるぞ」
「そうか……その、なんだ。言いにくいことなんだが……いいか?」
何かまごついているオヤジに、俺は首を傾げる。早くプレイしたくて俺のバスターはビンビンなんだが。
そして、きっぱりと言い切った。
「お前、出禁な」
「は?」
一瞬、意識が空白になった。ありえない言葉を聞いた気がする。
「考えても見ろ。サキュバスをイキ殺すようなチン勝ち野郎を店に入れたら、うちの嬢が使い物にならなくなるだろ。インキュバスみてえなもんだ」
「い、いや、待て、待て待て。俺は別にそんな、凶悪な息子を持ってるわけじゃないし過激なプレイもしねえよ? 女の子を大事にするアルトとして評判なんだ」
「噂じゃ、あの退魔修道院のシスター三百人ばかりをまるごとヤってきたらしいじゃねえか。ある意味男としては尊敬するが、店に入れるわけにはいかねえよ」
修道院の件は、欲求不満で依頼してきた女どもをサキュバスタードソードで刺してやっただけなんですけど!?
いや、それで刺されて昏睡すると、俺が出てくる夢を見るらしいがそこまでは知らんし。
残念そうに彼は告げる。
「[サキュバス殺し]の話が広がったと同時に、ゾクフーギルドに通達があった。サキュバス殺しのアルトリウスは嬢が危険なので入店拒否にすべしってな。
いいか、アルト。俺たちは嬢の安全も守るというギルドの原則があって店を開いてるんだ。幾らサキュバス殺し御用達って箔がつこうが、マトモな店は通達に逆らえば破門を食らっちまう。信頼あってこその互助組織だからな」
「つ、つまりどういうことだっ」
脳が理解を拒んで、脂汗がだらだらと出る。
嫌だ。聞きたくない。喉がカラカラだ。そんなことは望んでなんて居ない。
だがオヤジは、結論を言った。
「お前は、おおよそゾクフーギルドがある国全てのゾクフー店で、出禁を食らった。人相書きも出回っている。マトモな店には、もう入れん。インキュバスや、ヤバイ性病持ちと同じくブラックリストに認定されている」
俺は膝をついた。
「嘘……だろ? 嘘だよな? 嘘だって言え!!」
床を殴る。目からは涙が出ていた。
俺は、俺は、俺は。
こんなことのために戦ってきたわけじゃない。
辛くても、苦しくても、決して諦めなかったのは──
ゾクフーが待っていてくれたからだ。
もうゾクフーに入れないなんて、嘘は止めてくれ。
無意識に慟哭をしていた。
その声に驚いたのか、店の奥から何人か従業員が顔を出してこちらを見ているが、それも認識できない。
心が潰れ、胸が張り裂けそうだった。
理不尽すぎるだろう。俺が何か悪いことをしたか? 街を守り、仲間を助け、ちょっと英雄に憧れただけじゃねえか。
その結果が、この呪いのような無残さというのか。
ヒソヒソと、嘆いている俺を取り巻いて噂をしている従業員の声が聞こえた。
「あれが[サキュバス殺し]のアルトリウスだって……」
「相手が底なしの淫魔でもイカせ殺すらしいわよ」
「おばあちゃんから聞いた話だと、サキュバス殺しってのはホモなんだって」
「ホモよ!」
「他にも[触手]のアルトリウスってのも傭兵ギルドに貼りだされてたわ」
「触手を出してくるのかしら……怖っエロの申し子だわ。エロ魔神よ」
「[四枚通し]のアルトリウスの四枚ってひょっとして避妊具を四枚貫通して……」
「しっ! 見ただけで孕まされるかもしれない!」
頭の血管が切れた音が聞こえた。手にサキュバスタードソードを出現させてゆらりと立ち上がる。
「てめえらああああああ!!! うがああああああ!!!」
「うわー! アルトリウスが突然剣を振り回して暴れだしたー!!」
「衛兵ー! 衛兵ー!!」
世界に一人だけの一級退魔剣士[サキュバス殺し]のアルトリウスは。
その日、留置所にブチこまれた。
こんなはずじゃなかった世界を呪いながら。
壁に背をつけて一晩考えていた。
ゾクフーというのは半ば非合法な雰囲気を持つ店として世間では見られていた。
しかし実際は国に目をつけられないように細かい労働規則や税金の納付、従業員の福祉に健康管理などを普通の店などより徹底していることで、一躍発展した。
その規則を作って守らせているのがおよそ六十年前に出来た世界ゾクフー連盟、通称ゾクフーギルドだ。
基本的にこれに入らないと本番ありのゾクフーは店を名乗れない。
俺はそれらの組織からブラックリスト入りされてしまったのだ。
変装すればどうだろうか、とふと思った。名前を隠して髪型を変えて、グラサンでも掛けて店に入れば。
いいや、駄目だ。ちらっと出回った俺の人相書きを見たが、誰が描いたのか知らんが精巧な似顔絵に背丈や髪色などの特徴も記されていたようだ。
それに、身分を偽ってブラックリスト者が入った場合は顔に刺青入れられると聞いたことがある。そうなると、一生ゾクフー出禁野郎の証を顔面に貼り付けて生きていくことになる。不名誉のアルトリウスを解消しようとしている俺が。バレたときのリスクが超高い。
無論、世の中それに所属しない非正規なゾクフーもそれなりに存在する。
中には正規ゾクフーで出禁を食らっている、サキュバス殺しを入れてくれる店もあるだろう。
他にもタチンボとかパンパンとか、お外で声掛けしてる個人事業者に相手を頼むことも可能かもしれない。
しかし、だ。
それらは楽観視できるほど低くない確率で、性病などを持っている。
性病の中には不治の病もあり──
一時の性欲で残りの人生を、チンチンが痒くなったり鼻が崩れ落ちたりしながら過ごすのはぞっとしない。
つまり、正規のゾクフーでなければ安心できないのだ。俺が出禁の。
事態を認識すれば認識するほど泣けてきた。留置所の冷たい床はどこか染みがついていて、俺のようにゾクフーで出禁を食らった者の涙かもしれないとふと思った。
これから俺はどうすればいい。
《男色に走ったらどうだ? あんちゃんよ》
どこからか素浪人の幻聴が聞こえた気がして、壁をぶん殴った。俺は絶対、そっちの道には行かねえ。
俺の進むべき道は……
・ビョーキ持って無さそうな乙女をナンパして発散する。
・魔法による精巧な自動人形の制作を知り合いの魔法科学者に依頼する。
・セルフストレス発散の道を極める。
・ゾクフーギルド本部を目指して撤回させる。
・次にサキ子が復活したときに飼いならす。
他に何があるかな……ビョーキを貰わずに安全かつ気持よくストレス発散する方法……
一睡もせずに翌日、センセイとエリザが保釈金を払ってくれて引き取りに来た。
ゾクフーで大暴れしてムショに入れられ、連れの女性に金を払って助けてもらう男・アルトリウス。
ふとそんな見出しが浮かんだが、気分が落ち込んだので深く考えないようにした。
「うわあ、アルトくん憔悴してます……」
"苦言の一つでも言おうかと思ったが、そのような気も無くなる窶れっぷりだ……"
「お目目が真っ赤なのー」
何故かクリムの奴も居たが、とにかく俺は左右の手をエリザとクリムに引かれて留置所から出た。
町中ではセンセイの異様な、スペランクラフトジャケット姿は目立つ。大きなドラム缶が歩いているようなものだからだ。とはいえ、色んな人種の集まる交易拠点なバニシュドじゃ変な人を見かけても視界から外れればすぐに忘れるだろう。
クリムが俺の手をくいくいと引っ張って、
「元気がないときは温泉に入るといいの。クリムは温泉が好きだから、街に作っておいたの」
「こんな所に温泉湧いたのかよ」
近くに火山とか無かったと思うが。街の新名所にしようと色々取沙汰されているらしい。
クリムはフフンと胸を張って言う。
「どんな所でも、千五百メートルは掘れば温泉が出てくるものなの」
「そんなに」
"クリムゾンの垂直掘削能力は私より高いからな"
「というかセンセイが苦手な分野なの。垂直移動は危険だからってやりたがらないの」
ああ、そりゃまあ確かに。
クリムみたく、クラフトツールを銃にすれば良いのだろうが結局地下に降りながら掘削をしないとマテリアルが溜まったり、組み上げる装置を設置出来なかったりするのだろう。
安全面を考慮すりゃやって出来ないわけじゃなかろうが、時間がどうしても掛かる。
「昨日はクリムちゃんとご飯食べて一緒に寝たんですよー」
エリザがニコニコと言うが、クリムの表情が微妙に曇った。
「エリザはナチュラルに、ボクにドッグフードを出して犬小屋をクラフトしてきたの……」
「そういやお前首輪つけてるな」
「これも付けられたの……」
「ち、違うんですよーアルトくん! ちょっとした冗談なんですけど、クリムちゃん可愛いから犬扱いされて曇るのも可愛くて」
「そこは叱れよセンセイ」
"大丈夫だ。ちゃんと見た目はそのままだがとても美味しいドッグフードにしておいたし、三人で犬小屋に入って寝た"
「共犯かよ!」
犬小屋すし詰めだな!
俺が冷たい床の鉄格子部屋に居るうちに、随分ファンシーな女子会だったらしい。
「腹減った……」
「ホットドッグでも食べて元気出すの。……犬肉じゃないの」
「喉乾いた……」
"スポーツドリンクでいいか? 温泉に行く前だからアルコールは控えた方がいいだろう"
「煙草吸いてえ……」
「はい! あたしが改造して創った[清涼空気煙草]です! 普通の空気煙草より清涼成分があって気分がすっきりしますよ!」
「うん。次々とくれるのはいいんだが技工士だから買い食いすら必要ねえな」
希望を口にすればパッとクラフトしてくれる三人である。
……いや、待て。この便利さは甘美な堕落への誘いだ。
行き着く先は女に養ってもらう、細くて物を縛るアレみたいな存在になってしまう。
俺は決してそんな情けない職業にはならない! キリッ!
そんなこんなで温泉地にたどり着いた。
街の中央近くに、広い公衆浴場をクリムが作ったのだという。露天風呂で混浴だが、水着着用の湯である。
交易都市となれば旅の疲れもあり、温泉があれば人気になるのも当然だ。街の皆にもクリムの思いつきで作ったこれは歓迎されたという。
"あ、ちょっと待って"
センセイが温泉の入り口近くで一人離れて行き、裏路地に入っていった。
そこで何やら壁をクラフトして自分の周りと埋めるように覆い、そして壁の中からジャケットを脱いだ姿のセンセイが出てきた。
スペランクラフターのセンセイとはあの姿であり、中に人がいるのは基本的に隠していることなのでこっそりと脱いだのである。
"おまたせ。行こうか"
温泉の入り口建物に入り、男女の脱衣所が分かれているがその前には簡易な水着が売られている。
そのうち業者も入るのだろうが、まだ作られて数日なので手作り感がある。
俺は水着持ってないので選ぼうと眺めていたら、技工士三人組が水着らしいものを差し出してきた。
「はいアルトくん!」
エリザはそう言って紐パンを差し出した。
「あげるの」
クリムが渡そうとしているのは股間に銃の絵が描かれた海パンだ。
"あまり過激なのはアルトに悪いだろう"
センセイはベージュ色のブリーフだった。
「ナメてんのかエリザとセンセイ」
「痛いです!?」
"私も!?"
馬鹿なチョイスをした二人の額を軽く小突いた。
「クリムが一番だな。ナイスな銃じゃん」
「なの」
頭をごしごし撫でてやるとフフンと自慢気に鼻息を吹いた。
まあこの銃を使うべきゾクフーはもはや……
少ししんみりしながら、脱衣所に分かれてその海パンを履いた。
露天に出ると、中央に噴水めいた温泉が組み上げられ湧き出ている大きな泉があり、それから湯を引いて大小の湯だまりに入れるようになっていた。
一番人が居るのはその中央の大温泉で、数十人は入っているがまだ余裕のある広さをしている。
あちこちには恐らくそれもクリムが作ったであろう、タライやスケベイスが置かれている。スケベイス覚えちゃったかー……
無論、如何わしいことは行われていない。皆、健全に入浴している。
「アルトくーん! えへへ、広くてびっくりしますよね!」
なんでマイクロビキニなんだよエリザ。
"走るなよ、エリザ。転んだらまろび出るぞ"
イチゴステテコとサラシ風チューブトップ気に入ったのかその格好センセイ。
「体を洗って入るの」
だからなんでクリムまでマイクロビキニなんだ。
なお、ビキニという名前の水着は当然ながらビキニ伯爵とかそんな名前の奴が発明した。恐らくエロだな。
お子様体型なクリムはマイクロビキニを着ると、行けないイメージプロモーションみたいな非合法めいた雰囲気がある。エリザは危険だ。ロリ巨乳が強調されて視線を集めている。
無知な子は危ねえなあ……そう思いながら、三人と合流して洗い場へ向かった。
ワーウルフなクリムは、肘から先と膝から先が白い獣毛に覆われている。あと尻尾もあるので、細かい毛が湯に落ちないようにしないといけない。
そんなわけで洗い場に並んで座り、ひとまずタライに汲んだお湯を頭から被った。
「そーいやクリム。この温泉、どっかで循環させてんのか? 掛け流しにしちゃ、川なんかに面してないだろここ」
「それなら、地下に穴を二つ空けてるの。一つは汲み出し機で上に噴水として温泉を出して、もう一つはあちこちの排水口からのお湯を浄化して地下に戻してるの。そうして循環させることでお湯が枯れないの」
「えらいダイナミックだな……」
言い合いながら、クリムが石鹸を自分の腕に擦りつけて毛で泡立てた。
「おお、タオル要らずだな。わしゃわしゃ」
「ちょっと! 人の手を余計に泡立てないで欲しいの!」
「ほらエリザ。クリムの手で背中擦れるぞ」
「クリムちゃん泡っ子ですー!」
「抱きつかないで欲しいの! 水着ずれるの! だいたい、なんでボクまでキミにあわせてビキニなの!」
どうやらクリムの水着はエリザに作られたもののようだ。
エリザが抱きつくようにして、クリムと一緒に泡まみれになる。
見た目はどちらも少女だが、クリムは20歳ぐらいでエリザは年齢不詳だが俺より上だろう。だが精神はガキだな。うん。
「おーらわしゃわしゃ」
「ひっぽの付け根を足でわしゃわしゃしないで欲しいのおお!!」
「わあクリムちゃん、お尻上げてますよ! もう一息です!」
遊んでいると、俺の背中をセンセイがタオルで押さえた。
"私が背中を流そう。アルトには面倒を掛けさせたからな"
「おっサンキューセンセイ」
「アルトくん! あたし目を瞑ってるから頭洗ってください!」
「ったくガキだな」
背中をセンセイに洗わせながら。
クリムを足蹴にしつつ。
エリザの頭にシャンプーをしてやった。
なんか周囲から舌打ちが聞こえた気がしたが、なんだ? 案外客層悪いのか? タンを吐くなら外にでも行って欲しいものだぜ。
泡を流して温泉に浸かる。
程よい温度の湯水と僅かにぬるっとしている泉質が体の奥まで温まるようだ。
ついでに美女が居るんだから言うことはないが。
こうして浸っていると、俺が行けなくなったお風呂屋さんのことを思い出して少しばかり悲しい気分になった。
「アルトくん、また寂しそうにしてますよ?」
「ああ、悪いな心配かけて……」
「温泉はいいの。悲しいことも苦しいことも、全部温泉に吐き出して、明日から元気になる活力が出るの。ほら」
クリムが指を差す方向には、職人ギルドの連中みたいなのが陽気に愚痴りあっている。
「営業の奴ら死ねよ」
「納期は縮める製品の不具合は無くすってどうすんだ」
「そもそも低い金で契約しやがって苦労してるのに儲けが出ねえ」
「温泉が無かったら死んでたな」
「上がったらまた作業場行きだけど」
などと話し合っていた。微妙に切実な内容ではある。
まあ、確かにこうして癒され空間ならば多少の世の理不尽は吐き出しても平気なのだろう。他にも疲れたとか、しんどいとか言いながらも朗らかな声で入っている者も居た。
俺も心に溜め込むだけでなく、少しばかり温泉の熱気に浮かされて愚痴るか。
「かーっ! ゾクフーに入れない俺マジで不幸だわー! 世界一の不幸人間だわー! 女の子とスケベできない人生とか終わってるわー! 世間のリア充の奴ら全員不幸になって俺に幸せ分けて欲しいわー!」
左右にセンセイとエリザが居るのだが、それに肩を回して抱きながら。
股の間にクリムを座らせて、俺はそう言った。
なんか周りが静かになって、歯ぎしりが聞こえた。
そして、
「てめえが不幸になれえええええ!!」
なんか風呂入ってた男どもが一斉に叫んで、タライとか鉄アレイとかちくわとかぶん投げてきやがった。
そしてどうしてか俺の周りの三人は防いでくれず、そそくさと離れて俺に投擲物は直撃しまくった。
いったい、何が彼らのカンに触ったというのだろうか……。大体なんで風呂場に鉄アレイとかあるんだよ。
それから。
まあ数日。
クリムも加えて四人で街中をぶらりとしたり、俺は傭兵ギルドで前回分の報酬を受け取って[触手]ではなく[触手殺し]だと強調したりした。
クソめんどくせーオークレイパーは入れ違いで修道院に向かっていたらしく、幸い出会わずに済んだ。
まあゾクフーにも行けねえのにずっとダラダラしているわけにも行かない。
次に向かうダンジョンの情報を仕入れて、俺らは出発することになった。
仲良くなったクリムだが、
「ボクは伝説の温泉を探す旅の途中だから残念だけどお別れなの」
そう言ってここで別れることになる。エリザがすごく残念がっていた。
「でもまた出会えるように、匂いを覚えておくの!」
そう言ったクリムは別れる前の日、寝ぼけたのか俺の股間に顔を突っ込んだまま寝ていやがった。
ソーセージと間違えて噛みつくなよ、と思いながら。
ふすふすと寝ながら匂いを嗅いでいるクリムを気味悪げに見ていた。
そうして、俺ら三人はバニシュドを出て新しい冒険へ向かう。
変な短いサキュバスネストで足止めを食らったが、次のダンジョンへ向けて。
色々悩んだが、俺の目標は決まった。
ダンジョンで手に入るマジックアイテム……サキュバスネストでもあった罠から考えれば、例えば顔をすっかり変えてしまえるものとか、一時的に周囲の記憶を操作する道具とかが存在するはずだ。
それらをダンジョンで手に入れて、高級ゾクフーに入店する。
目標はそれだ。
幾ら悩んで妥協案を考えても、諦める必要はないな。
「さあ、行こうぜ」
「はいです!」
"なるべく気をつけながら、な"
俺のゾクフーライフは、まだ終わっちゃいねえ!
暫く進んだ後で、それはそれとしてあの修道院に行けば、そこそこ安全にシスタープレイを出来たのでは? と思いついたのは結構離れてからだった。
ストレスを持て余す。
二章完結!




